このブランドとしては珍しくコンセプト通りの作品だった。(長文は前半は極力ネタバレ無し。スペース後の後半は本編のネタバレあり)
ブランド作品プレイ経験:HimeのちHoney・アッチむいて恋・恋愛0キロメートル
「父親の単身赴任に付き添って地元を離れていた主人公が、実家に帰り男子校から共学の学園に編入したのを切っ掛けに彼女を作ろうとして数名の女の子と知り合うも、皆身内の友人達でした」という所から始まる物語。
ASa projectの作品は基本的に事前に告知されているコンセプト(例:「貧乏学生の一発逆転の恋」「男と女装の二重生活で分かるヒロインの裏側」「娘が欲しかった男兄弟一家」)が実際にはあまり反映されていない事が多かったのだが、今作はコンセプトの「ひとつ飛ばし恋愛」が良く表現出来ていたと思う。
また、アッチむいて恋以降の強烈なギャグもいつも通りで安心した。
もっとも、この点は個別で若干シリアスが混ざると落ち着くので、そこを失速と捉える人もいると思う。自分は気にならないが。
気になるという点ではりさ(ヒロインの一人)の顔芸が強烈過ぎたのは若干マイナス要素。
同様の意見の人も多いみたいだが、個人的にはアッチむいて恋の優由くらいが丁度良く、恋愛0キロメートルの乃希亜が何とか許容範囲。今作の蛙の目みたいな表情とかは行き過ぎに感じたので、そこが残念だった。
ただ、キャラの魅力としては作品数を重ねるごとに増してきていると思う。
特に今回は「飛ばさない」側である身内も含めて気に入ったヒロインが多かった。
このブランドの傾向からサブの攻略は無いと思っていたし、残念ながら実際その通りではあったが。
攻略ヒロイン数が減った事もありボリュームの点では過去作より物足りなく感じるが、内容としては概ね満足出来た。
セーブ:96箇所+クイック
シナリオ:4 名作ほどでは無いが良作と言える。
キャラクター:5 サブヒロインも含めて魅力的。
BGM:4 基本的に悪く無い。ただ敢えて言うなら、Hシーンの曲が場面に合っていない。
OP:5 ASa projectは毎回OP曲が良い。好みとしてはアッチむいて恋の次に好き
システム:2 スキップの進みが遅いのがやや難点。あと毎度の事だがセーブ可能数が少ない。せめて毎朝セーブしても足りるくらいは欲しい。
主人公:3 本能に忠実過ぎる部分があるのと時折変なノリになるのを除けば良し。料理が出来たり、昨今の標準な主人公としてのスペックは満たしているかと。
プレイ順:碧里→桜→夏芽→りさ
好きな順:紅>碧里>桜・千乃・夏芽>阿知華・さちこ>りさ>メグ
■園原碧里(キャラ5)
妹の友達。
出会いからのやり取りを経て気軽に接して来る所と、何だかんだで主人公を慕っている部分が徐々に増えてくるのが良かった。
■玉森桜(キャラ5)
幼なじみの幼馴染。千乃大好きっ娘。
その点からシナリオのインパクトが薄くなりそうだったが、思いがけず良い展開になった事から桜自体の魅力もアップした。
■蒼木夏芽(キャラ5)
姉の友達。かつ友人の義姉。
最初は厳しいイメージを受けるが、徐々に優しい所、可愛い所を知って行くに従って好きになれるヒロインだった。
■寿りさ(キャラ3)
いとこの舎妹。かつ今回のギャグ要員。
攻略ルート以外では完全にギャグのみの要員と言って良い。その点では好みのキャラでは無いが、攻略ルートでは思ったより可愛いと思える所があったのは良かった。
■三枝紅(キャラ5)
主人公の妹。サブキャラ。
ちょっと捻くれたブラコンで、正直全ヒロインの中で一番可愛かった。
ASa projectは(恋愛0キロメートルの移植でルートが追加された以外は)サブのルートは無いし、FDも出さないから期待はしていなかったが、やはり攻略出来ないのが残念と思える可愛さだった。
