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生肉さんの神の目のアイオーン ~前編~の長文感想

ユーザー
生肉
ゲーム
神の目のアイオーン ~前編~
ブランド
サークルゴリッチュ
得点
87
参照数
4228

一言コメント

男の五大栄養素、燃え、尿、鼻水、脇汗、ゴリッチュが全て摂取できる完全煩悩色品。長文前半はネタバレ控えめ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

短評は作中台詞のパクリ改編

■目次
1.レビュー
2.EV進行順

※以降重度のネタバレあり
3.情報整理
4.年表



■1.レビュー
などと区分けしたものの、実の所ここにあるのはレビューではない。電波だ。
誰かの役に立つ公共性など一顧だにされず、
個人的欲求があるがままの駄文がただ垂れ流されるだけである。

点数も、おそらくこれくらいになると思わず考えてしまう疑似的な客観性をできる限り無視して、
極力主観のみが反映したものになるように努めた。

こんな物は本来書くべきではない。
ただ、本作の過剰なまでのゴリッチュ成分は一種の強烈な酩酊感をもたらす。
そんなものを短期間で2周強もしてしまった以上、何らかの形で吐くしかないのだ。

この唾棄すべき文章、点数等に不満があれば、是非本作をプレイして採点ないし別のレビューを書いて頂きたい。
そうした総体こそが客観性というものを形作るはずだ。
その過程において続編の糧がほんのわずかでも増えることが、筆者の最も欲する所でもある。


前置きが長くなったが、本題に入ろう。
さて、本作はいわゆる人を選ぶゲームという奴である。
故に取り敢えずは向いているかを計測してみよう。

1.似たようなことを幾度となく要求されてもそれを楽しめる胆力、または絶える忍耐力がある。
2.娯楽作品は減点法ではなく加点法で感想を抱く。
3.叙述トリックなどを駆使したどんでん返しが好きだ。
4.少年漫画のような燃える中二展開が好きだ。
5.エロCGよりドットエロの方が抜ける。
6.湧き水とは腋汗の事を指す。
7.おしるこよりおしっこ、生肉より鼻水、柿の種より腋の汗だ。

さて、いくつに該当するだろうか。

1~4のいずれかでも該当しない項目がある場合は、
誠に残念ながら、この作品を楽しめる可能性は低いと言わざるを得まい。
本作は序盤が最もしんどく、何をやったら良いかよくわからない状態に陥ることも少なくない。
さらに中盤頃からゲーム部分はほぼ作業ゲーと化す上に、その作業量はかなりの物になる。
それらを乗り越え、さらに悪い部分より良い部分に目が行く気質でなければ最後まで楽しむことは難しい。

実を言えば、本レビューにおいて益体ない前置きをだらだらと書いたのも、
その時点で見切りを付けるような気の長くない方々を振るい落とす役割もあったのである。
(という後付けを今考えました)

5~7のエロ傾向については、下記の小項目に回すこととする。


各要素を個別に見て行こう。

○長さ
一般的なクリア時間は40時間~60時間。
隠し要素を解放するともう数時間かかるだろうが、元が元なので大した差ではない。
1320円の同人ゲーであることを加味しなくても長大だ。
これは前編で、加えて幾つかの観点から前後編の2作ではなく前中後編の3作の可能性が高そうだ。
さらにゴリッチュは1作完結であっても後半の章の方が長大化していく傾向があるので、
シリーズを通すといかほどの長さになるか想像もつかない。

ちなみに筆者は2周+αで170時間くらいプレイしているらしい。
短評の所に出るプレイ時間は混乱を招きそうだから1周目の60時間とした。

○シナリオ
本作は登場人物が非常に多い。
各キャラクターがそれぞれ個性、目的、立場を持ち、義務を負っている。
彼らは時に非道に走り、それでいてどこか人間くさく、時に失敗し、時に情に流されもする。
各々が協力・敵対し、時として裏切りながら交錯することで、
予測のつかない展開、戦闘、謀略が繰り広げられる。

以前から定評のあるどんでん返しはもはや職人芸に域に達している。
単にユーザーの予想を外すように気を衒っているわけでなく、それがきっちりとドラマ性につながっている。
落ち自体は思いつけないほど目新しい訳ではないものもあるのに、
伏線の張り方、ミスリードの手法が巧みであり、毎度警戒しつつも常に騙されてしまう。
騙される快感を求めるマゾの方は是非プレイを勧めたい。

前編であるので謎の一時的な放置プレイも完備している。
悶々とさせられるが、作者の風呂敷を畳む回収能力への信頼により、あれこれ想像している内にある種の昂揚感へと変じる。
真のSMには愛が必要という話に似ているかもしれない。


戦闘は魔法が出てくる物の、観念的な能力はほとんどなく、狭義の異能バトルではない。
熱量の高い展開で魅せるタイプだ。
これがドット表現と極めて相性が良い。

本作ではマップ上のキャラ達はドット絵で表現されている為、
彼らが戦況に応じて滑らかに動き、アクションするので一目瞭然なのだ。
迫力という面においては1枚絵に一歩譲るかも知れないが、
本作の戦闘描写の肝は状況の変化の緩急にあるので、ドット絵の利点の方がずっと大きい。

なお、本作はRPGツクールVXで作成されているので基本解像度は640x480である。
となるとドットが割と粗いのではと思われる方がいるかもしれない。
だが実際はその想像よりも更に粗いものだ。
この作品におけるドット絵は基本的に1ドットが2x2pxで描画され、場合によってはズームして4x4pxくらいにもなる、
意図された粗いドット表現になっている。
感覚的にはSFCやPS頃の2Dゲームのドット絵を想像するとわかりやすいだろうか。
この荒さ故に個人制作の作品でありながら各キャラは多くの動きを可能としており、
また想像力を引き立てられるとも言える。

設定も一部ドット演出前提で考えられているようにも感じる。

例えば、戦闘の重要な要素に「円の動き」がある。
これは戦闘時の動きを円の弧を描くように移動することで、
線よりずっと素早く移動したり、敵の攻撃を無効化したり、逆にその攻撃無効化を無効化するといったようなことができる。
冷静に考えると意味がわからない少年漫画的な勢い設定ではある。
「円の動き」は大回りから小回りになるほど高等技術ということになっており、
大回りではドットキャラがマップ上を弧を描いて移動する形の表現、
中間の回転ではキャラがその場で回転するなどした表現、
小回りは体の部分的な回転というドットでは表現困難な物で、SEや振動、テキスト、ぶれた立ち絵などで表現される。
最も飛躍した設定である小回りの円であるが、こうして目で見える大回りから
段階的に小さく見せられることで、創作としてのリアリティを視覚的に感じられるようになっているのだ。


○ゲーム性
大きく分けて3つの難点がある。


1点目は、飛ばして読むということができないということだ。
メッセージスキップがない上に、
一部進行順を選択出来る要素があるものの、ほぼ全てのイベントを通過する必要があり、
好きなキャラのシーンだけを見る、メインシナリオだけを進めるということはできない。
さらにそれぞれのテキスト量が長大である。
せめて連射ツールを用意した方が良いだろう。
なお、筆者はJoyToKeyを愛用しパッドでプレイしており、
決定キーの連打と、キャンセルキーの連打を設定することで幾分かは労力が緩和された。


2点目は進行のヒントがほぼなく、事実上総当たりが必要な上に、
マップの解放に金銭が必要なため、ある程度進行するまでは総当たりすら困難であることだ。
作中にヒントアイテムというものがあるが、これはヒントというより進行必須のキーアイテムであり、
ヒントを得るためのヒントがないという状態が多々ある。
序盤は金のやりくりが厳しく、攻略を見ず推奨されない順序でマップを解放すると、稼ぎプレイが必須になってしまう。


3点目はボス戦、というよりも戦闘システムとそのバランスの取り方についての方法論にある。

まず基本的なシステムとして、このゲームには技と術があり、
技は1ターン中に各種1つずつ使用可能、術はターンを消費せずに幾つでも使用可能だ。
ここまで聞くと、ボスを瞬殺できてしまうバランスになんじゃないのか心配する声が上がるだろう。
作者もおそらくそれを懸念したのであろう。
結果として生まれたボス戦はむしろ一般的なRPGより時間が掛かるものとなっている。
ボスのEP(HPにあたるもの)が分割され、EPを0以下にするごとに戦闘が隔てられた連戦となっているのだ。
このボス戦はエロバトルとなっていて、その連戦の合間合間に数メッセージ分のエロシーンが再生される。
また、戦闘を継続する画面とシーン選択画面が一緒になっており、カーソル初期位置が戦闘継続ではなく回想になっており誤爆しやすい。
合間のエロシーンではキャンセルボタンを連打するようにすれば、少しは楽になるだろう。

肝心のエロとの兼ね合いについても、操作がどうしても必要になるので、初見では正直抜くどころではない。
シーン再生時も細切れのシーンを1つずつ見ていく必要があり煩わしい。
せめて連続再生コマンドがあれば良いのにと思ったのは筆者だけではないだろう。

あらゆる要素が数値化された戦闘は、設定を活かしているという美点もなくはない。
偉そうな言い方になってしまうが、そうした独自のシステムを構築しようという意識ついては歓迎したい。

ただこれは、オリジナリティーというよりは
先人があえて取らなかった手法を選択してしまった結果のように思えてならない。



○エロ
作者が好きなものを好きなようにつぎ込めるだけつぎ込んだ極めてフェティッシュな代物。
恐ろしいまでのリビドーを感じるが、それに共感できるかは意見がわかれる所かもしれない。
趣味が合う要素があれば、その濃厚さと量は十二分に実用たり得るだろう。

マニアックかつ多様な方向性を持っていて、
具体的には、近親、おしっこ、露出、鼻水、腋汗、搾乳、前立腺、疑似寝取らせ、魔法少女などなど多岐にわたる。
なお、続編では男の娘ヒロインが内定し、近親ヒロインがさらに追加される。

CG数は多くはなく、絵の方面では服装差分はあれど、各キャラ立ち絵と1枚のCGのみだ。
価格を鑑みれば極端に少ないというわけでもない。
CG側でもある程度簡易的なアニメーションするのだが、
本番シーンの挿入感がなく、素股と見間違えるような表現となっているのは少々残念な点だ。

エロ表現としてはドットとテキストによるものが大きく、戦闘の項で述べたようにドッド絵もかなり粗い物。
何をやっているかという状況の判断と動きの把握は十分に行えるが、ドットも絵として扇情されるものではなく難しい。
どちらかと言えばシチュエーション重視であり、視覚的には想像力が試されるだろう。

