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1571さんのえむぴぃ Maid promotion masterの長文感想

ユーザー
1571
ゲーム
えむぴぃ Maid promotion master
ブランド
ぱれっと
得点
89
参照数
1125

一言コメント

きくらげ 「プレイ‘前’に是非見て欲しいと思います(途中までですが)」 いいんちょ 「Erogame Scape長文解説のコーナー第13回」 きくらげ 「今回はメイドだらけのドタバタコメディー‘ぱれっと’から‘えむぴぃ Maid Promotion Master'です」完成です

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今回も対話形式で進めていきます。ヤナ人は戻るをクリック

きくらげ 「とは言いつつ、今回は1571の一人称での説明が主です」
いいんちょ「本腰入れて書いていきたいと思います。私たちは後半に少し乱入する程度かな?それでは」
まだかよ!というツッコミは禁止の方向で
この線と線の間は飛ばしていただいても問題ありません
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最初に、メイドの定義ってなんでしょう?
メイド(maid, maid-servant)は、清掃、洗濯、炊事などの家事労働を行う、女性使用人(女中、家政婦、ハウスキーパー、家庭内労働者)を指す。   (参)wikipedia

簡単にいえば、住み込みの家政婦さんですね。高貴あるいは富豪な方のお屋敷、一個人では到底手の行き届きかねる広さを持つそれを、衣食住となけなしの賃金を給与として、身分の低い・身寄りのないといった社会的地位の低い女性に実質的な管理を任せる。この‘メイド’という職業と他の労働との大きな違い、それは生活すべてをある一個人に委ね従事するという、雇用者が被雇用者を所有する意味合いが強いところです。
もとは、古代ローマ時代の奴隷から派生した職業なのですから当然でしょう。しかし現在、特に第二次世界大戦以降、基本的人権の尊重という啓蒙的かつ尊大な理想を前に、メイドという職業は自然淘汰され、また女性活躍の場が増えることで、指折り数えられるほどに拡小していきました。
※これは一方向からの断片的な見解です。誤りがある場合もございますのでその時はぜひレスを下さい。修正したいので

この作品のメイド設定は、その第二次世界大戦以降の歴史をメイド維持の方向にへし折る形で進んでいきます。基本的人権この場合女性の人権の尊重をした上で、労働者は女性をメイドとして必要とする。雇用者側にはメイドを雇うだけの素質が必要であり、また逆も然り。衣食住を共にし、雇用者を常に気遣いながら最善の状態をキープすることに全力をもってす。これが、メイドに求められる模範的な姿。様々な設定が作品内に施されていますが、それらを統合し最高の雇用者とメイドの関係とは何かを突き詰めれば、それは理想の夫婦像へと酷似していきます。当然のことなのかもしれません。なぜなら、古今東西過去現在未来どの時代を見回しても、人が求め頼る存在は、夫婦という関係に行きつくのですから。
メイドが男尊女卑の(執事は逆ですが)ある意味象徴である時点で、人権とは相容れぬ存在です。それをこじつけているのですから矛盾齟齬があることは当然のことです。しかし、私はこの架空のメイドという存在に心の温かさを感じたのもまた事実。まだまだ私は、男は仕事女は家事という古い仕来たりに捉われたままなのかもしれません。
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つらつらとメイドについて書いてきましたが、それでは主人公へと話を移していきましょう。体験版プレイなさった方は分かると思いますが、主人公は自らの特殊な性癖をヒロインなるメイド候補生たちの前で堂々と晒します。性癖、詳しくは、女性の排尿口や尿に異様な執着を見せること。これにより、プレイを躊躇されている方も少なくないはずです。ええ、私もそのうちの一人でしたから。しかし、これにはシナリオ上はっきりとした理由付けがなされています。が、如何せんバカ色で話の本質をオブラートしてあるため、気付きにくいことこの上ありません。実際にこの本質に触れるのは3回、うち2回はヒロインの個別ルートに入ってからですし、後の1回は中盤に日名乃さんが表面的に撫でるのみに止まります。深く読み込めば、シナリオ六分の一程で曖昧にこうではないかなと憶測でき、日名乃さんの一行台詞で確信を持てる程度で、軽く読む分には流してしまいがちです。しかし、このことを念頭に置きながらライターさんはシナリオを書いているのでしょう。分かっているとそういうことなのかとすんなり理解できますが、そうでない場合なんだこのヘタレ変態野郎な主人公はと罵ることになってしまいます。というわけで、物語を楽しんでいただくためにここで日名乃さんの言葉をお借りすることにしましょう。自分で知りたいんじゃーという方は、ある程度彼の性癖に我慢しながら、この作品に正面からぶち当たってみてください。気付けるはずです。










