個人的には-100点
BGM、UIは普通。
絵は比較的良質で、Hシーンも回数、ボリュームともにそれなり。
プロット構成としてストーリーを大雑把に見た場合、茶番に近い展開も多々あるものの、それも割としっかり作ってある。
テキストも、つなたい部分やチープな言い回しがあるものの、それほど低水準というわけでもない。
だから評価の点数は60点にしてるんだけど、きわめて個人的な理由でこのゲームをプレイしている間中腹が立って仕方がなかったので、感情を加味すると点数はー100点となるわけです。
ただこれはあくまでも、人によっては受け入れられるかもしれない部分において、自分はどうしても無理だったところによるわけで、それをスコアに極端に反映してしまうのはレビューというより愚痴になる気がしたので、そこは除外して”抜きゲーとして使えるか”と、”ストーリーとして違和感がないか”、だけを無感情に判断して60点としております。
以下、個人的に無理な理由を書き込みますが、「あーそういうの良いわ、お前の意見なんぞチラシの裏にでも書いてろ」という方、それと、この作品が楽しめた、面白かったよ!と思った方は読まないでください。
主人公がクソ過ぎる!
このゲームの主人公、神木一真は地方ではそこそこの良家の生まれだが、幼少時病のせいで記憶を失い、曽祖父の意向でそれを理由に家から切り離され、両親ともそれ以後会う事も無く過ごして来た。
その経緯から一真は神木という家名、家の都合や権威に対して強い拒絶反応を持っており、また幼少期に仕事を理由に海外に行ったきりの両親に対しても平穏ならざる感情を抱いていた。
そんな折、記憶喪失以前に許婚として約束を交わしていた諏訪紫苑が現れ、神木本家からは秘書が「この縁談を受けてくれ」と要求しにやってくる。
家の都合で振り回されるのが癪に障る一真は、同じく親に男を宛がわれそうになっていた月夜野悠那と利害が一致、双方相手を切る為に恋人として偽装することに。
・・・こうしてみると、本当プロットとしてはまあ良く出来ていて、いかにも”エロゲとして”面白そうだ。
しかし問題なのは主人公。
主人公、神木一真という男、日常平時は常識人ぶって良識人的な発言をするが、ことが家、女性問題などになると途端にうじうじとどーでも良い事を考え、”悩んでいる”事を免罪符だとでも思っているのか、煮え切らない態度をとり続けて何もしないのだ。
月夜野悠那の相手の男は性格的に問題があり、確かに彼女のためには偽装カップルが必要だったと思う。が、諏訪紫苑は嘘がつけず、恐ろしいほどにお人よしであり、ただ真っ直ぐ主人公に好意を向けてくるのだ。
しかも一真は紫苑のそういった本質を理解しており、にも関わらず偽装カップルという嘘で諦めさせようとする。
今の生活や両親の仕事など、色々と神木本家に弱みを握られているからといって、これはあまりに不誠実な対応だと思ってしまう。
本当の事を言い、事情も説明して理解を得ることは彼女の性格からして間違いなく可能だろうし、一連の行動を彼女の両親が了承していることからも諏訪家から何がしかの圧力が掛かると言う事も考えにくい。
さらに言うと紫苑ルートでは、紫苑自身が思慕の情を捨てることが出来ずに一真を追うことを両親に話し、許可を得て会いに来ただけで、神木本家は降って沸いた良縁に付け入ろうとしていただけだと判明する。
つまり最初の段階で、一真が誠実に対応していれば諏訪家の方から根回しが成されて問題は解決したであろうことは間違いない。
コイツの下らん判断が話しを拗れさせ、ルートによっては紫苑は物語のかなり後半まで中途半端な立場で放置されることになるのだ。
紫苑ルート中盤、一真は紫苑が好きなのは”自分が忘れてしまった過去の自分”だと勝手に断定、散々気のあるそぶりを見せていたくせに、唐突に突き放すような態度をとって紫苑を遠ざけようとする。
そしてその態度を偽装カップルを続けていた相手、月夜野悠那に諭され、彼女に偽装カップル解消と言わせてしまう。
想いを殺して自分から別れを切り出した悠那に対して「結構凹むなぁ」などと言うこの馬鹿は、ただエロい事考えながら状況に流されてただけ。
その後に悠那が流す涙を考えるとマジでコイツは動かなくなるまで殴りたくなる。
後半、神木本家の秘書から「もう付き合ってんだから結婚するよな?そこまでのレールはこっちで敷くから」と言われ「結婚とかはちょっと判んないなー」。まあそれは分かる。
が、「アンタ将来何して稼いで彼女養うん?夢とかあんの?」と返され途方にくれる主人公は、普段は明るみにするべきではない本心を慰め目当てにぼろぼろしゃべるくせに、ここでは独りよがりで「俺の問題だから」と、一緒にやっていくと言ってた彼女に一切相談せずに友人を頼る。
そして友人に「勉強超頑張って、神木も諏訪も手を出せないような一流企業に就職すれば良くね?」と言われ「目から鱗だわ!!」と大喜び。・・・その頭では無理じゃね?