エロシーンの総数はカウント方法にも依るがおよそ195シーンほど。
各シーン共にエロ同人としてはかなり長めなのも合わさって相当なテキスト量となっている。



■2.EV進行順
ここでは再プレイ時の参考用にフラグ解放順に則ったイベント進行順の一例を記載する。

000~068
241
081~086
162~164
ディッセンバーバトルH5 69~80 ディッセンバーバトルH7
087~103
310
104~119、ミラバトルH3
311 312
120~123
213~218、カタナバトルH2
124~139
165~170
ミラバトルH6、140~159
242~252
275、276
160、161
171~174
176、178~190
193~197、199~201
204~205
287
219~228
253~255
206~212
229
237
238
277、278
288、289
239、240
アモンバトルH3 256~265、リゲルバトルH3
279、280
292~293
266~271
281~285
リゲルバトルH4 272~アモンバトルH8
286
294~296
299~309
313~336
ダイヤモンドバトルH2 297~298
337~352
230~236 カタナバトルH8
353~366
アルバトルH1、177
アルバトルH2、191
アルバトルH3、198
アルバトルH4、202、175、192、203
EX学園長、EXグレン


以下、前編のネタバレ多数、かつ続編はこうなってるんじゃないかという妄想特盛りなので、
未プレイ、及び精神が正常な方は読まないことを強く推奨する。
































■3.情報整理

○世界について
差し当たってまず始めに一つ、大きな前提を共有したい。

結論から言えば、通常モードと神の目モードは別世界であるということだ。

なお、ここで言う神の目モードとは、左下に作動中表示が出る状態の移動時やイベント時の事であり、
イベント中にリゲルが神の目を発動した状態とは区別する必要がある。

根拠の一部を上げると

・イリヤは神の目モードでは講師に復帰して遠方で護衛されるような立場であるのに、
 通常モードではワイズにいてアリバイ無しとして拘留される。

・カタナが通常モードでトレミーの研究所で看病されている期間中に、
 神の目モードでリゲルは複合魔法少女にやられたことしか心配していない。

・リゲル以外の各キャラクターの過去への言及内容がモード間で独立している。

・リゲル以外の各キャラクターの技習得の変遷がモード間で独立している。
 例1.アルマースのジャッジメントニッパーは通常モードでのみ使用する。
   神の目モードのダイス戦では、かなりの長期戦となるが切り札を重力魔法だと考え邪炎竜の固体化は発想すらしない。
 例2.カタナの円習得は各モードで覚えるイベントがあり、
   実際に使用時はそのモードで覚えたイベントのみを回想する。

・最上位の術式学者であるはずのダイヤモンドの特定モードでの言動と別モードの現実との剥離
 例1.[通常モード]パラケルススは今世紀中には完成しないと発言
   →[神の目モード]ミラがパッケージングまで完成させる。
 例2.[神の目モード]マンイーター抑制は数年前に主要な術式学者な抜けて完成に時間が掛かると発言
   →[通常モード]術式トレミーが自身だけ使える所まで完成

・両モードで登場回数の多いアモンが関わる重要なイベントは同じようなことが各モードでそれぞれ発生し、
 片方は描写が省略されることで世界が1つとしても2つとしても整合性が保たれるようになっている。
 例1.アモンがラファエロと対立するのは、[通常モード]では081~086、[神の目モード]では088~091で描写が省略される。
 例2.アモンの処女喪失は[神の目モード]ではアモンバトルH3、[通常モード]では286で描写が省略される。

・通常モードではトライ、神の目モードではアンフのみが出てくる。

等と枚挙に暇が無い。
無論、これらは状況証拠ばかりであり、前編で直接的には明かされず、完全に確定できるという物ではないが、
別世界の伏線と思しき事柄があまりにも膨大な量のため、さすがに外れているとは考えにくい。

おそらく最も大きな違和感を与えるトライ・アンフを最後に明かす構成と、
分割作であることから、作品間で意図的に答えに達することができるように用意された考察要素だと思われる。

この別世界に思える様すらもミスリードであり上記などの描写に全く別の説明が付く事実があれば脱帽するしかなく、
以降の文章は完全に無駄になるものも多くなるが、その場合はその驚嘆すべき展開を素直に歓迎したい。


○通常モードまとめ
・リゲルは首に何も巻いていない。
・目の色は通常の視力があるかどうかで変化し、初期は右目が黄、左目が赤、終盤は右目の視力も失い赤になる。
・紫目のリゲルは登場しない。
・リゲルは偽物扱いされない。
・トレミーには、「常軌を逸したお前の息子、神の目のリゲルを贄として……私は私の家族を、取り戻す」とあまり良く思われてない。
・現代でトライが登場し、アンフは登場しない、老いの原因はリバースの使いすぎ。
・トライは盲目だが、自身の能力なので、体で神の目を使用して数値化できる(⇒ただし器がないのでマンイーター化の危険)
・術式パラケルスス、術式ブラッディアは作るイベントがない。
・術式トレミーはひとまずトレミーだけが使える状態までは完成し、アモンは検体終了。
・グレンが登場して風水師の器を集めている。
・プロローグとエピローグ以外では銀髪翠眼のアルゲバルがほぼ登場しない(エピローグではトレミー研究所で培養液に浸かっている)
・キャラのミストも登場しない。
・複合魔法少女については表向きにはクラウの功績になっている。
・ジルドレ郷を殺したのは複合魔法少女。
・ディッセンバーはイリュージョンのミストの使用を続けており、アルゲバル編ではロックに利用される。
・イリヤの服装は用務員服と同じ色合いの物、ミラ殺しの容疑で拘留、拘留中の服装は神の目モードと同じ私服。
・アルマースの闇落ち原因はミラに殺されると勘違いさせられたこと、不死身やコネクトによる術式の説明はエーニッヒ。
・ミラは殺され、テイク、ロールも併せてアルマースに吸収される。
・アルフレドはジルドレ郷を暴く計画に失敗後に解任され、レイドに殺される。
・ダイスは学園にいるが、何をしたかほとんど描写なし。
・司令官アルゲバルのリバース役はトライ。
・司令官アルゲバルは、替え玉ユダにプラントによる拘束具からの解放手段を向こうから明かされ、殺される。
・クラウ、ヌアザ、カタナの三兄妹プラント。


○神の目モードまとめ
・リゲルは殆どシーンで首などに黒い拘束着を巻いており、例外は拘束着をパージした直後に拘束着を手に持った状態。
・裸の場合は拘束着と思われる物を左腕に巻いている。
  ※神の目モードの裸時は左腕が見えない構図が多く、イリヤH13 アモンバトルH1などの極一部でのみしか確認出来ない。
  ※例外もあり、EV272では裸でも左腕にも巻いていない。
・目の色は基本的に両目とも黄色なので、視力を完全には失ってないと思われる。
・紫目でマントを付けたリゲルが登場する。
・リゲルが度々偽物扱いされ、本物は神の目計画の為に“一刻を争う状態”のはずだとされる。
・トレミーには「神の目を使い……我が物顔で、勝手を働くリゲル・ウィン……私の恨みは醜くそして、根深いぞ……」と良く思われてない。
・銀髪翠眼のアルゲバルはそんなトレミーを泳がせることでリゲルの本物を助けようとしている。
・現代でアンフが登場し、トライは登場しない。
・アンフは神の目の感覚を一瞬だけ再現できるが、「もう、パーセンテージの表記はできない……」(器なしの為、マンイーター化を覚悟すれば可能?)
・術式パラケルスス、術式ブラッディア、一つの特効薬が完成する。
・術式トレミー開発は数年前に第一人者が抜けたために難航している。
・グレンが登場しない。
・銀髪翠眼のアルゲバルがワイズ付近などを動き回り、風水師の器が自分の元に集まると発言する。
・キャラのミストが登場する。
・複合魔法少女はリゲルの功績になり、上層部からリゲルのマークが外される。
・ミライリヤEDからすると紫目リゲルが複合魔法少女を取り押さえ、その後に何らかの事情により結託した?
・クラウは複合魔法少女以降でも功績が全くないと焦っている。
・ジルドレ郷を殺したのは複合魔法少女とされているが、直接描写はなくやや怪しむそぶりがある。
・ディッセンバーはイリュージョンのミストの使用を改め、通常の指揮を志す。
・イリヤの服装は私服。
・イリヤは講師に復帰して警護付きで遠方へ。
・アルマースの闇落ち原因はダイスにリゲルを寝取られたこと、不死身やコネクトによる術式の説明はダイヤモンド。
・ミラは姿を消すが理由不明。パラケルスス開発で狙われる可能性により自ずから姿を隠している可能性がある。
・アルフレドは命令違反をしてミラを守ることでに解任され、その後は不明。
・ダイスはリゲルと協力してブラディア等を開発後、単身でマンイーターフォレストへ。
・司令官アルゲバルのリバース役は不明。
・司令官アルゲバルは替え玉ユダにプラントによる拘束具からの解放方法を自分から指摘、その後は不明。
・アモンがどうなったか不明だが、アモン反逆のきっかけになる術式トレミーの検体終了が起きないはず。
・紫目リゲルはヌアザを狙っておりいつでも殺せると踏んでるが、単純に殺せば良いわけではなく変遷を辿る必要がある。
・クラウは健在、ヌアザもプラントしていない。


○ドット絵について
本作のドット絵は比較的きっちりと4種に分けられるようだ。
・大人体型男は身長33ドット、肌色はRGBでF2E3D0
・大人体型女は身長32ドット、肌色はRGBでFFEBE0
・子供体型男は身長31ドット、肌色はRGBでF2E3D0
・子供体型女は身長31ドット、肌色はRGBでFFEBE0、ただし男の娘フォグはこっちの色

これを踏まえると、スタッフロール中のドット絵なので幾つか見えてくる事がある。

例えば、アルゲバルEDの培養液に浸かる首だけの人。
こちらは男性である。
そうなるとトレミーによると基礎情報が欠損している兄、
アンフである可能性が考えられる。

同EDの研究所入り口前に立つ2人の子供。
この2人は肌の色からして左が少女、右が少年だ。
もっと細かく見ると実は右側は幼少期のリゲルと同形状で黒髪の存在だとわかる。
比較対象となる幼少期のリゲルの後ろ姿はカイザーとの特訓時などに確認出来る。




