考えさせられる作品
単なるレイプものかと思いきや、各レイプ毎に主題となる問題提起が各所に盛り込まれており、とても考えさせられる作品だじん。
ホームレス化(ネ喫住人化)している少女、盲目の令嬢、双子という特別な絆に拠ってお互いに惹かれあい始める少女・・などとの遭遇は、現実世界においても十二分にありえる話。
もしそんな状況に遭遇したとしたら、我々は己の中にある「男」の魂に気づかずにはいられないだろう。何の予備知識もなくぶっつけ本番でそういった場面に臨まなければいけないというのはとても不安だ。
今作の主人公、拓海はそんな我々の不安をぶった切ってくれる。
前述した代表的な3人の少女達以外にも、おせっかいな姉を持った場合の対処(姉の存在の有無は万人共通のものではなく、他のヒロインと比べ現実的な可能性に欠けるため、今作に盛り込むことには多少の疑問が残るが)、万引き少女を見つけた場合の対処、など等、全18種類のありがちなシチュエーションを網羅し、このご時世における男達の悩みを解消する、ガイドブック的な作品となっている。
こういった教育的な性質を持つ作品であるにも拘らず、今作はそれだけに留まらず、ひとつの物語として作品を完結させていることにも注目。
詳しくは言えないが、物語の終局に向かって収束していくシナリオ構成は見事。ラストシーンが終わって暫く、著者はキーボードにもマウスにも触れることは叶わなかった。
良い作品はないか? と聞かれたら、著者が胸を張ってお勧めすることのできる一作である。じん。