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津名缶さんのDoki Doki Literature Club!の長文感想

ユーザー
津名缶
ゲーム
Doki Doki Literature Club!
ブランド
TEAM SALVATO
得点
88
参照数
288

一言コメント

パクリやただのホラーという批評が的はずれだと分かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

通常ホラーといえばスプラッタ、怪談、サイコホラーなど文化的、生得的に感じ取れる恐怖を逆に楽しむものである。
本作のホラーは確かに血なまぐさいところがあるものの、プログラムバグの演出という正常を知った上でバグ演出を楽しむという形式を多様しており、万人が楽しめるゲームではない。
といってもここまで読みにくるような方なら十分楽しめるので安心ください。
途中、空白の選択肢や、強制的にカーソルが動くなど、あえて「選ぶ」「無理矢理逆らう」など好奇心をくすぐらせる工夫がありそこに飛び込んでこそ本作を楽しめるだろう。
正常と異常を織り交ぜた本作は人を選ぶが、はまる人にははまるようになっている。

ストーリーはというと、ホラー系はカタルシスなくして語れない作品が多いのだが、本作は限界を探った結果残念ながらすっきりした事にはならなかった。しかし世界中の同志によるIF世界のモッドが作成され、それぞれのエンドをつなぐことができているので、自分だけの解釈をたのしんで欲しい。

セーブデータが消える演出が某ゲームのパクリと言われるが、その次元では話にならない。
本作はデータの海の中から現実世界へ上陸することを試みる作品なので、どのみち現実にはセーブデータなどないのだ。いつでも戻れるならば、現実には到達しない。最初はゲームの世界から始まるのでセーブがあったというだけである。
ちなみに、どうしても必要ならばPC内の別のフォルダに環境ごとコピーすれば好きなところから始められる。

今でもモッドの更新が行われているところから、本作が世界で愛される作品であることは間違いないだろう。