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相馬小次郎さんの黄昏のシンセミアの長文感想

ユーザー
相馬小次郎
ゲーム
黄昏のシンセミア
ブランド
あっぷりけ
得点
90
参照数
633

一言コメント

かな~り読めました

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

終えてみるとやはり同じライターなだけあって「コンチェルトノート」と似た部分や雰囲気もありながら、それよりも良く出来ていて個人的にはかなり面白かった作品。

SF的なオバーテクノロジーが発端となっている「羽衣伝説」を基にした伝奇物で、フラグメントで解かる「天女」の伝記の真実部分も特に有り触れた物語なので特に驚く要素等はないけれど、田舎が舞台や主人公に関わる登場人物(ほぼ全員ヒロインだが・・・)も雰囲気が良かった。

そしてその良い雰囲気の舞台と人物に相対する様に、山童の怖さとかそれに対した時の緊迫感、人間の身勝手さや醜さ、根本に関わる人物達の怒りや悲しみなどが色々と上手いバランスで描かれていて、そこら辺もいいんじゃないかと思う。

さくやが「この気持ちは借り物だったのか」と絶望に陥る展開とか、何か個人的に上手いな~と思えてしまった。

基本的に全体を通して非常に面白く出来も良いシナリオだったので、細かい部分は省いて大きく2つ不満に感じた部分を書くと
・ある意味「謎解き」的な要素がある物語なのだけれど、主人公の表現されるキャラ像からすると思考の方向や行動等がちょっと強引に物語の進行の為に合わせている感がある部分が多々見受けられ、またその為にクドクドしてる感もあって、その部分がこのシナリオ全体の質を少し下げてしまっている気がする。
・まぁ18禁ジャンルのゲームだから仕方の無い事かもしれないけれど、さくやに関しては物語全体の伏線上+最終的に「シンセミア」への進行の為に必要ではあるかなと思えるが、他のヒロインではぶっちゃけH展開は不必要な感じの話なのでそこに至るまでがかなり無理やり展開であり、特に物語り上の重要ヒロインの翔子に関しては初回部分の主人公はタダの自制が効いてない淫行犯罪者でしかないじゃん・・・

あとこれは不満的なものではないけれど・・・
いや、わかるよ。
すっげー魅力的なのは。
確かにそう思う。
けどやっぱ実妹いる身としてはメインヒロインが実妹っつーのはちょっと抵抗感が・・・・
この物語の全体的な背景設定からして、遺伝子レベルで考えて主人公の相手のメインヒロインがそうなるのは仕方ないとは思うけどね。


それでも何だかんだと思っても、まぁやっぱ「良い作品」だったと言えるから俺的にはかなり高評価になったかな。