■4.年表
年数に関わる描写を拾っていき並べてはみたものの、
本作でもまんまと同じような時系列のトリックに2回とも見事に騙された筆者が
本編中の曖昧な表現を解釈した内容なので、信頼性は低い。
他にミスリードがあれば嵌まっているだろうし、
そうでなくても内容が前後したり、端数から1・2年のズレがある箇所も当然の如く複数あるだろう。

古      :人間と風水師間で戦争が始まる。
戦争初期   :押されていた人間がパッケージング術式やマンイーターを作成し始める。
数代前    :風水師の長が保身の為にワイズと内通し、他の風水師を検体として提供し始める。
~      :先代ダイヤモンド・ウィンターにより、アダムスとイヴが作られる。同時期にレイドが産まれイヴと幼馴染みになる。
~      :風水師の重鎮であったカイザーことユダ・セフィロトが先代ジャウザーの手引きでワイズに売られる。
25年前  .:カイザーが自然力注入実験でマンイーター化、その長になる。その前後にホムンクルス作成。
25年前  .:その一体としてアモンが唯一生き残る。
~      :カイザーが皇帝になる、アダムスがアドヴァンスから指南を受け円の動きを習得。
~      :イヴと先代ジャウザーが結託して魔法少女計画を画策する、カイザーとアンフが風水師の谷でアルと接触。
21年前  .:イヴがアダムスを膿の渦に落とし、学園長などの魔法少女が生まれ始める、リゲル誕生。
19年前  .:AW三期生、イリヤなどが誕生。
18年前  .:AW現3年生、ディッセンバーなどが誕生。
17年前  .:AW現2年生、クラウソラス、カタナ、ミラ、ダイスなどが誕生。
16年前  .:アルゲバル原本が誕生?(リゲルがプラントする取引条件がアルゲバル原本の保証である為これ以前には生まれているはず)
15年前  .:ユダのクローン器で替え玉に自然力無効化の器プラント、アダムスが膿の渦から目覚める。
~      :リゲルへアンフの神の目プラント、カイザーが武器を爪に変更。
14年前  .:アダムス反逆、アモンの成長がほぼ停止、ゴーレムの性転換が可能に、神の目計画始動、アルマース誕生、先代ジャウザー処刑
十余年前   :ヴァンガード発足、リゲル入隊、複合魔法少女研究開始、ディッセンバーが戦術を学び始める。
~      :アルゲバルゴーレムが作られる。
数年前    :リゲルが風水師の谷へ、アルと再会。
数年前    :風水師の谷でアルゲバルと再会。自然銅のブレスレットを贈られる。アルゲバルが暗躍を始める(アルゲバルは10歳そこいら)。
数年前    :リゲルの通常視力に明らかな問題が出始める。
数年前    :ケビンがマンイーターになる。
数年前    :[神の目モード]マンイーター抑制の術式学者の第一人者が抜けて研究が遅れ始める。
2年前   :クラウ・ソラスのゴーレムが作られる(ヌアザの肉体年齢が15歳であることから)
半年弱前   :アルゲバルが司令官に着任。
~      :魔法少女の初陣、司令官アルゲバルが表に出てくる。
~      :リゲルが左目の通常視力を完全に失う、リゲルがアルゲバル原本にリバースを受ける。
3ヶ月前  :リゲルが司令官アルゲバルにヴァンガードの時代が終わったのかと愚痴をこぼし始める。
数ヶ月前   :カタナがマンイーターフォレストに遠征する。
本編開始




■EX
枠外要素の中二感ってヒャッハーな気分になるよね。
(和訳:ここからは、憶測を断定するなど、電波度、妄言度がより高まります)


○謎の耐久力を持つ人達とリバースについて

不死身の原理を説明されているアルマースを除いても、
本作には不可思議な耐久性を持つ人々がいる。

リゲル、トライ、ダイヤモンド、レイドの4人だ。

彼らには一つの共通点がある。
リバースの使用者であるか、リバースを受けたことがある点だ。
リバースとは、肉体の基礎情報さえ健在ならどんな傷も治す術式である。
ただし、これは実質的には肩代わりであり、術の使用者は癒すのと同等以上のダメージとなる。

彼らの不死身さはリバース由来ということで説明が付くだろうか。

リゲルについて、アンフのドラゴンスパイクを受けても致命傷にならず訝しまれる。
特にリバースを使って回復している描写は無い。

トライについて、ラファエロ来襲時に単体で戦うことになり、大きな傷を負ってそのまま気絶してしまった。
しかし、カタナがその後に彼の傷口が塞がっていることと、パッケージング術式のストックを持っていることに気づく。
彼は司令官アルゲバルのリバース役であり、リバースのパッケージングを多量に持ってはいるだろう。
しかし気絶していては使えるはずもなく、攻撃を受けてからリバースで治療をしたとは思えない。
トライは他にも、アルゲバル編で戦うために残していた最後の力を
アルゲバルへのリバースに使ってしまったようにも関わらず、終盤ではヌアザと一戦交えている辺りも妙にしぶとい。

ダイヤモンドについて、その不死身性は直接描写されないが、
ラファエロは少なくとも秘密を解き明かさなくては倒せないと考えているので、
少なくとも一度は倒しきれず、しかも何故かわからなかったということになる。
魔法少女では無いダイヤモンドは術式を使うのにパッケージングが必要であり、
戦闘中、リバースを使用してラファエロ程の実力者に気づかれないとは考えにくい。

レイドについて、ヌアザとの戦闘で属性を持っている訳ではないのに、雷をいくら食らっても堪えない。
戦闘中に特に術式を使っている描写は無い。
本人曰く、雷は慣れた、効かないとのことだが、しつこいまでに繰り返されるこの言は本当か、怪しくないだろうか。

以上からわかるのは、彼らの不死身性は
傷を負ってからリバースを使用して回復している訳では無いということだ。

順番が逆なのだ、こう考えれば良い。
彼らは、戦場に立つ事前にリバースを使用してから傷を負い、回復したのだと。

詰まるところ、リバースは先んじて使用することもでき、その場合は対象者が傷付いた際に自動で回復される術式なのだ。
レイドがトレミーからブレイカーを受け取った際すぐにリバースを使用したようなのが本来の使用法なのだろう。

この事前使用できるのがミスリードされているポイントが2点ある。

一つはトライがタクティクスブレインで傷ついているアルゲバルの修復時の描写だ。
これは燃費の問題であり、傷ついた箇所だけを直すために傷がついてから使用している。

もう一つは、アルマースが首を折られてからリバースを使う点だ。
アルマースは術式の効果の注釈を読む大切さを悟ったのはダイスとの戦闘時、神の目モードだ。
通常モードのグレン戦ではそこに至っておらず、本来の使用法を違え、わざわざ傷ついてから使用していると考えられる。

不死身のアルマースはともかく、リバースは肩代わりの術式だ。

ダイヤモンドやレイドについては、コネクト・ループでつながり続けるアルマースに
押しつけることで極めて高い耐久力を得ることができると考えられる。
特に術式に長けたダイヤモンドであれば、リバース・ループの様なことさえできるかもしれない。

トライについては、ラファエロと相対するにあたり、
既に満身創痍の自身の基礎情報が傷ついたとしても、
一撃でそのまま死んでしまうよりはマシと、自分で自分にリバースを掛けていたとすると
ラファエロ襲撃時の気絶時の表面的な傷の修復は説明が付く。

問題はリゲルである。
彼は傷つくことを過剰なまで恐れている。
攻撃を受けると痕が残る、片腕一本失うわけには行かないと。

この恐れの理由はゴーレムは子供の頃既に作られているので、ゴーレムが作れなくなるからではない。
自分の傷が治らないから、腕を失ったら治せないからでもない。
逆だ。
治ってしまうからだ。

リバースの本質はダイヤモンドの言に依れば肩代わりである。
故に、先にリバースを掛けてから、傷ついて治った場合、
リバース使用者に肩代わりされるタイミングもその傷ついたタイミングになると考えられる。

リゲルが恐れているのは己に傷がつくことそのものではない。
リゲルにリバースを掛けた、アルゲバル原本にダメージが行くことを恐れているのである。

なお、リバースを受けたのは本編開始前なのでどちらのモードでもリバースを受けている物と考えられる。

アルゲバル原本が通常モードでは培養液に浸かっていたり、
神の目モードでもポケットに手を突っ込んだままなのは、
リゲルが良く攻撃を受ける手のダメージを肩代わりし、傷だらけだからなのかもしれない。

こう考えると、トライの最後の力についても理解出来る。
アルゲバル編の最後、トライはアルゲバルに対して、普段やらない全身へのリバースを掛けている。
戦闘が終わった後も、アルゲバルにリバースを掛け続け、結果、
> トライ「リバースは、もう……無理、だな……」
というところまで最後の力を使い切ってしまった。
これは傷ついていない全身までリバースを行っているからだ。
先述のようにリバースは先がけでき、アルゲバルが傷ついた後に癒されるまで
その分の余力はトライに残っているということになる。
この差分の力が、最後にヌアザに対して戦う糧となったのだろう。

これを踏まえると、ある瞬間が俄然興味深くなる。
司令官アルゲバルが身代わりユダに襲われたタイミングだ。
このイベントは、前編最後の付近、トライがリゲルをワイズの外に逃がしてから発生するので、
トライの死亡時期と重なるのである。

トライが力尽きた原因は、ヌアザと戦いリゲルを逃がしたからだけではないかもしれない。
アルゲバルが首を吹き飛ばされ、そんな彼女を癒すほどのダメージを肩代わりしたのが最後の引き金になったと考えられるのだ。

果たしてトライは、もう一人の娘と想っているあの子を本当の最後の力で守れたのだろうか。
答えは続編が教えてくれる。



○神の目モードについて

結局の所、神の目モードとは一体なんなのだろうか。

最もわかりやすいのが、リゲルがタイムスリップして改変している世界という考え方だ。
しかし、少なくとも現状で神の目にそんな機能があるという説明は無い。
あるのは壊れた神の目が未来視ができるという、リゲルのはったりともつかない説明だけである。

では通常モードを神の目で未来視して、実質的に神の目モードのリゲルが2周目のような行動が取れるだけだろうか。
この場合、神の目モードの演出、左下の目と作動中の表示に違和感がある。
未来視で通常モードの世界を見ているのだとすると、逆に通常モードの方にだけこの表示が付く逆になった方が自然に思える。

そもそも神の目とは一体何なのだろう。
作中では、風水師の器とされる。
風水師の器は、自然を取り込み自然力に圧縮し、魔法に変換せずそのまま天災などの形で行使する能力のはずだ。
能動のアトモスフィアなどは確かに自然の力を利用しているように見える。

