シナリオ重視なら色々言いたい点は出てくるが、キャラゲーと割り切れば良作。(長文は前半は体験版部分までの軽いネタバレまで。スペース後の後半は本編のネタバレあり)
ブランド作品プレイ経験:夏ノ雨
関連ブランド(CUFFS):Garden
カフェ『アップルパイ』という名のケーキ屋で暮らす双子×3の六人姉妹(真ん中双子の片割れ、主人公のみ男)が両親の離婚騒動に巻き込まれ、主人公と共に母親に引き取られるたった一人の座を争って姉妹が主人公を誘惑するという物語。
これを聞いて実姉妹との背徳の関係云々を想像して惹かれた人は回れ右して帰りましょう。
そんな展開どころか心情すらごく僅かな例外を除いて皆無と言える作品です。
その他「いやこんな展開有り得ないから」とリアリティを追及する人も回れ右で。
両親が共に出て行って姉妹だけで店を回すという時点で既にそんなもの崩壊しています。
「これはキャラゲー(というか抜きゲーに片足突っ込んでる)なんだ、ある程度現実離れしてたって面白ければいいじゃないか」という人にとっては結構楽しめる作品なので、そういった人は続きをどうぞ。
まず良い点は、絵が可愛らしく、ヒロイン全員がそれぞれ違った方向性で魅力的だという所。
また、先述の通りキャラゲーと割り切っていれば、目の前に立ちはだかった問題を主人公+姉妹で解決していくという内容も各ルートそれぞれで楽しめた。
主人公が良い人物だったのも好印象。典型的な鈍感ではあるが、相手が姉妹なら別におかしくも無いという点もある種雰囲気を上手く使っていた。
本来なら姉妹以外とフラグが立ちまくって当然(というか実際立つだけなら立っている)だが、そこから発展しないのは重度のブラコン小姑×5がいるせいか。姉妹以外の女性陣はご愁傷様。
体験版の範囲では父親が駄目駄目だが、本編を進めていればそれなりに再評価出来る点があったのも良かった。最後まで駄目駄目だったら作品に不快感が残ってしまった事だろう。
夏ノ雨とは(未プレイだが他の評判を見る限りyour diaryとも)方向性の違う作品だが、買って損をしたという事は無かった。
セーブ:900箇所+クイックセーブ+止めた所から再開機能付き
シナリオ:4 現実味という点を踏まえれば3だが、それを無視すれば結構楽しめた。
キャラクター:5 兼清みわさんのキャラだと、夏ノ雨より好み。
BGM:4 全体的に作品に合っていた。特にどれが好みとかは無いが、嫌いな曲も無い。
OP:3 体験版プレイ済みだった為すぐそこまで飛ばし、2周目以降は選択肢からロードだったので印象に無し。
システム:3 可もなく不可も無く。セーブ数がかなり多いのは良い。
主人公:4 基本真面目で人望もあって料理も出来て頼りになる。モテるのは当然か。潜在的なシスコンだが。
ちなみに姉双子、妹双子に比べてよほどの事が無い限り二卵性である主人公と智花が一番似ているのは何の因果か。
プレイ順:智花→絵麻→弥恵→みこと→いずみ→ハーレム
好きな順:智花・弥恵>絵麻>みこと>いずみ
なお、基本的にどのシナリオからプレイしても問題は無いが、個人的には智花√を最初にプレイする事をお薦めする。
理由はネタバレになるので、後述のシナリオ評価で。
■倉野いずみ(キャラ4)
姉双子の片割れで倉野家長女。柔和なしっかり者だが、割としたたかな面もある。
好きな順では一番下だが、それはいずみが悪いのでは無く、他の姉妹が強力過ぎただけ。
後は姉妹全体を支える立場な為に実際にはやっているアプローチほど迫れていない点が不遇な事もあるかも。
……姉系美人系より妹系可愛い系が好みな自分の嗜好も影響はしているが。
■倉野みこと(キャラ4)
姉双子の片割れで倉野家次女。おバカな代わりに運動神経抜群。
やはり姉という立場で割を食ってはいるが、好きなキャラクターではある。
詳細は後述のルート評価で語るが、直情的なだけで意外と色々考えている所も高評価。
■倉野智花(キャラ5)
主人公の双子の姉で倉野家三女。典型的な好き好き光線を隠しきれないツンデレ。
外見的には一番好み。
■倉野弥恵(キャラ5)
妹双子の片割れで倉野家四女。癒し系で家庭的、かつパティシエールとしての技能を持っている為両親不在時のアップルパイの要。
