ErogameScape -エロゲー批評空間-

11921192さんのStoria ~逢魔の森の姫君達~の長文感想

ユーザー
11921192
ゲーム
Storia ~逢魔の森の姫君達~
ブランド
MINA
得点
75
参照数
501

一言コメント

シリアスで笑えるところはないミステリー風なゲームで雰囲気がよかったが、文章と中身に少し難あり。

長文感想

 雰囲気はよい。ミステリアスな空気が漂い、どうなるんだろうと物語が進められる。音楽、声、人物イラストも、好みの問題があるかもしれないが、特には問題ないと思う。
 問題はまず、背景の絵がある。建物が…下手だ。ハッキリ言って。もう少し何とかして欲しい。
 次に中身。注意しないといけないのは、全てクリアしてこの物語の全貌がわかる点である。なので一人だけ、二人だけクリアしても全貌がわからないので、やるからには全てクリアするといいと思う。で、その中身が物足りない、話によっては急すぎる展開と、無理な説明でハッピーエンドになる。もう少し練って欲しかった。説明不足的なところが所々にある。
 次に文章。これは…変である。主人公は作家だが、おかしい言葉遣いがある。まず、不自然な会話が気になった。しないだろう、こんな会話。しかも言葉の使い方が変。「相対的な見方でないと…」って普通言わない。「いろんな見方でないと…」と言えばいいのに、それを変な小難しい単語で言うのが目立つ。しかも、意味があっていればいいが、文脈上おかしいこともあって、意味わかって使っているのか?と眉をしかめざるを得ないこともある。会話に「君は一神教じゃないの…云々」「わたし、多神教…云々」「仏教が…一神教は嫌い」などと会話があるだろうか?実際。不自然である。しかも、違う人物が同じような単語を使って変な会話になってキャラの使い分けが出来ていない。みんな同じような堅苦しくて不自然な会話をしている。もっと上手に難しい言葉を使わず、会話に出てくるような感じで、自然に会話を書けないだろうか?心情説明も上に同じくおかしい。本当に文章の上手な人はその場にふさわしい自然な言葉、変に難しくなく堅苦しくない言葉を使って書くものだ。その点で『好き好き大好き!』(13cm)は心情描写の文章が上手い。すんなりと読める。
 どうも、エロゲーの文章はこうした不自然な会話や文章が多い気がする。「相対的」、「形而上」などの評論チックな言葉を使って薀蓄くさいようなことを見せたがる文章が多い。または、字足らずな、わざとかも知れないが幼稚な文章のどちらかが多い。もっとすんなり読めてそれでいて味わい深い文章を書いて欲しい。難しいかもしれないが、少なくとも「君のその見方は主観的な相対的でない愚かな見方だ。」みたいな会話はよして欲しい。「君の見方は自分勝手で周りのことを考えない馬鹿な見方だ。」と、もっと自然な感じに言い換えられるだろう。もっと推敲して欲しい。