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風間さんの恋する気持ちのかさねかたの長文感想

ユーザー
風間
ゲーム
恋する気持ちのかさねかた
ブランド
ensemble
得点
60
参照数
750

一言コメント

魅力的なキャラクターを使いきれなかった勿体ない作品。(長文は前半は体験版部分までの軽いネタバレまで。スペース後の後半は本編のネタバレあり)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ブランド作品プレイ経験:花と乙女に祝福を・桜舞う乙女のロンド (本編・FD)・Golden Marriage(本編・FD)・乙女が奏でる恋のアリア(本編・FD)
関連ブランドプレイ経験(PULLTOP):ココロ@ファンクション!

とある学園の理事長の弟である主人公が、隣接する学園との統合に伴い発生した生徒の問題や不安要素の調査を命じられ、それを行ううちにヒロインと心を通わせていくという物語。

ensembleは女装主人公物(乙女シリーズ)が有名だが、こちらはもう一つの軸である通常男性主人公系。
今作の良い点はキャラクターが可愛い事。もちろんこれまでの作品も同じではあるのだが、今回はその中でも一番良かった。
乙女系と違ってGolden Marriageやこちらは淡い系統の絵柄だが、それが雰囲気にあっていてどのヒロインを攻略していても可愛いと思えた。

……ただし、キャラクターとしては、であるが。

悪い点は何といってもシナリオが短い事。
体験版の時点で起きた問題を解決したらはい終わり、と言っても過言ではない。
ensembleやAXLの作品はボリュームに対してセーブ数が少なく、いつもゲーム内で何日か経ってから一つセーブとやっていたので不満があったのだが、今作はその問題が発生しなかった。
(勿論「セーブ領域が埋まるほどのボリュームが無かった」という悪い意味で)
また、シナリオが短いせいで話の起承転結がしっかり書かれておらず、話の流れが唐突だったり言葉足らずな場面が多々見られたのが欠点だった。
せっかく各ヒロインが魅力的だったのに、シナリオのせいでそれが差し引かれてしまうのは非常に勿体無い。


セーブ:90箇所+クイック5箇所+オート5箇所

  シナリオ:2 ↑に書いた通り。話の軸そのものは悪く無いルートもあっただけに残念。
キャラクター:5 このブランドでは最高レベル。
   BGM:4 全体的に悪くはない。特にこれが良いというものも無いが。
    OP:3 ↑と同じく。ただ起動時に流れるOP1はともかく、途中で流れるOP2は印象自体が薄い。
  システム:3 まぁ無難。今回はシナリオのせいで問題無かったが、いい加減セーブ可能数を増やして欲しい。
   主人公:4 これも無難。シナリオ自体が良ければ5でも良かったけど。

 プレイ順:沙織→一花→美桜→朱子→ひより→由希江
 好きな順:一花・沙織・美桜>朱子>ひより>由希江


■月島沙織(キャラ5)
 クラスメートであり、主人公が通う清桜学園の学生会長。
 外向けの優等生モードと二人きりの時のだらけモード、どちらも可愛くて良かった。特にだらけというか甘えモードの時。
 周囲から恋人同士だと誤解されていたという事だが、やはり全ヒロインの中でも一番主人公とお似合いだと思う。

■柊美桜(キャラ5)
 統合先である白羽学園の理事長の妹。
 今回の塗りに合っていたという意味ではこの娘が一番だった。
 特に引越しの梱包作業時のCGがやけに色っぽい。

■鳴海朱子(キャラ5)
 統合で消滅危機にある白羽学園ビーチバレー部のキャプテン。
 さっぱりとした所や、それに対して純情な所があるのは良かった。
 シナリオ面で魅力が足を引っ張られたのが残念。

■久遠寺ひより(キャラ4)
 妹の親友で恋に恋するウェイトレス。
 他ヒロインに負けず劣らず可愛いのだが、妄想族である事がマイナス点。

■鏑木由希江(キャラ4)
 白羽学園学生会長であり、隣家に住むお姉さん。
 美人なようで可愛い系が強めの年上キャラという事で好みではあるのだが、シナリオが大きく足を引っ張っていたのが非常に残念。
 他ルートだと一番影が薄いし、色々と可哀相。

■皇城一花(キャラ5)
 主人公の義理の妹にしてヒロインの小姑。
 WillPlus系列定番の分割商……追加パッチによって攻略可能。
 可愛くて健気でお茶目で家事万能と申し分無し。正直全ヒロインの中で一番好み。
 

~~~~~~ネタバレ度小はここまで。以下、スペースを空けた後、ネタバレ前提のシナリオ評価~~~~~~~





















































~~~~~~ここからネタバレ全開放~~~~~~~

各ルートごとの感想については以下の通り。

■月島沙織√(シナリオ2)
 統合の問題解決最中に親類が押し寄せてなし崩し的に同居……あれ、統合関係なくない?
 そして最後に主人公の本気度を見る為に兄と沙織の父が取った手段、それはカードゲームだった……え?
 沙織の実の両親が亡くなった事について義父が何か知っている(あるいは関わっている)感じなのにそれも語られないし、沙織が可愛いだけのシナリオだった。

■柊美桜√(シナリオ2)
 先の方に攻略した事を差し引いても印象が薄い。何か嫉妬が面倒だったなぁ、としか……
 あと、個人的嗜好だが美桜は白羽の制服の方が似合っていたので途中から清桜の制服に変わってしまったのが残念。

■鳴海朱子√(シナリオ2)
 突然押しかけて同居&壊滅的な寝起きの悪さで迷惑を掛ける……何だこれ。
 可愛いヒロインがやってるからまだマシってだけで正直どうなんだと思わずにはいられなかった。
 同居がコンセプト=無理やりにでも同居させなきゃ、という都合に振り回された結果にしか見えない。
 ……というか、体育祭後も同居を続けるか否かの話はどうなった?

■久遠寺ひより√(シナリオ3)
 沙織の親類もそうだが、ひよりの父は他√だと大人しくしているのだろうか。と考えると少しモヤモヤする。
 主人公の行動次第で変わるのならまだしも、この両者はそんな事ないので余計に。
 まぁ父と娘の(伝えようと思っていた事、伝えられていなかった事による)すれ違い、それを主人公が繋ぐ事で解消へ向かうという流れは良かった。
 そのおかげで全√で一番マシなシナリオではある。

■鏑木由希江√(シナリオ2)
 ……痴女だこれ。ライターが何をしたかったのかさっぱり分からない。
 心の声を一文字ずつ空けるツッコミとかも他のシナリオと毛色が違うし。「グラウンド」ではなく「グランド」とか論外。
 誰が担当したのかは知らないけど、今後はensembleに関わらないで欲しい。
 最後の方で三年生であるからこその流れになったのは良かったけど、それが無ければ確実に1評価だった。

■皇城一花√(シナリオ2)
 短い。
 こんなに短いのなら独立して体験版を出す必要無かったのでは?
 分割商法やるくらいならせめて乙女が奏でる恋のアリア(希実&奏√追加)くらいのボリュームは欲しい。