癖は強いけど傑作だと思う
一連の出来事を複数の視点で見ていく形。
ジャンルはなんだろ。色々詰め込んである感じ。
哲学ゲーだとか電波ゲーで有名だったんで多少の不安はあったものの
気づけば結構夢中で読んでた。
自分は哲学だとか電波だとかはほとんど興味ないしこの作品の影響で哲学に目覚めたとかは全くないけど
そんな程度のレベルでも十分楽しめたと思う。
なのでそういうので敬遠してる人がいたら少し勿体無い。
哲学ネタとか知ってると余計楽しめるのかもだけど特に知らんでもストーリーを追うぶんには問題ない。
全6章構成で1~3 4~6でほぼ別ゲーのようになる。
1~3が電波 欝要素それと謎が強めで4~6は解明編 電波 欝要素はほぼ薄れる。代わりに萌えと燃え?
だから前半~中盤は好きでそれ以降微妙と感じる人もその逆も当然出て来るとは思う。
個人的にはこの構成で良かった。
3章が特にアレなんであんな感じなのが4~6章と続くのはさすがに気が滅入る。
この作品のいい点はストーリーへの引き込み方が半端じゃないと感じたこと。
上手い具合に謎を残しつつ中盤~終盤で一気にすっきりさせてくれるのはお見事。
只、特に前半~中盤は癖が非常に強い。
訳の分からない1章は個人的には鬼門。2章は卓司のキャラが基本的に合わずに苦笑しながらやる羽目に。
卓司に思考が似てる人は2章は心底楽しめるかも。
電波色が相当強い。3章はえげつなさにうんざり。欝要素相当強め。
でも1章を除きそういう部分が強めながらも話自体は面白い・・というか引き込まれるため途中で挫折する気には
ならなかった。
ちょくちょく出てくる電波要素 哲学要素はそんな深く考え込まんでもとりあえず分かったような気になる程度でも
いい。
キャラが非常に魅力的なのも美点。
男キャラで一番気に入ったのは皆守。最初と途中でここまで印象変わったキャラはそうはいない。
反対に卓司てキャラは個人的には嫌いなタイプではあるんだけど只不快なだけで終わるキャラでもない。
声と演技が卓司てキャラに非常に合ってたのも印象的。
他にも木村やカママスターも本当にいいキャラしてた。欲を言えば声欲しかった。特にマスター・・。
女キャラでは迷うところだがやはり由岐。
明るい姉御肌。正直最初らへんはそうでも無かったけど4章以降どんどん好きになった。
良き姉御ぶりに何度か泣かされそうになった。行けよ・・ヒーロー・・がやけに印象に強く残る。
意外なところでは音無彩名。
個人的にはこの子は本当にお気に入り。
その風貌。性格。声と喋り方。ミステリアスな存在感。卓司へのグーパンは惚れる。
妹も実に可愛らしかった。
自分はエロゲにおける妹キャラってのに少し飽き飽きしてたとこはあるけどこの子はいい。
この子の可愛さは皆守というキャラあってこそだとは思うけど。
橘は実は途中まで一番好きなキャラだったのだけど冷静に考えてみたらこんなはた迷惑な女もいない。
あの綺麗な最期でうっかり騙されそうになるけど。
ざくろは最初らへん正ヒロインかと思いきや全然そんなことなかった哀しいキャラ。
3章がこの子視点で進むわけだけど洒落にならんくらいエグい。
ざくろレ○○後のこの子の語りではなんか泣けてきた。
とても強烈な印象を残した彼女だけど4章以降やってるとどんどんどうでもいいキャラになっていくのが泣ける。
キャラは本当にいいの揃ってた印象。
実はキャラ絵も個人的にはすごい好みだったりする。
欠点はやはり物語の出だし・・1章かな。
かなり独特な上に多分意味不明だからここで挫折する人いても不思議ではない。
後は小難しい言い回しがちょっと多い上にややくどいと感じたこと。
なので万人受けはしないだろうとは思う。
そういう言い回しや引用を除けば物語自体はそこまで異常に複雑てこともないけど。
この作品ではそういう敷居の高い欠点より良い部分が完全に上回ってたからなんだかんだで傑作に成り得たような気がする。
ここはちょっとネタばれになるけど最後までプレイしてみても未だに良く分からん箇所が3点ある。
1つは音無彩名て結局なんなんだってこと。
好きなキャラだったからこのへんすっきりさせた欲しかった気持ちはある。
このキャラに関しては深く考えるだけ無駄なのか。
2つ目は結局のところ多重人格だったのかそれとも憑依だったのかよく分からなくなったこと。
2章辺りから多重人格ネタだとずっと思い込んでたけど最後まだやると単純に憑依だったのかもって気もしてきた。
作り出した人格にしては由岐も卓司も随分出来すぎてる。
あそこまで完璧に都合よく2人もの人間の人格を果たして作り出せるもんなんだろうか。
オカルトになるけど憑依で考えたほうがしっくり来るような気が。
3つ目は最初の由岐の夢?の意味
あれが本当に意味分からん。当初は余りに不遇だったざくろの救済シナリオかなんかだと単純に思ってたことも
あったけど。
後にざくろ自殺に巻き込まれた由岐の夢って言われ方してたから完全に別の物語なんかな。
実際は巻き込まれてなんかいないから。
終の空ルートでそのへんに関することを彩名がなんか小難しい話でグダグダ言ってたけどなんか煙にまかれた気分。
正直「は?」て感じだった。
この作品には3つの終わり方があって他2つはどちらも後味のいい割とすっきりした終わり方だったんだけど
その2つを終わらせることが前提のこのエンドは正直ラストに持ってくるのはどうなの・・て気がする。
多分 素晴らしき日々エンドが正式なエンドだと思うんでそっちで納得するしかないのか。
非常に考えさせられたし泣けたし欝にもなったしうんざりもしたし萌えもした。
個人的には傑作。
実は全クリア後にもう1度1章銀河鉄道んとこまでやってみたんだけど初プレイ時は最後ざくろが消えるとこで
なんか知らんけど雰囲気で泣けてきたけど2度目で理由が分かってから見るとまた泣ける。
名シーンの1つ。