しかし、神の目の数値の世界が果たして自然と言えるだろうか。

ここで発想を逆転させてみよう。
神の目の数値の世界こそが自然、本来の姿であると。
つまり、この世界は数値の世界、元々仮想世界だったのではないだろうか。

そうなると、Antinomyの歌詞にウロボロスとあるように世界が元々ループしていたり、
別世界が存在しても不思議はない。
完全なループとなるべき場所で神の目を使い世界に干渉するのが神の目モードだとすると、
演出との整合性も付くかも知れない。

他にも、仮想世界の外側には現実世界があると考えられる。
トレミーの宇宙の先に点を打つことで兄の体の基礎情報を取り戻すというよくわからない術式も
世界の外側から情報を引っ張ってくる手段なのではないかと思えてくる。

あるいは、本来リゲルの神の目はそのゴーレムによって開閉される物という線から考えてみるとどうだろう。
神の目の開閉が遠方より行われていたとすると、そこにはおそらく術式コネクトが介在しているだろう。
神の目が壊れることにより、その接続が別世界に行くことで神の目モードとの切り替えを実現しているなんて可能性も考えられるだろうか。
スタッフロール中で拘束具のフードを介したやり取りも実に意味深だ。


根拠の薄いふわふわした話ばかりになってしまったが、現状では情報不足であり、
この辺りは答えを出すのは難しいのかも知れない。



○トライの娘について

通常モードで頼まれるトライの娘、マンイーターフォレストにいるという彼女は何者だろうか。
また母親は誰になるのだろうか。

トレミーは神の目モードでアンフに兄と呼びかけるシーンがあるので除外できる。

怪しいのは母親がアルであり、娘がアルゲバル原本だという線だ。
根拠は3つ。

EV284、285にて
> アンフ「とらわれた娘のことが気にかかるのは、わかる……」
> アンフ「だが、娘のアルは……“アルゲバル”は、俺が守る……」
と発言している。
その後にキャラのミストが登場し、アルが「あの子の父親」と紹介するが、
アルゲバルが2人の娘というのが自明なのであれば、
あの子というのはアルゲバルとは別の人間を指しているとしても会話の流れとしておかしくない。

もう一つはアルゲバルEDスタッフロールにおけるシーンだ。
ここでは風水師の格好をした見覚えのない黒髪の人物がアルと共に寝室にいる。
この黒髪の人物は身長33ドットなので男であり、髪型こそ違う物の髪の長さは22ドットでアンフと同じだ。
当時のアンフは風水師の谷への密偵を主任務としていたので、
服装、髪型共に変装していたとするとしっくりくる。

最後に、本編の最終EV364~366にて、
スタッフロール後、トレミーが培養液に浸かった人物の前でアイオーンと呟く。
アイオーンが何を意味するかはさておき、この人物は髪型からするとアルゲバル原本である。
つまり、娘を託される通常モードではアルゲバル原本がマンイーターフォレストにいる点でも一致しているのだ。
なお、彼女がミストを引き連れて歩き回りワイズを観察したりするのは、全て神の目モードである。



○ダイスの姉について

以下の2つを満たす人物とされている。
・名前がトで始まる
・優秀な術式学者

ここから多くの場合、2通りの考えに至ると思われる。
・作中で該当するのは今のところトレミーしかいないので、トレミーである。
・あまりにもあからさま過ぎるので、全くの別人。

このどちらかの考えが思い浮かびやすくなっているのであるから、
メタ的に考えると、トレミーでありながら、トレミーではないのが正しい答えなのではないだろうか。

そもそもトレミーとは真名であることが明かされている。
真名は他にカイザーがあるが、本作における真名とは称号のような物のようだ。
真名トレミーは優秀な術式学者に付けられる物だとすると、以前別の人物に付けられていた可能性が考えられる。
その人物こそがダイスの姉だとすると、前述の条件にあう。
その後に死亡するか何らかの事情で研究ができなくなり、現トレミーが真名と研究を引き継いだと考えると、
完成した術式にトレミーと名付けたくなる気持ちもわかるというものだ。

真名とは別に本名もあると考えられるが、現状では名ありの術式学者が
他にダイヤモンドやジルドレ郷くらいで、姉に該当しそうな名が思い付かない。



○先代ジャウザーについて

彼女の目的は、風水師と新人類・魔法少女の結託にある。
その為に、アダムが膿を脱するよりいくらか前に、長の座を娘のアル=ジャウザーへ譲り、
何かしらの暗躍を行い、アンフが調べた統計資料によりそれが露見して処刑されてしまう。

では彼女の魔法少女と組むための策はどのような物だったのだろうか。
これを考えるにあたり、二つ踏まえておきたいことがある。

一つはアダムの膿に落ちる前の時点で若い女性と言われることだ。
これは彼女自身がワイズで妊娠することにより魔法少女を産むことが可能であることを示唆しているのではないだろうか。
この方法であれば、自身の子という強固な結びつきの魔法少女を育て将来の戦力とすることは元より、
魔法少女を擁立していくワイズ社会に自然な形で影響力を発揮していくことが可能となったであろう。

もう一つは、死亡時期、詳しくは後述する。

仮に先代ジャウザーに魔法少女の娘がいるとして、娘が前編に登場している可能性はあるだろうか。
一人、極めて怪しい人物がいる。
ミラ・ジルドレだ。

ミラは母親を3歳の時に亡くしている。
これは、先代ジャウザーの処刑時期と完全に一致する。
また、ジルドレ郷は影の上層部であり、先代ジャウザーとも接点があったことはほぼ確実と言えよう。
髪色で見てもジルドレ郷は濃緑、先代ジャウザーは銀で、ミラの淡い緑は2人を混ぜたような色だ。

なお、長時代の先代ジャウザーの夫と思しき存在は全く登場しないので、
アルの父親はとっくに死亡ないし離縁していると思われる。
カイザーの可能性も考えられるが、その場合でも裏切られた関係から特別な感情はお互いにないだろう。

ワイズがフォグによる受動のアトモスフィアに覆われた際、
ミラが覚えたばかりの術式ミストで都市全土を覆って対抗し、ディッセンバーが驚愕する場面がある。
母親の家系に伝わる広範囲能力、能動のアトモスフィアが形を変えてミラの才能に受け継がれていると考えられる。

ジルドレ郷が死亡して、ミラは家族を全て失ったと嘆く。
しかし、ミラが先代ジャウザーの娘だとすると、ミラはアルの妹であり、リゲルやアルゲバルの叔母ということになる。

これは肉体関係を持った後に血のつながりが判明する典型的な悲劇だ、
と言いたいところだが、リゲルさんなら近親だとわかればむしろ勃起力に更なる向上を見せることに疑いの余地はない。
家族がふえるよ!! やったねミラちゃん!



○他ヒロインについて
しかしこのゲーム、先代先々代が様々な暗躍を行い、特殊な出生がいくつもあるせいで、
ヒロインに血縁者が非常に多い。

ほぼ確定と思われるだけでも、司令官のアルゲバル、
カタナ、ダイヤモンド、アル、アルゲバル原本、アルマースがおり、
さらに前項ではミラがリゲルの血縁の可能性が生まれた。

こうなると気になってくるのは、他のヒロインにも血縁の可能性はないかということだ。

そうした観点からすると、例えばディッセンバー・ガーベラも少し怪しく思えてくる。

EV71~73:ケビンと諜報者
> ディッセンバー「いついかなる時でも、冷静さを事欠かない……それが、お父様の教えですもの」

EV74:ミストの正体
> ディッセンバー「連帯意識が莫大な力を生むって、お父様……親も……そう、言っていたわ……」

というように、父親に対する言及がいくつかあるが、父親のガーベラは直接登場しないように見える。
しかし、彼女は術式ミストの使い手であり、キャラのミストと関わりがあるとすると、
この父親とは実はミストのことではないのかと思えてくるのだ。
ミスト自体、極めて冷静なキャラというより、感情がないキャラとされているのもある。

更に、ミストがアルによってアンフに「あの子の父親」と紹介された際、アンフは「災難だったな」と言う。
ミラの項で述べたようにあの子がアルゲバルではないとして、ディッセンバーだとすると、
この災難というのはアルゲバルを上層部に捕らわれたことではない。
では何かというと、タイミング的に見て先代ジャウザーのことである可能性が高い。
つまり、何らかの事情によりミストと先代ジャウザーの子供として生まれたのがディッセンバーという可能性が浮上する。
この場合、ディッセンバーもまたリゲル達の叔母となり、家族になるのだ。

ディッセンバーは十余年前から戦術を学んでおり、その師は父親である。
このタイミングも先代ジャウザー処刑され、
ミストがあの子のことを頼まれた時期とも言えるのである。


ではダイスはどうだろうか。
彼女の姉の言に怪しいものがある。

上層部と対峙した際の姉はこう言う。
> 「気づいていないはずも無い。私たち姉妹を見る目が、明らかに不自然だ」

仮にこの上層部が因縁あるレイドだとしたら、
この不自然な目とは、ダイヤモンドの娘達に向ける性的な視線ではないだろうか。
このことから、イグニート姉妹はダイヤモンドの血縁である可能性が出てくる。


最後にアモンについて。
ホムンクルスの生まれではあるが両親はいるはずであり
父親はカイザーであるが、母親については全く言及されていない。
この母親も怪しくはあるが、個人的にはアルの父親がカイザーというを考えている。
こうなるとリゲルはカイザーの孫ということになり、アモンもまた叔母ということになる。


飛躍の多い雑な話になったが、それぞれ可能性は0ではないかもしれない程度に受け取って貰えれば幸いである。



○リゲルのジャウザー側の血縁とゴーレムについて

・リゲルの原本とゴーレムはどちらが表で活動している方かはさておき、見分けがつかない程よく似ている。
・グレンはアルゲバルの妹。
・数年前の過去編の風水師の谷で、リゲルが会ったのはアルゲバル原本。
・司令官のアルゲバルはアルゲバルを原本とするゴーレム。

これらは全てミスリードだ。
少なくとも筆者はそう考えている。


比較的わかりやすい、リゲルのゴーレムについて考えてみよう。
ゴーレムの基本設定として、成長しないというものがある。
そしてゴーレムが作られたのは神の目プラント時、
リゲルが6~7歳の頃と思われるので、原本の21歳とは明確に身体で区別できるはずだ。
ゴーレムを成長するようにもできるが、その場合は原本が成長できなくなるので、
立ち位置が変わるだけであり、結局の所は原本とゴーレムははっきり見分けられるのである。