小鳥遊光ルートでは、光の水着でオナニーしていた所を本人に見つかり、事もあろうかガチ泣きし始め彼女に慰めてもらっている。
・・・本当気持ち悪い。光の水着でオナニーしていたことがではない。それを見つかったときに泣く男。普通泣きたいのは被害者である光のほうだろう。無様にもほどがある。
光ルート後半で妊娠問題が持ち上がるが、一真が友人に相談したときに返ってきた答えも失笑ものだ。
「それならだ。いっそのことその両親に生まれてくる子供のお金を出させてしまえば良いんだよ。一真の両親はずっとお金のみで親としての監督責任を果たしていないのだから、息子が間違いを起こしても仕方がない。言い訳としてはそれでも充分じゃないか」 ←原文ママ
いや充分じゃねーよ!
・・・親友はさらに、
「こういうとき、いつも無計画だの無責任だのという連中が湧いてくるが、そんなことを言っているから、この国の少子化は止まることを知らないんだよ。国はそんな状態なのに、何故生まれてくる子供を祝福できないんだよ。そんなのおかしいだろ」 ←原文ママ
と、聞いてもいないのに少子高齢化社会に対しての私見まで語ってくれる。
そして一真はこのアドバイスに、
「今までで一番いい案だ」
とご納得の様子。
クソの主人公にはクソの親友が出来るわけだ。
月夜野悠那ルートでも主人公は基本的に何もしない。
決断や行動は全部悠那が肩代わりしており、神木の秘書との折衝(親の名刺叩き付けただけだけど)、両親との不仲等をその行動力でどんどん解決していく。むしろこの子を男にして主人公化したほうが良くねぇかと本気で思うほどに月夜野悠那は気持ちの良い性格をしている。
彼女の為に主人公がしたことといえば腰振ってたか、家とのごたごたで溜まったフラストレーション解消の為に悠那に言い寄る先輩を殴ったくらいであり、しかも普通に考えればこんなの下手すれば悠那にもさらなる迷惑が掛かる蛮行でしかない。
彩花ルートに至っては、本当に腰振る以外何もしてない。
一真の煮え切らない優柔不断な態度はありとあらゆる場面でその不快さを遺憾なく発揮し、徹頭徹尾行動しないその姿は見ているだけでストレスが溜まる。
なんとか頑張って一真の”よかった探し”(知らない人は 愛少女ポリアンナ物語 で検索だ)をしてみたが、「子供のとき病気で死ねば”よかった”のに」くらいしか出てこない。
・・・この主人公だけは受け入れることが出来ませんでした。
あと、このゲームやたらと何度もOPが流れます。
テキストスキップを使うとOPを見るか見ないかわざわざ選択肢が出てスキップが中断するほどに、徹底的にOPを見せようとする。毎回違うムービーならまだ許せるが、当然全てまったく同じモノだ。
しかもこれとは別にアイキャッチも入ってくる。
どういうこだわりなのか、俺にはまったく理解できない。