この世のどこにでもある、呪いと戦っていくありふれた少女たちの話。
シナリオ45/50点、キャラクター10/10点
音楽16/20点、グラフィック 19/20点
合計90点
女装主人公という理由だけで購入する気だったのですが、体験版がかなり楽しめたので期待を煽られてプレイしました。
とりあえず、その期待に応えるだけのものはあったように思います。
シナリオは基本一本道のようなもので、クリアごとに特定ヒロインのルートが解放されていき、最後のヒロインを攻略することで今まで張った全ての伏線を消化するといった構成。
それだけあって伏線の出し方などは結構練られてます。
他のルートで提示された重大な事実が別ルートでも絡んで来るなど、こういった構成ならではの面白さがありました。
また、個別ルートへ入っても全てのキャラクターがしっかりと話に絡んで来るのも好感度高いです。
ストーリーは思ったよりも重い部分もあり、やるせない気持ちになることもしばしば。
それらが作品のテーマに繋がっているとはいえ、いつも馬鹿騒ぎしているキャラクターたちとのギャップは中々きついものがあります。
体験版をプレイした時に感じた地の文章の回りくどさも、まあ慣れれば気にならないかと。
登場人物はどれも非常に個性がはっきりしていて魅力的。
この作品における一番のポイントはこれでしょう。
それぞれのポジションが明確で、会話のテンポがとても良く、彼女たちの馬鹿騒ぎはとても楽しかったです。
お気に入りのキャラはヒロイン全員。みんな可愛いです。
でも強いてあげるなら茜子さんが激キュート。
グラフィックはかなり高レベルかと。デフォルメキャラも可愛かったです。
なにより立ち絵の表情がすごく良いです。るいの泣き顔とか。
音楽も特に印象に残りはしないものの、それぞれ場面にあったものでしたし問題はなし。
でもOP曲とED曲は個人的にはかなりお気に入りです。
特に『宝物』が最後に流れた時は「ああ、終わったのかあ…」としんみりしてしまいました。
今作において『呪い』という言葉は色々な意味を持っています。
主人公たちを縛る枷だったり、人の悪意だったり、この世界の理不尽さだったり。
ですが、この物語を通して一番伝えたかったのは恐らく『呪い』は決して特別なものではないということ。
この世界のあらゆる場所に呪いはあって、全ての人間がその影響を受けている。
そして、呪いと同じように主人公たちが持っている才能もまた特別なものではない。
主人公たちは呪いと戦っていく。それは呪いの痣と才能が消えても変わらない。
無限の選択肢の中から、自分の力で未来を選んで傷ついていく。
彼女たちは、みんな呪われている。
だから、手を繋いでそれをみんなでやっつける。
これはきっと、この世のどこにでもある『呪い』との戦いの話なのでしょう。
物語のラスト、呪いも才能もなくし、戸惑いながらも自由を手にして生きて行く彼女たちを見ていると中々感慨深いものがありました。
ファンディスクか何かで後日談をもっと見てみたいものです。
それにしても、まさか真ヒロインがあの子だとは思わなかったなあ…。
あと何で尹央輝が攻略できないんだ!ちくしょー!