前作の素材を用いて、いかに安く一作品作り上げるかという趣旨で作られたであろうこの作品は、８８００円で購入できる、バグとイライラと絶望がたっぷり詰った玉手箱。
声優が総入れ替えされているのも予算が理由だと思われ、全員演技力に欠けた素人レベル。
作画がある程度安定していた前作から使いまわした立ち絵や一部イベントＣＧと、新規に書き下ろされたキャラ＆イベントＣＧに質的落差がありすぎて言葉を失う。
具体的にはＣＧ鑑賞、まなみの欄にある、かえでがゲームのコントローラーを持っているＣＧ以下つぐみのＣＧ２つ（主人公の肩に顔を乗せているものとバストアップ）、あゆかとゆきのバストアップ、ゆきが横になってるＣＧと、ななみ、まなみ以外の登場人物の立ち絵は前作からの使い回しです。これらとその他のＣＧを見比べてみればその差は歴然。
ＯＰムービーで、作品のタイトルに準えてなのだろう、度々右手が現れるがそれだけ実写だったり真っ白の手首だけが突き出てたりと完全にホラー。
ざっとプレイするだけで発見できる数々のテキストミスや、テキストと違う音声＆、テキストのみで音声なしの部分が大量にあるなどひとつの商品として物を売るってレベルに達していない。
特にあゆかルートなどは、筆舌に尽くしがたい努力を持ってようやくその声の違和感に慣れた矢先に音声の無い台詞が延々続いたりする。エロシーンもひどいもので、全編音声無しな場所があったり（あゆかルートで確認）エロシーンほぼ丸々音声がひとつづつずれていたりと（まなみルートで確認）製作スタッフに殺意を抱くレベルの怒りを感じたのはこの作品がはじめてだ。
ＣＧが切り替わってわずか数クリックで終了するエロシーンもいくつか存在。テキストが用意できなかったのか、それとも声優に読み上げてもらう予算が尽きた為のカットだったのか。
表示されてるＣＧとテキストが一致していないモノも散見される。
かなりの重傷を負ったはずの右手は包帯に包まれたままどっぷり湯船に浸かっておっぱい鷲掴みしていたりと治す気ゼロ。というかイベントＣＧにてちょいちょい包帯が無いものがあり、挙句浜辺で砂の城とか作ってたりする。こいつ実は怪我なんてしてないだろ。
テキストでは青い水着のはずが、表示されているのは黄色の水着。主人公は右手ではなく脳に何らかの傷を負ったようだ。
ななみのコスプレＨの時など主人公のナニが下着をすり抜けて挿入されている。横にずらすなどではなく、本当にすり抜けている。差分表示ミスなのか、それとももともと差分が用意されていないのか。もしくはそういうイリュージョンなのか。（Mr.マリックが百円玉にタバコを貫通させるやつを思い出した。そんなアクロバティックなセックスが見たい訳ではない）
上記のさまざまなＣＧとテキストの不一致があまりにも多すぎて、何かＳＦ的なシナリオへ発展する複線なのかと、一瞬疑いを持ったほどだ。
Galette内の当作品紹介ＨＰにて掲載されているイベントＣＧ（イベントＣＧ０５）のかえでは胸が出ているが、実際のゲーム内ではこの胸が出ている差分は存在しない。
背景も新規のものはフリーの３Ｄ素材をそのまま使用したと思わせるひどいものばかり。
動作、ＵＩもひどいもので、台詞が読み上げられる時に表示される筈の名札には名前が一切表示されない、コンフィグで画面サイズを変更しようとしたら、選択してないのにカーソルを持って行っただけで表示が切り替わったりと、デバックはおろか通しプレイすらしていないと思われるようなバクの嵐。このような事からこの作品がやっつけ仕事で適当に作られ、動作チェックも行われないまま店頭に並んだのは明白。
発売から二ヶ月経った２０１７年１１月２９日に修正パッチが公開されましたが、これを使用してもまったく何も改善されません。
プレイしてみても発見済みの問題が改善されたようには見えなかったのでパッチデータを確認してみると、修正パッチのexeはのぞきみダイアリーパッチのsetup.exeと同一のもの。そしてどうやら必要なデータが入ってないらしく、セミの抜け殻状態と本当にどうしようもない。
ＤＬ版はパッチ適用済みらしいので、これから購入を考えてる被爆したい方はそっちを購入したほうがいいっぽい。
結局修正パッチモドキのファイルを公開した後は安定の沈黙が続いており、パッケージ版を購入した大半の人たちは恐らく、とっくの昔に売り飛ばしているでしょう。
・・・このゲームに携わってるスタッフは本当に仕事の出来ない社会のゴミなんだなぁと思うに至り、そんな人間も雇用するエロゲー業界の懐の深さに涙が出る思いだ。
前作は”抜きゲー”としては、ＣＧやテキストが一定のレベルに達していた上（まぁ前作も、どう見てもお腹からおちんちんが生えてるＣＧとかあったけど）声優も手堅いキャスティングだったので、購入したかなりの方はそれと同程度の内容を期待したに違いない訳で、そういった布石がある中でのこの出来は、ゴミとか地雷とかいう生易しいものではなく、放射性廃棄物とでも言うべき代物だ。
まともな続編を望むなら、むしろ前作のスタッフが複数関わっている”お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか？”のほうが別ブランド(Tinkle Position) ながらそのコンセプトやクウォリティを引き継いでるためお勧めできる。同作品との間には、同じ８８００円とは思えない差があります。
思えばこれの前に出された作品である「ちっちゃな花嫁 ～まだまだつぼみだもんっ～」も、ほぼこれと同じ欠点を抱えていたことを思い出し「あーGaletteはもう虫の息で辛うじて生息してる状態なんだろうな」と切ない気持ちにすらなった。
おそらくこのメーカーには”サンタフルサマー”やコレの前作”お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!”のような普通の抜きゲーを作る体力が経済的にもやる気的にももう無いのだろう。
振り返ればそういう怪しさは”お兄ちゃんティーチャー～秘密の授業を希望します！～”あたりから既に漂っていた気がする。(絵の質はコレよりぜんぜん良かったが）
８８００円で手に入るのは、縮小しつつあるエロゲー業界の侘しさ、世知辛さ。
Galetteを見取るような思いで香典代わりに万札出して良いという方は購入を検討されるのも、また一興。
大金使ってごみを手にして「無駄金使ったわ」と力なく笑う。
そういう大人の遊びも在って良い。
そんな器の大きなナルシストの方に、お勧めしたい一品です。