まさに「雰囲気が良い作品」。(長文は前半は体験版部分までの軽いネタバレまで。スペース後の後半は本編のネタバレあり)
ブランド作品プレイ経験:スズノネセブン! ・スズノネFD・あまつみそらに! ・カミカゼ☆エクスプローラー! ・プリズム◇リコレクション! ・サキガケ⇒ジェネレーション! (未クリア:かみぱに!)
遺伝子情報で人を産み出せる事で性知識が過去の物となった未来から『現代』へとやってきた主人公が、未来と現代の女の子と触れ合って過ごしていくという物語。
Clochetteの作品はいつも絵が綺麗で雰囲気が良いという評価が合うものばかりだが、今回も負けず劣らずの出来だった。
特に今回は明確な『敵』というものが存在せず、未来と現代の価値観の差自体、またはそこから発生する問題を解決するのが主なので、あの空間を気に入る事が出来るかが評価の分かれ目だと思う。
(個人的にはあの雰囲気は凄く好きだったので、その分評価も高くなった)
また、絵はいつものしんたろーさん・御敷仁ではなくせせなやうさんなので印象はこれまでと変わっている。
ただしこれも個人的には(ランプやサガプラの作品で好きな絵師さんの一人だったので)問題無かった。ここまで違和感がなかったのは良い意味で予想外だったが。
台詞の最中にもコロコロ表情が変わったり、セーブ数がページ追加で好きに増やせるなど、システム面も相変わらず便利で有り難い。
(特にセーブ数は「こんなのじゃ足りないよ」という作品が他社では多い為、この形は非常に助かる)
唯一の減点要素はサブキャラ攻略がおまけ以下の出来だった事。
スズノネFDほどガッツリやるのは無理だとしても、せめて最初から最後まで一本の線で通して欲しかった。
この辺は他社ではあるが、スミレ(ラブレッシブ・夏恋ハイプレッシャー)を見習って欲しい。
セーブ:12箇所×10ページ(1ページ単位で追加可能)+クイック12箇所
シナリオ:5 のんびりとした雰囲気。気に入る人はかなり気に入る。
キャラクター:5 全員良い。絵師の変更も全く問題無し。
BGM:4 これも全体的に雰囲気にあっていた。
OP:3 普通。悪くは無いが、周回では選択肢から始めるので何回も見直す事もない。
システム:4 次のシーンへだけでなく次の選択肢へもあれば更に良かった。とはいえ全体的に高水準。
主人公:5 周囲から異端視される事に腐る訳でもなく驕る訳でもなく、女の子と出会ってからは幸せの為に努力も出来る所に好感が持てた。
プレイ順:アリカ→いろは→クラレッタ→紅緒→寿→ユノ
好きな順:アリカ>いろは・寿>ユノ>クラレッタ・紅緒・小萩(全員そこまで差は無し)
■蛍塚アリカ(キャラ5)
クラスメートであり、未来でのエリート。
一見ドライな所があるように見えるが、実は「未来での常識」のせいでそう見えるだけであり、実際は色々考えていたり優しい所が見えたのが良かった。
性に関する常識・知識が全然無いというのも本人のルートだけでなく他ルートでも良いアクセントとなっていた。
■蛍塚ユノ(キャラ5)
アリカの妹で過去の知識好き。
外見的にはメイン4人の中で一番興味が無かったのだが、少し小悪魔な所も含めて言動が可愛くて予想以上に良かった。
■初姫いろは(キャラ5)
現代での主人公のホームステイ先の娘兼、主人公が最初に出会った現代の女の子。
主人公を兄のように慕ってくれる純粋な娘で、その純粋さに非常に癒された。
■久万里寿(キャラ5)
村長の娘でメインヒロインの中で一番スタイルが良い大和撫子。
一歩引いた静かな佇まいがいろはとは別の意味で落ち着ける娘。個人的には少し傾げたポーズからの上目づかいが特に好き。
■クラレッタ・リットリオ(キャラ4)
未来から派遣されて現代で暮らしている駐在員。
おっとりとしたお姉さんキャラで、年上でもこういったかわいい系は好み。
サブシナリオがちゃんとしていれば良かったのだが……
■鴫原紅緒(キャラ4)
現代の学校でクラスメートとなる少女。最初から主人公にベタ惚れ。
メインキャラが軒並み強力なだけで、彼女も悪くは無い。
サブシナ(略)
■宮園小萩(キャラ4)
とある目的で動く少女。体験版範囲では大きく動かないので詳細は省略。
どうせならこの娘も攻略可能なら良かった。(サブシナリオがもっとちゃんとした上でだが)
~~~~~~ネタバレ度小はここまで。以下、スペースを空けた後、ネタバレ前提のシナリオ評価~~~~~~~
~~~~~~ここからネタバレ全開放~~~~~~~
各ルートごとの感想については以下の通り。
■蛍塚アリカ√(シナリオ5)
典型的な未来人である彼女の意識がどう変わるか。そしてそれが未来の偏った意識を直すためにどう影響させれば良いかの動きが全シナリオで一番良かった。
性知識が皆無&子づくりは素晴らしいものという意識が刷り込まれた彼女とのやり取りも新鮮で、設定を上手く使っていた。
結末・エンディングは全シナリオの中で一番好み。
■蛍塚ユノ√(シナリオ4)
異端児で現代に近い感性を持つが故に「意識が変わる」ではなく「(姉や未来人の)意識を変える」というアプローチなのがアリカ√とは違って面白かった。
そして予想よりもイチャラブ成分が強めだった事と、意外とアリカの純粋さ等でタジタジとなるユノが見られたのも良かった。
(あと上映会ではしゃいだり、生まれたユノの子供の世話が楽しそうなアリカ)
■初姫いろは√(シナリオ3)
アリカとは少し違った形で純粋なシナリオだった。
恋人になっても兄妹っぽさが無くなる訳でもなかったのは個人的に好感触。
唯一未来が直接絡まないが故に起きた問題と、その解決方法は全シナリオの中では一番微妙だったかも。
■久万里寿√(シナリオ4)
他の√と違って主人公が現代への定住を考えずに寿を嫁として未来に連れ帰る事をメインで考えている所が若干違和感ではあった。
ただ、未来の意識改革を小説という現代の武器で現代人の寿が行うという結末は好きではあるが。
おまけのアフターストーリーなんかで未来での一日を見たかった。
■クラレッタ・リットリオ√(シナリオ2)
短いしあっさりしすぎ。
紅緒√よりはマシだが惹かれる切っ掛けが回想に近いのはどうかと。
■鴫原紅緒√(シナリオ1)
本編で既にベタ惚れとはいえ、付き合うことになったシーンを回想で片づけるのは問題外。
紅緒自体はキャラとして好きなだけにすごく勿体なかった。