メタモルフォーゼもできないと思われ、子供とは体格が違いすぎるので、
どちらかが影武者のユダでどちらかた表にいるというわけでもなければ、
幾つかのスタッフロールに出てくる上半身と下半身が分かたれたリゲルでもないのだ。

おそらくこのことについては、考えてみれば当たり前なのに大人体系だと思い込んでいたか、
あるいは設定から子供だと一度考えても、何らかの方法で原本もゴーレムも大人体系になっていると考え直した人が多いのではないだろうか。
紫目のリゲルの登場、リゲルが2人いるなどそっくりな人物がいそうな言い方、スタッフロールで服装違いを3枚並べるなど、
同じ体型のリゲルが何人いるか、ヌアザの言などにより誰が原本で誰がゴーレムに当てはまるかという所に視線を誘導されているからだ。
だからこそ逆に、いずれかは子供体型のままだと考えるべきだ。


次にグレンについて。

グレンが過剰なまでにリゲルに突っかかっていくのは一体何故なのだろうか。
グレンがAWでリゲルと会った際、意味深な発言も非常に多いので、それを一つずつ見ていこう。

・EV43:グレン登場 AW内での初接触
> グレン「どいて下さい」
> リゲル「あ。はい……」
> グレン「はい……?」
> リゲル「は?」
この後、怒ったようにリゲルにぶつかる。

・EV44:ロックとリゲル グレンが蹴りで脅しを掛けた際
> リゲル(……? 殺傷能力……0?)
(略)
> ロック「俺の生徒が離れろとよ。従わなえと、首から上が吹っ飛ぶな」
神の目での読み取りとロックの指摘が剥離している。
首が吹っ飛ぶほど本気を出すとは思えない場面なのでただの脅しではあるが、
威力を0まで抑える必要性はまったくない。

> リゲル「え? はい……一応は……」
> グレン「はい……?」
> リゲル「はい……?」
EV43と同じようなやり取りが繰り返される。

・EV81~86:ラファエロ襲撃
> グレン「四人中……たった一人だけが大怪我を負っている、この実情」
> グレン「あなたはハッキリと足手まといだと言えるでしょう」
これは一見リゲルを侮辱しているようで、
見方によっては心配しているようにも取れる。

・EV92:ダイスの紹介
> リゲル「な、なぜ俺が……そんな殺意を、浴びなければ……」
> グレン「身に覚えがありませんか?」
> リゲル「……?」
> グレン「……。鈍重、ですね」
ここで言う身に覚えとはただのセクハラだろうか。

・EV93:ジャウザーの活動
> リゲル「えっと……グレン、さん?」
> グレン「……おかしいですね。あなたに私の名前を教えましたか?」
> リゲル「い、いえ。周りの方がそう呼んでおられたので……」
グレンの名前は、潜入していることを考えると偽名である可能性が高い。
名前を教えていないことをわざわざ覚えているのは
その偽名をリゲルに名乗る気がなかったからではないだろうか。

その後もまた、一見リゲルを罵倒しているようでその実心配しているようなやり取りが繰り返される。

・EV160:モテモテレヴァンと自然銅の腕輪
> グレン「……。銅の、腕輪……このブレスレット、どうしたんです?」
(略)
> グレン「誰も取りませんよ、こんな汚い腕輪。多少の魔力が感じられる以外、価値のある物にも見えませんしね」
(略)
> リゲル「……。“自然銅”のブレスレット……妹からの、貰い物なのです……」
(略)
> グレン「ですが……プレゼントに、銅の腕輪……」
> グレン「おまけに貰った兄は、スカート覗き……揃ってやることが、ちっぽけですよね」
腕輪に対して自分から質問し、腕輪やリゲルの妹まで悪く言って挑発するグレン。

・EV160:アルマースの邪悪、グレンの足技
> グレン「師、そして……兄のように尊敬している方から教えてもらった、とっておきの足技です」
グレンはAWに来る前から非常に強かったと思われるため、
ここで言っているのはおそらくロックではない。
おそらく足技を使う紫目リゲルか、徒手空拳で戦いそうなミスト辺りかと考えているがそこは本題ではなく、
敢えて比喩で兄と発言していることに着目しよう。
グレンはリゲルと兄妹であるはずなので、関係を示して反応を窺ってみた物と思われる。

・EV308:グレンとデート
グレンはここでリゲルが付けている物と色違いの腕輪をリゲルにプレゼントされる。
その後の帰り道
> リゲル「いえ、実は……神の目を稼動させないと、景色が常にぼやけているのです……」
(略)
> リゲル「あ、安心して下さい。立体化されるだけで、明確な形まではわからないのです」
(略)
> リゲル「色はわかるのです。ただ、くっきりとは……くっきり縦スジロリマンまでは見えません……」
(略)
> リゲル「はっきりと見たあなたが、美人かどうかも、判断できないのです……ただ、メガネ……と、だけ」
この直後、グレンはあまりにもタイミング良くメガネを落とす。

長くなったが、ここからがグレンについての本題だ。
ここまで並び立てれば、グレンが一連の行動の中で何を考えていたのか、十分に推測できるだろう。

これらはただリゲルがグレンの兄であるというだけでは到底説明が付かない。
グレンとリゲルは本来面識があり、その過去ではリゲルが敬語を使わないフランクなしゃべり方をして、
リゲルはグレンの本名を知っている、少なくともグレンはそう考えているはずであり、
グレンはリゲルにそれを自分から気付いて欲しいと突っかかっていたとしか思えないのだ。

おそらくここまでは多くの人が納得出来る内容だと思う。
問題はグレンとリゲルはいつ出会ったことがあるかということだ。

グレンはアルゲバルの贈った腕輪と贈り主をも悪く言った。
自然銅の腕輪は敬愛する母様も付けており、「まだ見ぬ姉さん」が作成し贈ったものだとすると、
あの描写には違和感しかない。

考えられるのは一つ、グレンが腕輪を贈った張本人であり、
自分が贈った腕輪を付けつつも自分に気づかないリゲルにやきもきし、
悪く言うことで反応を引き出したということだ。

つまりグレンの正体とは、数年前に風水師の谷でリゲルと再会し、自然銅の腕輪を贈り、
結婚するとまで言ったアルゲバルその人だということだ。

何を馬鹿な、髪の色が全く違うと思われるかも知れない。
しかし考えて欲しい。

リゲルは神の目によって視力が著しく低下しており、色やわずかに見える形状、声で個人を判別していると思われる。
逆に言えば、髪色や話し方が変わっており、
さらに視力が落ちる前に出会った人物は判別方法が変わってるので当人と判別できない可能性が高い。
例えば潜入のためか、器の回収の副作用かで、グレン髪の色が変わっており、喋り方を変えているのだとしたら……

つまり、髪の色が違うのはグレン=数年前風水師の谷のアルゲバルという考え方を否定する理由にはならない。
むしろ面識があるはずのリゲルが識別できない理由となるので、過去に登場した髪の色が違う人物こそがグレンのはずなのだ。
髪の色による人物誤認は、ゴリッチュのお家芸でもある。

だからこそ、グレンはリゲルの視力低下を聞いて
すぐに特徴としてわかるメガネを落とすことで少しでも自分に気付かせようとしたのではないだろうか。

グレンはその後も自分に気付いて欲しいとリゲルに対してぶつかりあう。
切り札ジャウザーであることを明かした後もそれは繰り返される。
しかしリゲルは気付かない。

これこそが、グレンがリゲルの話を聞きつつも常に怒ったような対応を取ってきた理由なのではないだろうか。


さて、こうなると別の疑問が出てくる。
銀髪翠眼のアルゲバル、彼女は何者なのだろうか。

答えは簡単であり、彼女こそがアルゲバル原本であり、グレンがアルゲバルゴーレムだというだけだ。

上のグレンの話と矛盾しているなどとどうか思わないで欲しい。
話がややこしくなっているのはアルのせいだ。

風水師の谷でアルゲバルをマンイーターフォレストから連れてきて大丈夫か聞いた際の会話
> リゲル「急に姿を消して、上層部は不審に思わないかい……?」
> ジャウザー「ええ……心配要らないわ……」
> ジャウザー「……。“ゴーレム”よ……」

これを聞き、リゲルは置いてきた方をゴーレムだと考える。
しかし、アルの発言は微妙な間があり、更にどちらを置いてきたか敢えて明言を避けている節がある。
つまり、置いてきた方が原本のアルゲバルであり、谷に連れてきた方がゴーレムである可能性が考えられるのだ。

リゲルは成長しないことでマンイーターフォレストに残したのがゴーレムだと気付かれないか等を不審に思っていたが、
単に逆だったというわけだ。

ゴーレムと原本の最大の違いは成長の有無であり、膿など特殊な理由がなければ成長をゴーレムに移す必要が無い。
数年前の風水師の谷のアルゲバルが31ドット、グレンの身長も31ドット、銀髪翠眼のアルゲバルは32ドットである。
以上より、銀髪翠眼のアルゲバルが原本であり、グレンがアルゲバルのゴーレムである可能性が高い。
この二人は色を除けば釣り目など見た目がよく似ているのも、ゴーレムと原本だからだろう。

アルゲバル原本たる銀髪翠眼の彼女は、通常モードではエンディング時もマンイーターフォレストで培養液に浸かっている。
数年前に風水師の谷へ行かず、マンイーターフォレストへ逗留し続けたのだろう。
なお、OPでリゲルがアルゲバル原本からリバースを受けたのは森の中なので、これもマンイーターフォレスト内であると思われる。


ここで、また別の疑問が発生しただろう。
ゴーレムの基本的な性質として、ゴーレムからゴーレムは作れない、
一度ゴーレムを作るために身体情報を欠損した原本からもゴーレムは作れない。
つまり上記の説が正しければ、
司令官の座に就いているアルゲバルは、アルゲバルのゴーレムを自称しながらも、
アルゲバルの原本でもゴーレムでもあり得ないのだ。

彼女は一体何者なのか考えてみよう。

・本人曰く、アルゲバル原本から欲を抜き取ったゴーレム。
・過去の話や母親の話をほぼしない。
・神の目計画の一翼を担う限り、司令官ごっこを続けられると言われる。
・筆者の主観では銀髪翠眼アルゲバルとそっくりな程は似ていない。むしろ銀髪翠眼とグレンの方が、色以外は似ている。
・身長は31ドット。肉体は成長しない。
・彼女は好きな男性はペドフィリア扱いされるので、肉体年齢は1桁の可能性が高い。

