幼な心を忘れた君へ。
少年の日に夢見た未知の世界、それは空想の世界でも、本の中の写真の世界でも、それらは大人になるにつれて、薄れていく。たとえ忘れずとも、あのときの未知の世界に胸躍らせたワクワク感はほとんど消えてしまっているかもしれない。
この作品はそんな「ワクワク」感を思い起こさせてくれる作品だ。青い空青い海。その中を空を飛びながらいろんな「人」に出会うのは、胸踊り、楽しいことである。エロゲーながらそんなことは忘れさせてくれる、ある意味エロゲーとしては駄目かもしれない。（不自然なHシーンも少しある。）しかし、登場人物の魅力（コニー、シェラ、レヴィ、エイダ、ネーエル、デ・マクシム、他たくさん）、格好良さ（蒸気王、ムムリク、バイロン、マタイオス、カルベルティ）と世界観は少年の日のワクワク感、冒険心、知らないものへの興味と知ることの興奮を呼び起こしてくれる。いろいろ謎を散りばめすぎて、わかり難いところもあったし、最後が説明不足なところもあったかもしれない、細かいところで不満はいくつかあったかもしれないが、それでもこの作品にはそれらを気にさせないものがしっかりとある。イラストもカッコイイのはカッコイイ、綺麗なのは綺麗、可愛いのは可愛く描けている。護国卿氏のイラストは素敵だ。音楽も歌もいい。悲しいときは悲しく聴こえるものを。大空へ飛び立つときは雄大な曲を聴かせてくれる。主題歌は作品の雰囲気に合致している。これからも是非、ライアーはこういうものを、ある意味エロゲーらしくないものを作り続けてほしい。
この作品が売れることと、それによって、この会社が続くことを祈る意味もこめて少しだけ、点数を甘めにつけた。しかし、面白いのは確かだ。他の人にもやってほしい。幼な心を思い出したい人へ。