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永遠さんのもののあはれは彩の頃。の長文感想

ユーザー
永遠
ゲーム
もののあはれは彩の頃。
ブランド
QUINCE SOFT
得点
93
参照数
207

一言コメント

伏線回収、シナリオ、キャラ、全てが揃った神作品(こんなゲームに会えるなんて私は本当にラッキーだ....)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

*はじめに
もうネタバレのオンパレードです
本当に気を付けてください

大まかなストーリー
・死というものが永沈というかたちではっきりと認識できる浄土双六というゲームの中での話(デスゲーム?)
・一つの√を攻略していくごとに得られるヒントをフルに使うゲーム(なお、基本読み進めるだけのもよう)

キャラ(基本、ヒロイン)
・鬼無水みさき
何よりも誰よりも優しく、全員から愛されるような女の子、それでいて頭もキレる
他人を蹴落とすゲームなのに、常に他人を助け、みんなで生きられる道筋を常に模索し続けていた
作中で一度だけ死亡シーンが描かれるのだが、その死亡理由も相まって本当に辛かった(このゲームで一番好きなキャラだからというのもある)
・クレア・コートニー・クレア
現実世界においては図書館メイドカフェあかりの店員さんであり、同級生
人と人との関係、具体的には学校における友人間での問題に気を悩ませていたからかお互いの気持ちがわかるという合縁という縁をもつ
主人公の口癖で俺ってばラッキーというものがあるが、正直クレアの方がついていると思う()
それと装備品のヘッドホン、これに意味があったことにちょっとびっくりと言ってしまえばびっくり
・琥珀
超不思議ちゃんでなおかつ最初は人見知り
現実世界における縁によってか、ゲーム内での最初の出会い(何故か裸←これも伏線)によってかは定かではないが、主人公によく懐く
ルールブレイク、チートと思わせての.....
双六ないで徐々に成長していく様子、人間という姿に関する描写、どちらもよかった
・野々宮京楓
主人公の家族でいて親友でいて幼馴染
双六の中では基本現実を見るまではとある理由によって敵対する
全員を平等にするという縁、これが物凄く大事だと誰が思ったのだろうか....
・クナド
攻略キャラというわけではないが何気に重要キャラなので
分岐点にいる神であり、道祖伸、岐から
主人公たちに肩入れをするのだが、その理由がなんとも.....やられたなという....(まぁこれに関しては伏線があったかどうか定かではないのだが)

ストーリー
・共通√
サイコロを振る際の振り方によってでるマスが違う、という説明がなかったら一生進めなかったと思う
現に一番最初の分岐点で三回ほど永沈しました
ざっと現実から双六の世界にとある理由で飛ばされた主人公が現実との乖離感をじわじわと失い、双六の世界が当然だと思っていく様子、なかなか思わせるところがあった
敵・味方がわりとわかりやすく描かれていて、なんでだろう?と気にさせる上手い掴み方だったと思う
・みさき√
過去(その時点では過去だと思っていたが、実は走馬灯)を遡る中で、幼馴染四人グループの中で何故かみさきだけが過去を覗けない理由を見つけに行く√
最終的にみさき自身の底に隠れた弱さ(重病を患っていて死の淵に臨していた)というものを克服しつつあがり、無事病気の治った世界へ(本当はひとときの極楽の夢の世界と旅立ったが正解)
・クレア√
こんな双六があるのか....というのが最初に思ったこと
マスに書かれているフレーズ、まさかここまで伏線だったとは....
最後の大逆転には驚かされた、そこまで見えてなかったから....(勝つとしても持ってる領地の数的に主人公は無理だろうって思ってた....)
・琥珀√
虫陣営と獅子陣営に分かれて戦う√(とはいっても人数比は1:8)
虫であったとあるキャラの自殺(自分の全員であがる、自分以外が苦しむくらいなら自分がその苦しみを背負うという意思の元での行動、他者からは他殺にしか見えない)で怒りを露わにした琥珀。シンプルにこんな顔をさせられるのかと....
サイコロのとある仕組みに気付いた黎の勝ちかと思われたが琥珀が猫であるためにある特性(伏線回収部分)により逆転、無事あがることに成功
猫と人間、その二人が極楽の夢の世界へと旅立っていった――
・true√
主人公が上記の個別三√を攻略したことにより得られた知識、そして合言葉をフルに活用する√
今までの失敗を踏まえながら、みさきの理想が、全員(ほぼ)が共同戦線を張っていくという理想が達成に近付いていく様子はなかなかのカタルシスを得られた(特に大誠vs鹿乃は今までの伏線により激アツ)
ただ、一つ挙げるとするなら最終決戦にいきなり先生が飛び出してきたことだけはよくわからなかった....
鬼が誰かなんてヒントあったっけ....?(9-nine-におけるナインと同じ形式でサイコロの改変を行っていたプレイヤーが鬼だという説を個人的には直前のセリフで推していた)
まぁ、鬼の倒し方はよかったんじゃないかなと

trueエンド後のアフターストーリー(頭痛が痛いみたいだ....)
・みさき√
大誠の縁によって見事に回復し、無事主人公と結ばれた世界
世界が明日おわるとしたらどうする?という解を得る二人の未来、正直眩しすぎる
・クレア√
なんというか不思議な組み合わせだった
・琥珀√
クナドによって人間となった彼女が主人公とイチャイチャする話
元が猫というのを活かした、発情期、性行為は生殖行為以外のなにものでもないというのもよかった
・京楓√
意識しあっていた二人がついに結ばれる√
なんというかこの二人はtrue√後でしか結ばれていないため、初々しさを感じさせられた

総評(最初からこれを出せ)
至る所に張り巡らされている伏線を回収していく快感を得られるシナリオよしキャラよしの神ゲー

蛇足・書きなぐり(今までに語れなかったことを雑に)
・最初、主人公にした行為により大誠にあまり好意を持てなかったけど、大誠が双六の世界に来た理由、信念が明かされたころにはもういい奴だなという思考に。最初、主人公が大誠にしてやられた際に縁でやり返してやれと思った自分を少々責めたい
・チャットの名前と人物の関係、あれわざとかな?ちょっと誰が誰かわかりにくくしてるの
・主人公と大誠のグラフィック、もうちょっと凝ってほしかったな.....
・Hシーンとアフターストーリー、もう少し欲しかったな....もしくはアフターストーリーだけでも長く....