小池一夫作品のような口調のキャラクター達、画面遷移が荒いドット演出など2000年代に出たゲームとは思えない古くささを感じる。DVD1枚にもかかわらず何故か2枚組用の汎用DVDプラケース、マニュアルが冊子ではなくジャケット用紙の裏面、前作からの使い回しと思われるBGM、シーンに全く合ってないCG使い回しまくり、スタッフロールすら無し…と予算の無さもとても強く感じる。これがフルプライスで売っていたのだからすごい。色々な気持ちを通り越して、なんかもうすごい。◇フルコンプしたので感想を修正、点数を入力しました
【シナリオ】
一言にも書いたようにテキストが古くさい。
シリーズ一作目よりも更に昔の話と思われるので、古くささはわざと…という可能性もありますが多分違う。
そして皆やたらとよく笑う。意味も無く「えへへ」「フフフ」「ハハハ」などが入りまくり、いちいち笑わないと話せないのかこいつら?と思うほど。
これが狂気的な雰囲気を生み出してはいますが、平和的な日常シーンとかなんでライター的にはそういう気はないんでしょう。
あと、リビングの事をロビーだと思ってるらしき違和感のある描写(ロビーでテレビを見てた等)が多々あって気になりますが、誰も指摘する人いなかったのかな…。
主人公は○○が好きだ!一生愛してる!と思った次のシーンでは△△を好きになり、と思ったら□□を…という具合に異常なほど移り気。
まあこれは抜きゲーだし、と割り切ることはできます。それにしても意志薄弱すぎなんですが。
自分が容姿端麗すぎたばかりに周りの人に言い寄られ不幸が起きるって嘆いてる主人公ですが、不幸はこいつ自身の意思の弱さが問題としか思えないっす。(百合花にも言われてたけど)
甲斐谷家を崩壊させた事を後悔してるのに、その数日後に久遠寺家で全く同じ事を繰り返したり(娘を想いながらその親と関係を持つ)、新しい女と寝る度に「こんな綺麗な体見た事ない」と言ったり痴呆症なのかもしれません。
主人公がこんなんだから、もう急な展開の連続です。話の流れが滅茶苦茶過ぎてツッコミが追いつかない。
一応立ち絵のある人全てに個別エンディングがあるものの(立ち絵が三人一纏めの剣道部三人娘を除く)、唐突に合体→エンディングという流れが基本で個別ルートらしきものはほとんど無い。
Hシーンは美少女相手は勿論の事、ババア、ショタ、オッサンまであるので色々耐性が必要。
ババアに主人公が調教されるシーンとか、自分にはババアもMも全く属性がないので苦痛でした。
特にババアとオッサンのSMを見せつけられるシーンなんかもう、こういうギャグなのかな、としか…。
【グラフィック】
神宮寺りおさん好きなんですが、この時のCGは大分変です。雑というかなんかぐにょっとしている。
主人公の立ち絵が外道ルートではにやけた顔に変わる以外は表情差分は無し。他は一部のキャラの衣装が替わる程度。
イベントCGは前述したように、使い回しばかりな上に全く合ってないシーンにまで使っていたりする。
背景は同人ゲームのような写真加工。Photoshopの水晶フィルタかけただけ…
普通に考えたら諸々駄目過ぎるんですが、ぐにゃぐにゃした絵がシーンに合わない表情やシチュエーションで表示されるというのが狂気的な雰囲気を盛り上げてるような気が。
【サウンド】
BGMも古めな雰囲気ですが、こちらもこのゲームの狂気じみた雰囲気には妙に合ってはいます。
ただしほのぼのとしたシーンで殺伐としたBGMが流れる事があるのは、わざとなのかスクリプトの指定ミスなのか。
OPもEDも無いので主題歌の類いは無し。効果音も一切無し。
声優さんの演技は皆さんとても上手ですが、伊織だけはショタキャラなのに女にしか聞こえなくて微妙でした。
【システム】
「性格判断システム」なるもので、主人公の性格によってストーリーの展開が変わるようになっています。
が、主人公の口調がやや変わっただけで他は同じシーンをいくつも見せられるのは勘弁して欲しい。既読判定にもならないし…
性格によって大きくストーリーに変化があるのは「外道」ルートくらいでしょうか。
【総合】
こういうサイコなバカゲーなんだと思えばそれなりに楽しめなくも無い。
クソゲーハンターさんにはお勧めします。
でもこれをフルプライスで買った人は怒っていい。