絶望の先に希望を求め、途上で倒れ逝く兵士たちの物語
このタイトルをわざわざ購入するユーザーって、別にもう肌色求めてないだろうから言うのもどうかと思うけど、一応言っておくと、これ一部を除いて殆どの登場人物が女性である必要すらない内容です。
しかもその”一部”に入るアイリスディーナ・ベルンハルト と リィズ・ホーエンシュタインすら、主人公との関係は楽しい恋愛模様とは程遠いもの。
なので、絵が気に入って恋愛ストーリー楽しみたいとか思ってるなら絶対に購入は避けてください。間違いなく血の涙を流すことになります。
ストーリーは、異星起源種BETAによって滅亡の危機に瀕した人類が、それでも国家間の齟齬に端を発した不毛な政治闘争を取り除くことが出来ない世界。
その只中、ベルリンの壁崩壊以前の東西ドイツをモチーフに、史上最悪とまで言われる究極の監視社会だった東ドイツを舞台に、国家保安省による密告社会の中で粛清される事をひたすら恐れながら、生き別れとなった義妹リィズの消息を掴む為だけに生きる主人公、テオドール・エーベルバッハを中心に動いていく。
極限状態の中で常に求められる「命の選別」。
合理的、最大多数の命の為に切り捨てられる数多の命。
そして切り捨てられた兵士達は、ゴミのように次々と死んでいく。
BETAの進行によって風前の灯の東ドイツ。
にも関わらず、国内は国家保安省と国家人民軍との間での権力闘争が激化していく。
感想を一言で言えば「ぼくのかんがえた、さいきょうのふこう」であり、はっきり言って救いなんてまったく無い。
肌色ほぼゼロ。
血と硝煙の匂い立ち込める鋼色の世界が好きな方にこそ、この作品はお勧めです。
ちなみにー10点は原作の小説と比べての話。
本当にこの作品を楽しみたいなら原作を読む事を強くお勧めします。