今のとこ瀬戸口作品では一番いいのではないかと思う
この人の作品はBST以外は一通りやってるけど
確かに面白いんだけど皆が絶賛するほど素晴らしいとまでは思えんかったから合わないのかなと思ってたが
この作品はいいなぁ・・・。
すごい面白かった。
なによりダレる部分がほとんど無いのが素晴らしい。
退屈に感じる箇所が無かった。
作中では架空の病だけど現実の病に色々置き換え出来るから結構身近な話。
だからこそ面白いというのもあったかも。
中には余り好ましくない人間もいるけど基本的に癖はあるけどいい人ばかりなのも良かったのかもしれない。
人の「情」がなんかやたらと心に染みるということが多かった気がする。
さりげない感謝の言葉だとか気遣いの言葉が泣けるのも良い。
だって流れが自然だから。
例えばちょっと名前が出てこないけど愛想のあまりない男の介護士が正光に言った「先生はいつだって頑張ってたよ」だとか家政婦?の人にお嬢が別れ際に言った「さようなら。私の大好きだった〇〇さん(ごめん名前出てこなかったw)」だとか。
色んな作品で色んな感動シーン見てきたけど泣かせてやろう演出より自然な流れのが泣けるようになってきた。
いや泣けるというか心に染みる?
そういう泣かせてやるぜ演出が悪いと言うてるわけではないが少し食傷気味になってくるんよね。
んで、一番考えさせられたのがここからになるんだけど。
作中でも武雄が感染したお嬢を殺める展開もあったがあれはそんなに悪いことなのだろうか。(衣川のケースも同じ)
まぁこれは直接首絞めて殺めたから精神的負担も相当なんだろうけど全く苦しめずに逝かせてあげる方法があるなら自分はそれも十分選択肢なのではないかと。
お嬢は展開によっては全然普通に会話出来るし以前とそこまで大差あるわけじゃないからその場合はいいんだけど。
治る見込みもなくて以前の面影が欠片もない状態であるならどうだろう。
だってそんなんなってまで生きる意味ある?
自分なら嫌だわ。
作中では架空の病になってたけど分かりやすく言えば例えば認知症。
なんか以前に見たことがあるのよ。
介護に疲れ果てて母親殺害してしまった息子の話。
裁判官が涙したとかで割と有名な話だったと思うけど。
ちょっと現在のそういう介護の状況ってのは詳しくは分からないのだけど昔?は自宅で介護するのって金銭も精神も体力も相当すり減らすらしい。
作中でも触れてたけど余裕のある家ならまだしもそうでない大半の家庭では言葉は悪いがかなりの負担。
施設に預ければ?ってなるけどこれも結構なお金がかかると聞いたことはある。
そんな状況でさっきも書いたけど重度の認知症であるならそういう選択も間違いではないのではないかと考えてしまう。
勿論そんな単純な話じゃないし安楽死が簡単に合法化されるとは思ってはいないが。
それにそういう対象がまだいないからそう思うのであって先々この考えが変わることもあるかもしれんけど。
結局それを躊躇う理由があるとしたら「情」なんだと思うし。
それでも周囲の人間がどんどん疲弊して追い詰められて行くのは同情する。
いずれは自分もそういう状況になるだろうことを考えたら気分も重くなる。
自分でもちょっと酷いこと言ってるなという自覚はあるが介護疲れで極端な話、自殺してしまったり殺害してしまったりとかいうの聞くとなんとも言えん感情になってしまう。
そういうことを作品終えてからちょっと考えた。
そう考えるとものすごい身近な話なんだなぁと改めて思った。
自分はそういうとこが一番印象に残ったけど人によって考えてしまう部分は違うかもしれない。
とても良い作品だった。やれて良かった。