日名乃「貴方は人を遠ざけるために、演技をなさる傾向があります」(覚えからなので、一字一句合っているわけではありません。あしからず)
自らに降りかかる予期された不幸に恐れをなし、逃げるように引っ越してきた安住の地。そこでの隠遁生活という淡い願いも、急な押しかけによる5人のメイド候補生によりあっけなく崩れ去ります。衣食住を共にする時点で接近することは明白。そんな女性である彼女たちヒロインを遠ざける最も簡単な方法。それは性的言動、公にはセクシャルハラスメントを押しつけることだということは、女性であるこの私には身に沁みて理解できます。それは本作にも書かれた通り自らに降りかかる不幸が彼女らにまで伝播することを危惧してでしょう。そして何より、意識下にある彼自身の弱さや人に対する臆病さに起因するものでしょう。彼がどれだけの期間その‘不幸を伝える仕事’に従事していたかは明記されていません。しかし、厄病神と絶え間なく罵し続けられることが、どれ程心中穏やかなことでないかは想像を絶するものがあります。このことは日名乃さんという人物を用いて、手短にそして軽く説明がなされていますが、この前提が彼の言動のすべてを支配しているといっても過言ではありません。そんな余所余所しくも、それに徹することのできない彼と、キャラの濃い、だからこそ彼を引っ張っていけるヒロインたちとのおバカなドタバタコメディー堪能できれば、この作品を味わったと言っていいのではないかなと思います。これより以下は多少のネタばれを含む解説となるので、未プレイの方はこの辺で失礼します。


ここまで主人公についての弁護のようなそうでないようなものを書いてきましたが、ここからは、この作品の全体像を見ていきましょう。構成は全7章、序章に始まり5章までは各ヒロインのメイド候補生成長劇、6章でエッチ補完と共に分岐が行われ、7章主人公とヒロイン互いの成長劇を経ることでエンディングという異なる未来を迎えます。
5章までについて
不幸を伝えるという、何より精神面を犠牲にする環境下、主人公は人をどん底から立ち上がらせる、勇気や目標といった能動的な何か(この作品ではサムシング(何か)という表現をします)を与える術を得ます。それを体現することが、何より彼が求める自身の理想の姿なのかもしれません。一方向ながらも彼から与えられたヒロインたちは、一人また一人と彼女独自のサムシングなるものを手握すると共に、主人公への恋心を育みます。ここは、さすがエロゲーと言うべきでしょうか。距離を置くために、性癖を楯に道化を演じる彼に強引に接近していきます。もしかすれば、彼女らは無意識のうちに彼の本性を見抜き、それを母性を持って包んであげたいと感じたのかもしれません。主人公にCVはありませんし、あってもらっては困りますが、文面では表現しきれない無理をしている雰囲気が出ていたのかもしれません。過剰な主人公擁護になりました、スミマセン。
7章について
いよいよ成長劇は主人公にまで及びます。発端は日名乃さんの提言に始まり、彼は強引ながらも可愛く迫り来るヒロインたちを、彼自身の‘意志’で‘選択’をします。過去の仕事柄、主人公は人に距離を置く達人であると同時に、どのヒロインよりも共に側で歩んでくれる人を欲する‘寂しがり屋’でもあります。心にポカンと空いた穴、それを埋め満たしてくれる人を欲すとでも申しましょうか。そんな彼の心にまで手を差し伸べるヒロイン。それを手助けする切っ掛けとなる人や物?たち。しかし、彼の心が成長しきる、サムシングを手握するとは限りません。このことは各ヒロインに用意される2つのEDという形で表現されます。せっかくEDまで見たのでしたら、結果やCGのエロさの違いだけでなく、心情変化にまで見やって欲しいと思います。その違いは、彼の18番性癖という形でライターさんははっきり書き分けしてくださっています。一方はヒロインを求め言動の伴うスケベーでない主人公、もう一方はスケベーな主人公の心情変化に待ち切れず尻に引いてしまうヒロイン。願わくば、不幸が霞むほどの幸、2人にあれ。