純粋、素直、優しい、家庭的、主人公を慕っている、一緒にいて落ち着ける、可愛い、小柄なのにスタイルが良いと良い所づくめの妹。
そういう意味では智花と甲乙つけがたい。
「ふわぁ」といった柔らかな表現も落ち着けて癒されるし、遠野そよぎさんの声がハマっていた。
■倉野絵麻(キャラ5)
妹双子の片割れで倉野家五女。物静かで人見知り。だが兄姉には甘えたり、時にはからかったりも。
守ってあげたい系の妹として弥恵と双璧を成す存在。
この作品のキャラクターの良さとしてはやはり弥恵絵麻の妹双子が一番貢献していると思う。
余談だが、双子の割には名前に関連性が無いなと思っていたら いずみ→みこと→ともか→かずや→やえ→えま と繋がっていたのね。
~~~~~~ネタバレ度小はここまで。以下、スペースを空けた後、ネタバレ前提のシナリオ評価~~~~~~~
~~~~~~ここからネタバレ全開放~~~~~~~
注:シナリオの五段階評価は先述した「現実味」を無視しての評価。そこを考慮するなら全体的に-1ずつ。
■倉野いずみ√(シナリオ4)
家族定番のイベントである夏祭りを開催させようとする目的は、海で「来年は家族全員で来たい」とつぶやいたいずみらしいと思った。
その為に一人で奮闘しようとする事、一人で抱え込み過ぎる事が問題の原因となり、主人公が一緒に抱えてあげる事が問題を解決する切っ掛けとなった事もらしくて良い。
また、双子であるみこともいずみと激突し、それが解決した後は運動部の面々を巻き込む事で大きな進展の鍵となったのも姉双子のシナリオという点で良かった。
■倉野みこと√(シナリオ4)
この√の一番のポイントは、本能の赴くままに行動している様に見えるみことが実はかなり姉妹の事を考えている事が分かる点だと思う。
店が軌道に乗る事で妹達に自信をつけて欲しかったり、一人しか連れて行けないという話を鑑みて姉妹達の前では主人公と結ばれた事を隠そうとしているのは良かった。
ちなみにいずみ√との対比になるが、いずみはいずみ√でしか本心を明かさないのに、みことはどちらの√でも考えを白状するのも、らしいと言える。
最後は唯一離婚が成立するのも特徴。全√で離婚回避が理想的ではあるが、それが既定路線であるのもまた微妙なので、そう言った意味ではこの結末も有りだと思う。
■倉野智花√(シナリオ3)
先述の智花√を最初にプレイする事を勧める理由だが、この√のみ「双子(姉妹)と恋仲になる事への躊躇い」が前面に押し出されている。
なので「レッツ背徳♪」どころか「背徳感何それおいしいの?」な他√をやった後にプレイすると浮く事請け合いだと思う。
まぁくっついてしまった後は他√同様両親の離婚阻止の為に奮闘するので、それを見守っていれば良いのだが。
その手段や結果に関しては可も無く不可も無くといった所か。
■倉野弥恵√(シナリオ5)
両親に次いでパティシエールとしての実力がある弥恵と、少し開くもののその次の実力がある主人公。買い物に行けば新婚夫婦な雰囲気を醸し出す、お似合いな二人。
そういった相性の良さが所々で出ていて、一番お似合いだと思えるシナリオだった。
そして学食のメニュー作りを通じて弥恵の成長を見せ、その上でこれからの弥恵や家族の為に離婚を思いとどまって欲しいという離婚阻止の為の流れも、全√で一番良かったと思う。
発売後の人気投票では弥恵が1位になっていたが、それも当然の事だろう。
■倉野絵麻√(シナリオ3)
他の姉妹相手であっても、主人公を取られたく無い。そういった想いは良かったし絵麻らしいのだが、方向性がややヤンデレ系に進んでしまった点が残念だった。
他√での絵麻は本当に可愛いのだが。絵麻単独では無く、弥恵と一緒の√があればまた違ったかもしれない。
■ハーレム√(シナリオ4)
ハーレムだと大体の場合一回エッチシーンがあってすぐ終わり、みたいなのが思い浮かぶが、ある程度話としても進んで行くのが良かった。肝心の結末は語られていないが。
個人的にこの√で一番良かったのは、主人公が姉妹以外からも(実はかなり)モテモテだという事実が明らかになる点だった。
主人公が無自覚にモテて、姉妹達がそれに危機感を抱く所は見ていて思わずニヤついてしまうだろう。