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禁愚芸那さんのラストオーダーの長文感想

ユーザー
禁愚芸那
ゲーム
ラストオーダー
ブランド
13cm
得点
90
参照数
1103

一言コメント

シナリオ全体に漂うニヒリズムによって、ただの抜きゲーでは終わらない独特のセンスを持つ。このシニカルさが90年代に僕らの望んだ世界の答えなのかもしれない

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

せっかく自分のものにできると思ったヒロインを、輪姦接客に出してしまうなんて納得いかない
ウエイトレスを次々と調教してハーレムを作り、独占欲を満たす「shi/ko/mi」のようなゲームかと思ったのに…
それと、諒子と倫子とは布団の上でもっとちゃんと愛し合いたかったような、ような。

まあ、そんな私見はさておき…

このシナリオを一言で説明するのは難しい。ただならぬ余韻は残るが、もやもやしてて掴みどころが無いのである
独自解釈をするなら、モラトリアム状態で何かをさがし求める行為がテーマだろうか?
その探し求めるものはキャラごとにそれぞれ異なっている
春菜の場合、兄の面影を追っている。南条に兄の姿を投影し代替効果と存在価値を求めている。ブラコンで依存心が強く世間知らずなため、意志薄弱で堕落しやすい性格。だが、南条と兄は全くの別人だということに気付いた時、春菜の世界は透明になった…
なつきの場合、春菜に勝てる条件・環境を求めている。南条とSEXし、陵辱劇に春菜を引きずり込むことで春菜に対するコンプレックスを解決しようとする。だが、その一人相撲は望んだ結果を生み出さず、なつきの友情を壊してしまう。そして最後は南条にすがりつく
香苗の場合、安心できる場所を南条に求めている。過去にレイプされた時から香苗の時間は止まってしまい、プライベート時には幼児退行すら起こしている。
真奈美の場合、大学に来る南条を求めている。挑発するのは自分の説得に応じて欲しいサインだろう。
諒子の場合、父親を求めている。馴れ馴れしい態度は孤独な自分をごまかすため。「人生はドラマ」が口癖なのは自分の不遇を認めたくないため
倫子は特になにも求めていないようだ。南条の悪事を押さえ込める数少ないヒロイン
南条の場合、昨日や今日とは違う明日を求めている。ヒロインを陵辱し、肉欲に溺れれば何かが変わると思い、あてもない心の旅を続けている。
五十嵐の場合、刺激的な日常を求めている。南条と異なる点は心に余裕があり、現実を直視し確信犯的に陵辱を行っているところ。一番の悪だが一番大人であるとも言える