この作品の本質は、時折入る真面目な会話を通したメイド成長劇となっております。題目も‘えむぴぃ’Maid Promotion masterの頭文字ですしね。直訳すれば、メイド育成主ですか。‘なんですが’、この‘えむぴぃ’、如何せんその本質をバカ色で8割がたオブラートに包んでしまっているので、表面的には、ただのバカゲーになり下がっているところが残念です。特に、蒼レンジャイは完全にバカ色に食われちゃってますし。例えるなら、市販の肉まんの中身だけ刳りぬき、あんだけ愛情込めて作りなおし、元の皮をかぶせ、気付いてよね愛情込めて作ったんだからとソッポ向くツンデレ娘みたいなものです。せめて中身の透けて見える春巻きにしようと私は訴えたい。すみません、ごめんなさい、突っ込まないでー!


きくらげといいんちょのおバカside解説

きくらげ 「きくらげとー」
いいんちょ「いいんちょの」
きくらげ&いいんちょ「おバカside解説のコーナー!」
きくらげ 「って、ちょおバカsideってなに!」
いいんちょ「今回はおまけだって・・・・。見たら分かるでしょ、あのオナった文章の長さ・・・。ここまで付き合って下さった方が既にレアなわけ」
きくらげ 「あー・・・・・・(呆れている)」
いいんちょ「サクサクっと進めちゃいます。読んでる人も既に、あー、戻るクリックしないでー!」
きくらげ 「というわけなんですが、結構話のスピードや勢いを落とさないために無理やりねじ込んでいる感は、やはり他ユーザーさんの言う通りありましたね」
いいんちょ「それが、引きつり笑いを出させるか、私のように画面に噴き出させるかどうかですよね」
きくらげ 「こればっかしは、実際にプレイしてみないと分かりずらいと思います。ちなみに、私は‘あごバリア’氏のシナリオは好きですが、‘それ散る’は嫌いとだけ言っておきましょうか」
いいんちょ「短いですが、ぜひ体験版をしてからの購入をお勧めします。このおバカが合わなければ、評価は壊滅的ですから」
きくらげ 「音楽、システム周りは安心の‘ぱれっと’。CVは鉄板の布陣で、かなり頑張っていました。順に風音・青山ゆかり・和葉・楠鈴音・みる・ゲストに金田まひる。書かれているメッセージ量の倍は喋っていたかと。後、メッセージウインドウを使ったギャグは一級品。」
いいんちょ「‘ぬわに私のメッセージ肘で折ってるか。くわぁ’‘目を細めると見えるんだ(メッセージログが)’確か雪音くんでしたっけ」
きくらげ 「(主人公の決め台詞風に)ちっこむうびぃは捨てることにしましょう」
いいんちょ「・・・・・・・メイド候補生という雛はいずれ羽を大きく広げ、あなたの手元を離れていきます。その親心ですか・・・・・」
きくらげ 「・・・・・・・もう二度とコマリくんと鉢合わせ、唇が交わることもありません。・・・・・・何だかズンときますね」
いいんちょ「それだけ、メイド菌に侵されていたんでしょ・・・・・」

えむぴぃ信者の戯言は終わり、次回は元気にくるっくー‘てとてトライオン’です