成長しないことからゴーレムかマンイーターであることは間違いないのだろう。

ところで、彼女の神の目計画においての役割とはなんなのだろうか。
神の目計画、それは膿の渦から抽出した自然力拡散による魔法少女を誕生させる魔法少女計画の後継であり、
より大がかりな物であると言われる。

司令官アルゲバルの得意技は術式テンタクルホワイトによりマーキングした範囲から
情報や思考を読み取るタクティクスブレインだ。
これは極めて広範囲に影響を及ぼすことが可能であり、また情報を収集するこの能力は神の目に類似している。

しかし術式学者でも魔法少女でも風水師でもなさそうな彼女が、どうしてこのような術式が使えるのだろうか。

一つ考えられるのは風水師の長の家系の血である。
代々伝わる能動のアトモスフィアは広範囲の情報を自然が教えてくれる。
思考を読めるわけではない、マーキングの有無など違いはあるが、これも似た能力ではある。
ただ、本当にその遺伝によるものだけだろうか。

このタクティクスブレインはお世辞にも有効活用されているとは言い難い。
アルゲバルが折角それにより作戦を立てても情報が横流しされるのである。

この無意味にも思える茶番にこそ、神の目計画が由来しているのではないだろうか。
つまり、タクティクスブレインの使用そのもので自然力の拡散が行われ、
魔法少女計画のようなことがより広範囲に行われているのではないだろうか。
この場合、思考を読み取るのは上層部にとって付属効果に過ぎず、
得た情報を活用するしないより他の都合が優先されても不思議はない。


ここで一つ、思い出して欲しい。
よくわからない状態のゴーレムがもう一人いるはずだ。
リゲルのゴーレムである。

・リゲルに神の目プラント時、血縁外プラントの負担を分割するために作成された。
・神の目を開閉する役割を持つ。
・当時のリゲルの身長は31ドット。
・当時のリゲルの年齢は6~7歳。

ここに関連する可能性が高い、
神の目プラントと同じ頃に行われた興味深い会話を加えよう。
> ダイヤモンド「男の原本から、女のゴーレム……つまりは……」
> レイド「!」
> ダイヤモンド「魔法少女計画を踏襲した……神の目計画の、始まりじゃ」

つまり、リゲルのゴーレムは女である可能性が高く、
そのゴーレムもまた、神の目計画に大きく関与していると思われるのである。
この少女は、既に登場している誰かである方が話として面白いことは言うまでもない。

何故性転換する必要があったのかは、恐らく長の家系に伝わる能動のアトモスフィアに関係しているのではないだろうか。
現状で出ている使い手は女性のみなので、女性しか使えない技術だとするとどうだろう。
そして神の目は現状で男性しか使い手がおらず、
カタナにプラントした際は近親ではあるというのに体質的に合わないと言われていたので、男性専用の可能性がある。
この両方を組み合わせることが神の目計画の必須条件であると考えると、神の目を持ったアンフがいたのに彼を計画に使わず、
わざわざジャウザーを母とするリゲルを作り、リゲルに合わない神の目をプラントし、更に性転換ゴーレムが必要だった筋が通る。

成長する特殊なゴーレムは、原本から奪った物が大きすぎるために記憶を失うという。
その為、クラウはゴーレムでありながら、自身が原本であると勘違いした。

性別が逆になる場合もかなり特殊な生まれであり、同様に記憶を失うなど精神に影響が出る可能性が考えられる。
そもそも性別が変わるなど自身の性同一性を脅かされる事態だ。
さらに言えば、幼子の時分に虐待を受けると精神を病むことがあるが、このゴーレムの場合、
ある意味生まれてすぐにプラントによる耐えがたい苦痛を受け持つこととなったのだ。
こうなると、まともな精神状態である方が難しいとさえ言えるかもしれない。
例えば、自分の女の子の体を見て、自身の原本がリゲルではなく、最も身近な少女であると勘違いし思い込んだとしても不思議はない。


ここまで書けば何が言いたいか察して貰えただろう。
司令官のアルゲバルこそが、リゲルのゴーレムなのだ。

この前提で考えるに、リゲルの神の目を開閉することで、タクティクスブレインを実現しているのではないだろうか。
そうしてリゲルと司令官アルゲバル2人で自然力を撒き散らしているとすると、両者の神の目計画への関わり方がすっきりする。
リゲルが難しい術式と言われるテンタクルホワイトをあっさりと習得できたのも、この辺りに理由がありそうだ。




色々と書いてみたが、正直に言えば半分も合っているとは思えない。
自分にとって、正解を出すのが目的なのではなく、
続編を待つ間に考えることそのものが娯楽になっているようだ。
妥当な解釈より、こうだったら面白いという方向で考えてしまう悪癖もある。
全く思いもよらないようなミスリードや伏線を見逃している部分もきっと多いだろう。

ただ一つ、確実に言えることがある。
こうして気になった箇所を幾度となくプレイし、
様々なキャラや事柄に想いを馳せ長々と書き綴るのは、実に楽しかった。

この長文をここまで読んだような物好きは間違いなくゴリッチュ信者であり、
また妄想を楽しむ素養があるだろう。

わずかに触れたのみのスタッフロール周りなど、まだまだ考えるべき事は無数にある。
座して続編を待ちながら、まだまだ色々とこねくり回すであろうが、一旦この辺りで話を終えるとしよう。

ただ今この胸にあるのは、次作への切望と、ここまでのゲームを作ってくれた作者ゴリッチュへの感謝のみである、
なんて訳はない。

おい、ふざけんなよゴリッチュ!
アルマースたんはなんでこんな扱いなの??
いや、闇落ちは良いんだよ、むしろ好きになったし。
でも販売ページ画像でも解放前のEV画面でもどう見ても隠しヒロイン枠だったろ!!!!
騙される快感とか言ってたアホは誰だよ、こんなミスリードはいらんわ!!!!!!!!





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2020/2/16追記
Twitterの方にも書いた内容。


H時リゲル知能低下現象。
神の目のアイオーン最大の謎について、与太話をでっちあげた。

あんまりな話なので落ちを先に書いておく。
"Hシーンのリゲルは、下半身で物を考えている"だ。


■前提
ゴリッチュもといミスリードが上手い作家による謎に相対するにあたり、注意すべき事がある。
目の前にぶら下がった謎、人参を真っ直ぐ追いかけていても、
絶対に食べられない仕掛けがあり得るということだ。

何故なら、謎Aの正答に対応する伏線Aは、ミスリードBに目を覆われている間はそうと気付けず、
さらにそれがミスリードCによってそもそも疑問にすら思えないといった具合に
複合的な仕掛けになっていたりするからだ。

これらに対抗するには、面制圧的にプレイし、種々の事柄を関連付けていくしかないだろう。
しかし長大な話と膨大な設定を誇る本作である。
組み合わせる要素数により答えの候補が指数関数的に増加していき、迷走の一途を辿ることも少なくない。
好きな作品についてなら、それもまた楽しめる。多分。


■躯幹
時として、ヌアザ以上の策謀家に見える主人公リゲル。
ここでは、そのリゲルについて、H時の知能低下問題について考えたい。
ゴリッチュのことだ。
必ずや、人並み外れたとんでもない理由があり、それがリゲルの行く末を左右することだろう。

その為には上記に則り、Hシーンを網羅的に見ていくしかない。
これにはさすがに時間が掛かる。
先んじて生肉をHシーンに30時間ほどつけ込んでおいた。
得たものを記載していこう。

○リゲルの裸ドット絵
両モード共に、よく見なくとも不自然に思える点がある。
正面や左右の胸の下の辺りに、RGBで0,0,0の完全な黒線があることだ。
ゴリッチュはドット絵において裸体のこの辺りには
基本的に肌よりは濃いがもう少し薄めの色で影を表現しており、
完全な黒はどんな胸の大きな女性キャラの裸体ドット絵にも見られず、
過去作の男性キャラにもなかった強い色である。

つまり、リゲルはゴリッチュの全ドット作品中最大の巨乳だったんだよ!!!!

なんてことが無い限り、何か意味があるのではないだろうか。

○H時の男性器ギャグ
男性器がしゃべるシーンが、通常モードと神の目モードで少なくとも1箇所ずつはある。
どう見てもギャグにしか見えなかった、神の目で裸体率や3サイズを計るのが、
実はリゲルの本来の目に関する伏線だった本作だ。
当然ギャグにしか見えない股間しゃべりにも実は別の意味がある、と良いなあ。


○まとめ
結構時間掛けて調べて考えて、これだけか。
どうやら知能が低下していたのはリゲルではなく自分の方だったらしい。

上記を纏めると、何かがわかる、かなあ。
他には、えーと……

……

リゲル(の行き先を決める存在)が人並み外れてとんでもなくH大好きなだけでは……





■蛇足
せっかくだから一緒に考えていたHシーン以外の疑問点なども色々と書いておこう。

○ライデン
ライデンは、トイレで投資、ダイス研究室で強化する魔法、即ちブレンド術式である。
このことは合成前の元となる魔法が存在することを示している。

ではライデンの元の術式とはどのような性質のものだろうか。
ヒントになりそうなのは、クラウの未熟さだ。

> リゲル(クラウさんのライデンは……じかに、神経に電を流し込む……)
> リゲル(逆にカタナさんは、雷との“一体化”ありきで全身に馴染ませている……)
> リゲル(負担の差は、歴然……極めるまでが難解なのだろうが、それこそがきっと本当のライデンなのだ……)

カタナの方が完成形であるのだから、逆に言えばクラウの方が元の魔法に近い可能性が高そうだ。
神経に雷を流し込む系統のものが一つはあるのだろう。
便宜上、ライデンの元となったこの術式を弱ライデンとでも呼称するとしよう。


共通ルートのジゼル戦。
> クラウ「……雷。僕の“ライデン”は、足の神経に雷撃を流し込んで……砲口初速さながらの第一歩を、踏み出せます」

ここではリゲルがクラウにライデンについて聞き、ライデンを掛けて貰うことで打開に繋がる。
一見するとこの作戦、何も知らないリゲルが尋ねたら、クラウが使えるライデンが、
たまたま人に掛けられる魔法だったからスムーズに上手く行った訳で、
仮にライデンが自分にしか掛けられなければ、
同じ論理でクラウが先に突っ込むことになりかねない綱渡りだったように見える。

しかし、リゲルは(Hシーン以外)頭脳派でもある。
何らかの意図ないし根拠をもって、あらかじめ話の道筋を立てていたとも考えられる。
例えば、他人に掛けられるライデンと類似の術式、弱ライデンを知っており展開の予測が付いていたとも取れる。



