たぶん、これはおとぎ話。でも、おとぎ話より少し先を描いた、本当のお話・・・。
この物語はおとぎ話。でも、やっぱり本当の話。
誰もが救いを求めて止まない、町の、ちいさな神様、ゆのは。
いつも食い意地が張っていて、お金に目がなくて、どうしようもなく騒がしい。
そんな女の子が、幸せでないはずが、ない。
これは、そんなおとぎ話。
わかば・椿ルートでは、ゆのはは今までと同じように人との別れを繰り返す。
ゆのははいつもこうして、人を見送りながら存在してきた。
「だって、神様ですから」
・・・・・
穂波ルートではその繰り返しは途絶える。
ゆのはの背負う過去が明らかとなり、このルートに於いてゆのはは、ひとまず過去から開放される。
ゆのはは、曖昧な書き方ではあるが、何かを受け入れ、何かを決心してゆく。
最後に現れるルート・・・ゆのはな。
このルートで、今までのゆのはが何一つ救われていないことを、ようやく、はっきりと知ることが出来る。
ゆのははまだ、本当の自分を受け入れていない。
ゆのははまだ、本当の自分を受け入れてもらっては・・・いない。
過去の自分を切り離し、半身として在り続けた、千年にも及ぶ時間。
過去を思い出すことが怖くて、どうしようもなく恐ろしくて、過去を切り離していたはずだった。しかし、そうすることで過去は千年間、付き纏った。
一時も離れることはなかった。
なぜなら、この時ゆのはは、過去にしか生きていないから。
そんなゆのはを、唯一助けられる物。
それは
・・・おとぎ話・・・。
おとぎ話の中で、ゆのははある青年と出会う。
ゆのはは、未来に望みを、持った。
それは同時に、過去を受け入れること。
そして、神様としての自分を、否定すること。
ちいさな神様は全てを受け入れ、この世を去ってゆく。
たぶん、それはおとぎ話。
でも、これは、おとぎ話より幸せな、本当の話。
話しを語る人が、本当だと信じているなら、
話しを聞く人が、本当だと信じられるなら、
やっぱりそれは、本当の話。
ちいさな女の子は、今、何をしているだろう。
語り尽くすから・・・
・・・どこから話すとしようか。