■五味渕千乃(キャラ5)
主人公の幼馴染。サブキャラ。
ASa(略)だが、個別ルート、もしくは桜と纏めてのルートが無いのが残念だった。
紅もそうだが、千乃もメインヒロイン(桜)とセットが良く似合っていた。
■三枝メグ(キャラ3)
主人公の姉。サブキャラ。
唯一、特にルートとかが無くても良いと思えるキャラ。
ボーイッシュは人気無いから仕方ないね。
■羽田野阿知華(キャラ4)
主人公の従姉妹。サブキャラ。
正直りさより阿知華を(略)
■三枝さちこ(キャラ4)
主人公の母。サブキャラ。エロい。
ルートが無いのが残念。まぁあっても困るのだが。
~~~~~~ネタバレ度小はここまで。以下、スペースを空けた後、ネタバレ前提のシナリオ評価~~~~~~~
~~~~~~ここからネタバレ全開放~~~~~~~
全体的に少し残念だったのは、個別ルートに入るとルートのヒロイン+サブヒロイン以外の出番が極端に落ちてしまう点か。
(紅とメグは家族という事で若干出番はあったが、碧里や阿知華は特に出番が少なくなっていたと思う)
各ルートごとの感想については以下の通り。
■園原碧里√(シナリオ3)
二人が付き合う辺りまでは良かったが、その後に「紅の主人公への想い」「碧里と弟(万里)の問題」「碧里の渡豪の問題」(+「紅の泳ぎ」)と詰め込み過ぎた分、どれも中途半端になったのが残念だった。
渡豪はいきなりだったし、特に無くても良かったのでは。
また、紅の件に片が付いてから万里の問題に行った方がちゃんと纏まったと思う。
骨折していた碧里の泳ぎでレコードが出たという点もご都合主義に感じたし、攻略ヒロインの中では一番好きなのにシナリオとしては一番微妙だったのが残念。
……紅もセットで攻略出来ればなお良かった。
(特に実妹ゆえ単独ルートとするのは微妙だし)
■玉森桜√(シナリオ5)
多分大方の人が4つの中で一番評価が低くなるであろうと予想したルートだが、蓋を開けてみれば一番しっくり来て良いと思えるルートだった。
千乃の誕生日をサプライズにする為に主人公と二人だけで会い、それが切っ掛けで互いを意識して行くというのが一番今作のコンセプトに合っていた。
桜が段々と主人公への好意を態度に表して行く点は微笑ましかったし、千乃が苦笑しながらも二人の後押しをする点も良かった。
……千乃もセットで(略)
■蒼木夏芽√(シナリオ4)
主人公が積極的に接点を持とうとして、それを切っ掛けに主人公を意識した夏芽が逆に接点を持とうとする所や、いざ完全に相手を意識したら真っ赤になる夏芽が良かった。
他の人の感想ではこの恋愛ヘタレ部分が夏芽ルートの減点理由という意見もあったが、その意見程長い間ヘタレていた訳でも無かったので個人的には全く気にならなかった。
むしろその後のデレデレになった夏芽のお陰で予想以上に満足行くルートだと思った。
……あ、別にメグは攻略出来なくていいです。サブとしては嫌いじゃないけど。
■寿りさ√(シナリオ4)
予想はしていたが個別でも(というかHシーン、どころかエンディングすら)ギャグ満載なルートだった。
もっとも、このヒロインならそれで良し、と思える所がASa projectクオリティ。
その上で恋人同士になってからはギャグ一辺倒という訳ではなく、りさの可愛い所が見られたのは良かった。
残念なのは他ルートほど、対応サブヒロイン(阿知華)が目立っていなかったという点か。
各シナリオとも、このルートの阿知華くらいの出番がルート外ヒロインの出番、対応サブヒロインがそれ以上の出番、くらいが丁度良かったと思う。
シナリオ内でルートの有る無しがネタになっていたが、阿知華ルートも欲しかった。
(碧里や桜と違い、阿知華単独で)