○ゴーレムに抜き取られる物
> アルゲバル「奪われた素体は、どこかしらが欠ける。体の一部であったり、あるいは“感情の一部”であったり……」

ゴーレムについて、作中ではこのように説明される。
しかし、今のところ、ゴーレムは全て何かしら感情か特殊な物を抜き取った物ばかりで、
体の一部を抜き取ったものは見当たらない。
あのゴリッチュが、そのような無駄な設定を作るだろうか。

もう一点、司令官アルゲバルが原本から抜き取ったという欲、これは正確な事実なのだろうか。

素直に解釈してアルゲバル原本がポケットに手を突っ込んだ彼女として、
予告や旧キャラ紹介を見るに普通に欲はありそうだ。
上に記載した司令官アルゲバル=リゲルのゴーレム説を採るとしても、やはりその原本たる人物は過剰なまでに欲塗れだ。

上記の2点からすると、この欲とは実際には欲を司る肉体の一部を指しており、
婉曲的に欲と言っているだけという可能性が考えられる。



○リゲルの足腰の強さ
リゲルは防御の性能に関しては格上のキャラ達からも賞賛される。
しかし名有りの戦闘職としては、足腰が強くはない。
このことは恐らく50%のアモンにも罵倒される。
また、度々上半身は動かせる物の、立ち上がれない状態に陥ったような描写も散見される。

無論、生身であろうリゲルがマンイーターの中でも上位であるアモンに及ばないのは仕方のない面もある。
シールドパンチャーという上半身を主体としていそうなクラスに属することも無関係ではないだろう。

神の目により予測や、大回りの円を習得してからは機動力が上がり、先回りできることもあるが、
これはあくまで先読みや技術であり、肉体として足腰が強いわけではない。

前編終盤
> リゲル「でも、ドラゴンスパイクが……どうしてもまだ、できないのです……」
ドラゴンスパイクは斬り上げながら飛び上がる大技だ。
リゲルが使えない理由はいくつか考えられるが、そこには当然、足腰の相当な強さも求められることだろう。

上記の少し前の箇所で、トライは、そんなリゲルの足腰を褒める。
> トライ「あんま下ばっか、見んな……? 足腰しっかり、したんだからよ……」
(中略)
> ――ちゃんと、俺を……見てくれて、いたんだ……

リゲルが一人前になったことを認める、感動的なシーンだ。
しかしここでは、肉体的には歩けなくなっているリゲルを負ぶさってトライが運んでいる状態でもある。
リゲルは反逆を疑われている状態なので、社会的地盤も崩れかかっておりその手の比喩とも考えがたい。
状況とリゲルを褒める内容が、やや相応しくないように感じないだろうか。
ところが、そんな言葉に対するリゲルの反応は、自分を見てくれていたと大きく喜ぶものになっている。

ここには隠れた前提があるはずだ。
リゲルは過去、足腰が戦士としては致命的な程に弱かったという共通認識がなければ、
このようなやり取りにはなるまい。
その後、努力などによって並みの戦士程度までに引き上げたのだろう。
それが故に、トライは今は立てずとも足腰が戦士の物になったと認め、それにリゲルが歓喜したのだ。



○非人間型クローンゴーレムの数
拘束具について
> ダイヤモンド「この部屋の検体の数から逆算すれば、作れるクローンゴーレムの数も二桁を超える」

これに対して、それほどの数を使う説明が下記だ。
> ダイヤモンド「ひとつふたつ、事故で検体が機能停止しようとも……多方面からのコネクトで、拘束具を生かすためじゃ」

本当だろうか。
例えば、よほど故障率が高いならば、コストが掛かってもあれだけの数を準備しておくのも一理ある。
しかし実際には、現代のアルマースが確認した際も、クローンゴーレムの親達は健在だった。

一箇所に固めている以上、纏めて襲撃されたり同じ事故で全て壊れる可能性もある為、
リスク分散の効果も低い。
培養液は高額な費用が掛かると言われているので、数体以上はあまりに効率が悪く思える。

ではどのような理由でこのように多数を維持しているのか。
ダイヤモンドとレイドの力関係、経済状況、目的の差異を考えると、
実際には拘束具には数体分しか使わず、残りはダイヤモンドが着服しているとするのが妥当な所だろう。

半永久的に術式が使える服などの形状にできる物質、
術式を頼みとするダイヤモンドにとってこれらの利便性は極めて高い。
EDロールでマントのリゲルと共にクローンゴーレムの実験を行っていたのも、この内の一体なのだろう。


○ダイスED・前編EDに出てくる体を分断されたリゲル
意味深な各EDの中でも、とりわけ気になるこのシーン。
素直に解釈すると上半身と下半身に体を分断されたリゲルが培養液で治療されている訳だが、
EDロールは時系列や場面の繋がりなどが明確ではなく、いくらでも仕掛けを施せる場面だ。
果たして見たままを信用して良いものだろうか。



○複合魔法少女実験がもたらしたもの
クラウとジゼルの対峙時
> ジゼル「雷は……いら、ない……」
> ジゼル「もうこんな雷で……私は、縛れないの……」

ジゼルは雷に特異な反応を見せる。
雷による調教を施されていたとするのが最も素直な解釈と言えるだろう。

しかし、痛みによるただの精神的な支配だけとも考えがたい。

> ダイヤモンド「マリオネットと化したジゼルは“術式”で操作できる」

> 上層部A「ジゼルの制御が……利かない……」
> 上層部B「では、ジゼルは……本当に……」
> ジルドレ卿「わ……我々が……暴走を、引き起こしてしまったのか……?」

> ジルドレ卿「ジゼルが……自律稼動、している……?」

まるで、スイッチで稼働をON・OFFできるロボットが勝手に動いているような反応だ。
マリオネット化とは一体どういった原理でジゼルを縛り、そこから術式で操作できるはずだったのだろう。


そんな彼女の背景にあるものを語る前に、ゴリッチュのどんでん返しの手法について、再確認する必要がある。

ここでは例として、リゲルの視覚障害について思い起こそう。
種明かしの前には、どのような伏線が提示されていただろうか。

最もわかりやすいのは、アモンに髪留めを買うシーンだろう。
ここはプレイヤーに明確に違和感を与えることを意図している。
答え合わせの時に、ああ、アレがと思って貰える、実にわかりやすい物だ。
勘の鋭い人ならば、このシーンを見た際、答えの周辺までたどり着けただろう。
(偉そうに語っている筆者は、もちろん予想できなかった)

次に、まだ比較的わかりやすいと言えるのが、神の目の発動シーンだ。
彼はその視力を神の目の能力によって補っていた。
3サイズの計測、裸体率の計測など一見するとギャグにしか思えない使用法。
これらは実際には、その視力故に周囲の状態を確かめるために必要な使用だった。
ギャグや戦闘の為とミスリードもあるので事前に気付くのは中々難しいが、
それでもあれが伏線だったのかと後でわかるものではあるし、あらゆる可能性を検討すれば、
事前に隠された事実の可能性の一つとして視力に問題があることを
思い浮かべられなくもない難易度の物と言える。
(偉そうに語っている筆者は、もろちん略)

よりずっと気付きにくい伏線がある。
上記以外の全てのシーンだ。
それは、怪しい描写があることではなく、視覚に関する描写が神の目の発動シーン以外にないことである。
この特定の描写が"ない"という伏線は、プレイヤー視点で事前にそうと気付くのは非常に難しい。
(偉そうに略)

とは言っても、この手法は既に使った、アイオーンはもう安心、さすがに同じ手法で騙されたりはしない、
などと思えないのがゴリッチュ作品である。
ゴリッチュは一作品で何度でも騙してくる。
別の手法でも無論騙してくるし、一度騙した手法をさらに捻って繰り返し騙してくる。

では、ここからどんな捻りが加わってくるだろう。
テキストで見えることと見えないことを語っていたのだから、
今度は絵で存在しないものを見せてくるかも知れない。
いや、それではまだ弱い。
折角ドット絵という原点回帰の武器を手にしたのだ、これをふんだんに利用してくるに違いない。
ドット絵の利点、絵そのものではなく、動きで、
当たり前にあるはずのものがないことを表現することが考えられる。
凡人の自分にできるのはこんな当てずっぽうだけだ。


そんな仮定を元に、全てのジゼルの登場シーンを見返してみよう。

004、005:ジゼルはただダイヤモンドの傍らに佇んでいる。
027     :ジゼルはずっと竜巻の中。
028~032:術式学者の制御を受けなくなる。ジゼルは常に浮いている。
       :氷属性の人格が混じり始めてからそのまま何処かへと消える。
033~036:室内だがジゼルは浮いており、人格がころころ変わる。着地してから殺す。
124~126:地に足を付けてライデン? を2度使用。
       :風魔法を使う頃から飛び始める。ダイヤモンドの雷を受けた後に吹き飛ばされる。
151~157:高台に着地、落下中、サザンクロス。ミラに撃退される。
       :再登場、戦わず浮かんだ状態で会話、去る。
353~355:浮かんだ状態で紫目リゲルと会話中、着地。カタナと対決。着地と浮遊を繰り返す。
       :着地状態では消えるように移動。

あることに、いや、ないことに気付いただろうか。
誰もが息を吸うようにあたり前にやっている動作を、ジゼルはしていない。
それはゴリッチュほどのドッターならば、幾度となく描いてきた、最も楽に作れるはずの動きだ。

ドットがぐりぐり動く本作、その中でもジゼルは飛んで大暴れする。
急ぐ必要の無い状況で目と鼻の先に移動する際も、飛んでか、あるいは消えるように移動する。
地面に降り立つことはあるが、移動する段になると、そこからわざわざ浮かんで移動する。
ジゼルは静止時も数ドット程度のほとんど意味が無いような低空を浮かんでいることが多い。
まるで、飛ぶよりただ立っている方が負担が大きいと言わんばかりに。
彼女をそれをしないのではない、できないのだ。

リゲルにとっての神の目による観測が、ジゼルにとっての飛行による移動にあたる。
リゲルにとっての目が、ジゼルにとっての足にあたる。

ジゼルは、歩けない。


こう考えると、実に様々な所に繋がってくる。

まず、ジゼルが歩けない原因に視点を向けよう。
考えられるのは、やはり複合魔法少女実験によるものだ。

なお、類似の技術にプラントがあるが、これは別の技術に拠る物と考えられる。
彼女の体には縫合痕が複数あるが、プラントはそのような痕を残す物ではないからだ。
このことはアルマースが説明を受けており、
その後のエーニッヒに見せた裸体で特に縫い目や肌の色差などがないことを証明している。
加えて言えば、ジゼルの人格は姓が異なるので、
血縁の制限はプラントよりも緩いというメリットと言える差異もありそうだ。

