■PP■
■幼少の頃、避難訓練の時には「おかし」を大切にと教わった。私は、必死に「おっぱいカタル死す」と暗記していたことを今でも鮮明に覚えている。つまり、女性の象徴である乳房に埋もれて死ぬことができれば、周囲から非難されても、この世界からはカタルシスのもと避難できるという、日本文学の真髄に触れるべき「超高速ピストン運動の法則」を満たしているのだろう。
■そう、あれは15歳の時だった。覆面ライダー・シュレーディンガーごっこをしていた時、私が打ったカメハメ波の波動関数がおかしからといって、泥棒呼ばわりされた時であった。必死に検算したのにも関らず、ショッカー役のダンディズム大久保が指摘してきたのだ。マズイ、私はそう思った。晴天の霹靂にも似た、ショッキングな思想が私を襲った。「うぉおおおおおーーーーー」私は、超高速で腰を振った。超高速でピストンすることで、神の啓示を受けようと思ったのだ。「ふあぁああああーーーー、ぁああああーーーー」腰を振り続けた。ダンディズム大久保はレベルが下がって「エロっトド」になった。私は、勝利を確信した。この後の調査によると、ダンディズム大久保の敗因は、腰の入射角に対して、そのピストンの際に受ける摩擦係数を間違えたらしかった。私も一歩間違えたら彼のようになりかねない。そう思うと、悲しくて涙が止まらなかった。
■「一歩先は誰もわからないんだよ」
■Aerの美鈴もそういっていた。
■今まで何のために生きてきたのだろう。ただ、私はそこにエロゲーがあるからやっていただけですと、登山家のような言葉を幾度となく繰り返した。
■しばらく時がたち、高校生になった。其の間、青城高原ホスピタルに入院していたので、実年齢は少し上である。病院では「ススム」という変な猫みたいなトラ科動物に出会った。ススムは「実は、俺今度、出演作品が決まってるらしいんだ。本当は、出たくないんだけど、適当に力を使える設定にしないとシナリオを組めないらしくて」と言っていた。彼の口癖は「ボーイズビー・プレシャス」であった。確か、「同性愛こそが尊ぶべきものである」といったのはプラーク博士だったと思う。ススムの深遠を見た気がした。それからススムはグリペンに乗って関西軍と戦っている筑波航空団予備生徒を救うと言って、病院から去っていった。そのときのススムは、おにいちゃんと同じような顔をしていた。「ススム!死ぬんじゃないぞっ!生きていれば、いいことはあるんだ!]私は、そう力の限り叫んだ。しかし彼は「君のためには死ねない」といい、「ピィー教官、貴方だけ逝かせません、俺も行きます」とわけのわからないことを叫んでいた。
■退院し、ある東京のバーに寄った。そこである少女とであった。彼女は雰囲気からして常軌を逸していた。彼女は言った「何で動いてる人の方が時間がはやくかんじるんでしょう。特殊相対性理論です」私は思った。彼女はどうしてこんなことを言うのだろう。まるで、大して勉強もしたことのない人間が、超頭いいっすオーラを発揮するときのように、インポだ。僕は包み隠さず言った、「それは観測者に適応される特殊相対性の話じゃなくて、どっちかって言うと脳内に記憶できる情報量とか細胞分裂周期に基づく体内時計の問題じゃないのかな・・・。第一、人間の動作可能な速度は100m/10秒(10m/s)なんだから、相対性も何も微小すぎて意味を成さないと思うけど」
■彼女は、単なる知的障害者なんじゃないか、私はそう思った。
■なにやら「人を低周波で狂わす銃を作る」と言っていた。やはり、この女は何か勘違いをしていると思った。波動で人を狂わすというなんて発想をしたら、私は玄奘学園では3日の拷問にあっただろう。最低でも、神経伝達物質の拡散量を操作するかレセプターをおかしくするかして、単調なトランス音で長時間にわたり思想汚染すると言わなくてはならない。きっと、漫画の読みすぎでおかしくなったんだろう。彼女を見ていると、少し前の自分をみているようだった。
■それから引きこもりになった。区役所に「引きこもり扶養制度」に申し込んで補助金を得た。其の金で、PPを買った。
■PPをやった。
■私は震撼した。
■気がついたら交感神経の作用が働きすぎて、必死に暗号を唱えていた。
■「おっぱいカタル死す」■
■其の時、幾千年もの歳月をかけて人類が築き上げてきたものがわかった。
■何故、ニューチェが「ニヒリズム」を唱えたのか、それは結局、超ピストン運動をしたことのない人間にはわからないのだ。
■速攻で女を攻略し、性交渉激烈激写感謝MAXフライデーに持ち込むには、そうするしかないんだ。人類はそうして形而上学に期待をし、超ピストンを繰り返してきたのだ。
■仏教では何故、涅槃に入るのか、何故お米がうまれたのか、そして、なぜPPなのか、それは全部同じことなのだ。
■私は本屋に走った。そして其の本を見つけた。
「飛んでいる弾丸を刀で切ると、両方に割れた破片が顔に同様の速度で突き刺さる」
■私は、確信した。
■なぜPPはこれほどまでに意味不明なのか。
■なぜ「イノセンチグレー」では主人公より脇役の方が目立つのか。
■なぜ、シナリオがクソなのか。
■なぜ雰囲気や音楽や絵といった装飾要素にこれほどまでに強いのか。
■「由良クン、僕はわかっちゃったんだよ」といったキャラが出現してくるのか。
■ヒロインが殺され、無意味に、意味もなく、ミーンレスに他者に超ピストンされてしまうのか。
■それは、全部「イノセンチグレーの中にいる、人物、ドンキ斉藤がわるいんだ」
■そう、ドンキ斉藤の価値観こそ、意味のわからない世界を形成する要因となっているのである。ドンキはきっと、次のような観念に縛られている。
・サブキャラはカッコイイ。
・カッコよさを引き出すために音楽は重要だ。
・狂気の中に極限の芸術が存在する。
・とにかく、ヒロインの死は美しい。
・グロも非日常で最高の芸術だ。
・レイパルも、大切なヒロインを汚すと言うところに至上の芸術要素が存在する。
つまり、イノセンチグレーの中にいて、作品を方向性付けるドンキの歪んだ観念が作品を意味不明に持ってくのだろう。
■ドンキ斉藤のことはよく知ってる。どうしようもない奴だった。あの時、いえなかったことを今、言っておく。
「ドンキ、お前の価値観、ちょっとずれてるよ」
■相田みつえ氏も言う。
「あのね、グロけりゃいいってもんじゃないんだよ。人間だもの」
■ドンキよ、このままではイノセンチグレーはまずいぞ。意味のない「これカッコイイ」という観念を捨て、しっかりと市場を意識した作品を作るんだ。
■仕事として作品をつくるなら、客を意識した作品がつくれることも大切なんだ。
■ドンキが、昔、バガポンドやバキに憧れてたことは隠しておくから、次はしっかりな。