それはまるで、どこかもの哀しい、晩秋のような、作品。
舞台は山奥にある、芸術家のための学園。その世界観は「Purely」(RUNE)にすこし似て、独特の、優しさともの哀しさを含んでいた。
まさかのループものだとは予想外だったが、周を重ねて真実にたどり着いていくという構成は、とてもわかりやすかった。
作中に登場する四君子は、蘭、竹、菊、梅で、それぞれ、春、夏、秋、冬を象徴する。
また、四君子はそれぞれの季節特有の役割を担う。
――暖かで、新芽の季節である“春”を象徴するアララギは、みんなに笑顔と温もりを与える太陽。
――厳しい寒さと、それ故に感じる温もりの大切さを併せ持つ“冬”を象徴するのは、春告。みんなの姉であるからこそ厳しく、木々を成長させる役割をもつ。
――芽吹いた木々を成長させ、万緑へと変える力をもつ“夏”は笹丸。笹は竹ではないけれど、竹よりもより雄々しく、そして力強く炊けであろうとした笹。
――そして、夏の名残りを残しつつ、冬のもつ寒さに耐える準備を始める“秋”。それは、様々な魅力にあふれる季節であり、ひなを象徴するのにふさわしい。
季節は移り変わり、人は今を生きる。それでも、大切だったあの日のことは忘れない、四君子が、仲間が見た、あの、朝色の景色を―――
と、いうわけで、長かったけれども感動した作品であった。それにしても、青姉はかわいかったなぁ。