この傷痕、特に首を一周していそうな物は特に意味深。
首をすげ替えたとしか思えないからだ。
そのような外科的な手術を行い、遺憾なく神経系を接続できる技術がこの世界にあるのだろうか。

この答えは基本的にノーで、だからこそジゼルは歩けないのであろう。
一方で条件付きでイエスでもあると言える。

前言を翻すようだが、ジゼルは、尋常ではない脚力を見せたことが1シーンだけある。
クラウとの対峙において雷を受け、それをライデン的に使用した際だ。
しかし神経が繋がっていない状態でそんなことができるのだろうか。

この問いには、所変わってヌアザとレイドの戦いに答えがある。
> ヌアザ(劣勢を悟られては、ならん……麻痺で痛みは散らし、砕けた骨や神経は雷でつなぐ……)
この世界の雷魔法は、繋がりを断たれた神経を一時的に繋ぐことが出来ると明示されているのである。

まともに繋がっていない神経系であっても、ジゼルは帯電時は人並み以上に体が動くのだ。
これを踏まえるとジゼルが雷魔法に対して見せる忌避感は、
ただの痛みに対する物とは全く別の意味合いを帯びてくる。

ジゼルが遁走する前、上層部の術式学者は、ジゼルを術式でマリオネット化していた。
これは雷魔法により、体の外部から、
ジゼルが自分では干渉できない神経系に作用することで体のコントロールを奪っていたのだろう。
雷は、ジゼルを縛り上げる鞭、マリオネットの糸だったのだ。

その一方で、ジゼルがあれだけの速度を誇るライデンを使えることからすると、
外部から操作されさえしなければ、体を真っ当に動かせるようになる飴でもあったのかもしれない。

ダイヤモンドがジゼルを放逐する際、強力な雷魔法を当ててから吹き飛ばし、その後に憐憫の情を見せる。
これはジゼルがしばらく身体の操作に不便しないようにする、
ある種の同情と餞別を込めた充電でもあったのだろう。

ジゼルのこの台詞を今一度見ると、その覚悟の方向性が別の物に見えてくるはずだ。
> ジゼル「雷は……いら、ない……」
> ジゼル「もうこんな雷で……私は、縛れないの……」
この時彼女は、マリオネットとなることも、外部からの助力による通常の歩行も放棄し、
生涯を自由に飛んで過ごすと決めたのかもしれない。


とはいえ、これはあくまでジゼルの話だ。
続編の予告にある疑似男性器を入れるという動きは、下半身が自由に動かせないと難しいはず。
ここでの身体の操縦権を持つサラは、
ジゼルのような拘りはなく外部から雷魔法を受けたのか、あるいは自身が雷属性なのかもしれない。

雷属性と言えば、この世界には代表的な兄妹がいる。
サラは彼らと何か関係があるだろうか。

ダイヤモンドの態度も不可思議だ。
溺愛するリゲルを傷つけ人質に狙い、自身の命を狙う危険因子を、
可哀想だから放逐というのは、彼女としては不自然に甘い処分だ。
そんなダイヤモンドが情らしきものを見せる相手は、ジゼル以外では自身の子達に限られている。
リゲルは言うに及ばず、ヌアザにはなんだかんだで便宜を図っているし、
アルマースには手を焼きながらも教育を施している。
カタナについては恋愛事情を兄一筋と正確に把握していたりもする。
レイドの勘違いでミスリードされるが、この兄とはクラウではなくリゲルだ。

ただ1人、苗字の明かされていない複合魔法少女の一角、サラ。
彼女の姓は、ウィンターなのかもしれない。



複合魔法少女にこのような背景があったとすると、
一際怪しさが増してくるが、彼女の横に並べられている、上下分断状態に見えるリゲルだ。

そもそも彼は本当に、上下に分かたれているのだろうか。
複合魔法少女と並べられていることから、同じ施術の最中だとすると、
ジゼルが3人の組み合わせであるのと同様に、上半身と下半身は別人である可能性が浮かぶ。
この場合、髪型からして上半身はリゲルだが、
下半身はリゲルにくっつける為に用意された別の生命体だ。

リゲルの裸ドット絵にある胸の下の線は、このリゲルの分断箇所と同程度の位置にある。
この符合が無関係ではなく、何らかの因果で後に各々のリゲルにある線の元となったとしよう。
リゲルには最初から線があるので、本編開始前にこの状態であったということになる。

では本来のリゲルの下半身は、いつ、どこに行ったのだろうか。
リバースで治せるのであればダイヤモンドが何とでもできるだろうから、
基礎情報ごと失っているはずだ。

身体の基礎情報を失うのは以下のような時だ。
・器なしで、また器より大きな術式を使いすぎる。
・ブレイカーで破壊される。
・風車で破壊される。
・ゴーレム作成時に身体ごと抜き取られる。

ところで男性にとって、下半身とはどういった物と言えるだろうか。
一つ上げられるのが、欲の象徴だ。
そう言えば、欲を抜き取ったされるゴーレムで、
リゲルのゴーレムであることが疑われる少女がいたはずだ。
プラントの苦痛の分散、神の目計画の一翼を担わせるという役割の大きさを考えると、
その為には体の半分を抜き取らざるを得なかったいう線は十分にあり得るだろう。

しかしゴーレム作成時にリゲルはまだ幼く、
その後にヴァンガードの入ったリゲルには、少なくとも見た目上は下半身があった。
こちらの下半身は一体どこから用意されたものだろうか。

リゲルの身体にとって最も良いのは、血縁によるプラントだが、当時のリゲルは6~7才の少年だ。
アモンに対するプラントのように腹部の一部ならともかく、下半身まるごとである。
開示されている範囲では大人と赤子しかいない血縁者からのプラントではサイズの問題で難しく、
また彼らを犠牲にしたところで、では彼らの下半身をどうするのかという問題に行き当たる。
同様の理由で、一からの成長となる、クローンやホムンクルスも使えない。
作ったゴーレムをプラントすると、神の目プラントの苦痛を分散できなくなるので本末転倒だ。

そこで、頼れるのが複合魔法少女の技術となったのではないだろうか。
これにより、何らかの下半身を接合した。
しかしジゼルよろしくただの下半身では神経の接続が不完全で歩けない上、
生身の人間を使えばその人間が犠牲になる。
生きている人間を犠牲にせず下半身だけをぽっと取り出せて、
雷魔法を恒常的に使用出来る物があれば良いということになるが……

そんな都合の良い下半身となり得るものがダイヤモンドの手元にある。
クローンゴーレムである。

これは拘束着のためにアダムを膿に落とした頃から生まれているだろうから
年齢的にもリゲルと同じ年頃であり、
> ダイヤモンド「風水師はそれぞれ、手や足……“器”となる部分が、バラバラじゃからの」
と足となるパーツの存在も仄めかされている。

このクローンゴーレム下半身を接続し、弱ライデンを使用し続け神経を接続し、
リゲルの意のままに動かせるようにしたのが、
現代の両モードのリゲルの基本の状態なのではないだろうか。

クローンゴーレムは不死身であっても無敵ではないのはアルマースを見ればわかる。
上下分断状態に見えるリゲルは、下半身を修復か差替中なのだろう。
リゲルの胸の下の線は縫合線か、其処を保護する物だと考えられる。


Antinomyの歌詞
手指と踵が 交差する いま一つに
始まりの時に切られた 分かつ僕と僕 合わさらない


クローンゴーレムの親達は、レイドの部屋で器の部分のみが培養液に浸かっている。
彼らはどのように作られたのだろうか。
検体の風水師を切断したと説明されるが、他の由来のものが混ざっていることもあり得る。
例えば、風水師の誰かのクローンだ。
クローンで器を作成するのは前例がある。
クラウやカイザーのクローンは多数作られ、その器がそれぞれ誰かしらに移植されているのだ。
クローンは一からの成長になるが、クローンゴーレムは細胞同士の重ね合わせで作られる。
よって、精通、初潮を待たずに作られた直後のクローンが親になり得る。

わざわざクローンを作るのであれば、強い力を持ちつつ協力的なうってつけの人物がいる。
アル・ジャウザーだ。
ヌアザに語られたリゲルの出生では全く関係しないというのに、リゲルの母親とされるアル。
彼女は下半身の母親、そのクローン元だったと考えられ、こうすると血縁としては半分母と等しい。

あるいは、作中で説明がない片親が全身揃っていて、片親がパーツのみの場合に
もしクローンゴーレムがパーツのみ生成されるのであれば、
クローンではなくアル自身がリゲル下半身の母親という線も考えられるか。


いずれにせよ、リゲルは自分の体ではなかった半身を無理矢理くっつけて、
魔法使いでもないのに術式で神経を接続し動かしている。
このような状態では、特にくっつけた直後のヴァンガード入隊当時など、
重い剣などとても振るえないほど足腰が弱かったことも頷ける。

> トライ「剣は……諦めろ。お前には、無理だ……」
ただ向いていないというだけではなく、不可能とまで言われた剣。

> カイザー「そうでもない。剣がダメなら、もっと軽い武器がある」
カイザーが重さを理由に剣から軽いガントレットへの転向を勧めたのも無理はない。

> カイザー「――立てっ!」
> カイザー「まだ、できる……リゲル」
そんな幼き日のリゲルを、カイザーが立たせた。


リゲルはEDロールや幾つかのシーンで、上半身は動かせるのに立てなさそうな描写がいくつもある。
下半身だけが気絶するなりして、雷魔法が使えなくなり神経が断絶した電池切れのような状態なのか、
あるいは他の要因で上半身側が下半身を上手く操れなくなった状態なのか。
いずれにせよ、こうなるともはやこの下半身は蛇の足さながら無用の長物と化してしまう。
そのような不安定な物に、リゲルは行き先を任せるしかないのである。

他にも難点が考えられる。
クラウがライデンで神経を傷つけていたことを考えると、雷魔法の出力調整は難しそうだ。
さらにジゼルのことを考えると、下半身側の意識が流入することもあり得る。

例えば、Hという下半身の刺激が強い時に感度の電気信号が通常の3000倍となって上半身リゲルに伝わったり、
下半身=男性器がしゃべり出したり、下半身側の意識の影響が強く出たりすると、
知能が著しく低下したように見えても仕方ない。

端的に言い直そう。
Hシーンのリゲルは、下半身で物を考えている。