ユーザーの責務。共感不要。メーカーの暴力をしかと受け止めろ。
ファンタジーなのは納期1ヶ月前に製作開始だった点とか、カントクがなにもしてないとかであって、真実なのはこのソフトが発売するときにはメーカーが潰れる事が決まっていたこと、本作以上に現場がそれ以下だった事。
スタッフ日記より
[発売日です 〜中略〜 もうチームは解散して、みなそれぞれの仕事をしています。
同じメンバーでいっしょになにかを作る機会は2度とないのでしょう。]
[山県「…………これ、実話じゃないですか」
連 「この作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体・事件等とは一切関係ありません。スポンサー以外の方からのクレームは一切お断りします。あと特定のモデルもいません。これ本当。なんか思い当たるフシがあっても、ほら、なんだアレだ、よくある話ってヤツ」
山県「でも、実話じゃん」]
つまり解散するのは分かった上で製作された本作品
たとえ売れても売れなくても潰れるのであれば、適当に作っても不思議でもないのに、そうはせずに自分たちを等身大(実際にはもっとひどかったそうだが)に描いたのだ。もっとも追い詰められた主人公が手首を切りかけるところまで本当だったかは分からないが、状況的にはおかしくはない。
作る側はなんとかして作りたい、けど金はない、時間はない、スポンサーがうるさい
プレイする側は、エロくない、つまらない、ないない……
エロゲとは作る側とユーザー側の真剣勝負で、金を出すユーザーには口を出す権利がある一方ですべてのユーザーを満足させることはできない。何をやっても文句を言われる運命。
なんとなく分かっていたことを明文化して分からせてくるこの作品は、まさに作り手の暴力であり強めの目覚ましである。
ただしユーザーである我々はこれからも真剣勝負をし続けなければならない。惨状を知ったからと言って手を緩めるわけにはいかない。ないものはないと言わなければいけない。一方で、あるものはある、素晴らしいと賛美することもあってもいいのだろう。