楽しむことを教えてくれた 居場所を見つけたんだ
「その花が咲いたら、また僕は君に出逢う 」に続くCampus作品。同作にも携わっていた恒石涼平さんの単独シナリオです。音楽をテーマにした作品は数多ありますが、今作では音楽が物語の始まりであり、仲を深める要素でもあり、そして恋人になるためのきっかけであります。
ロープライス作品で、どう起承転結をつけるのかというのは命題ですが、主人公のプロの音楽を目にしたヒロインはなが偶然の出会いから音楽に向き合っていく、そのシンプルさが功を奏した印象です。難しい展開やひねった要素もなく、はなと主人公とのボケトークがメインに据えられており、キャラクター本位の構成は好感が持てます。主人公が年上ということもあり、熱のさめやすいはなのことを上手くリードできているのも、はなの過去のモヤモヤからすると、いい恋人になれた理由かなと思います。サブキャラと言えるのはベース女子くらいですが、適度なアシストがありなかなかいいキャラです。加えて、これはアフターストーリーがメインですが、はなの両親も現実的かつ受け入れやすい描き方がされており、全編通して不快感はありません。当たり前なのですが、ロープラゲーで終始これを保つのが案外難しかったり。
本編とアフターストーリーの2部構成なのはCampusの約定ですが、どちらにも"目標"を設定し、それに向けて取り組む姿が基本スタイルですね。限られた時間の中で、短すぎず長すぎず順を追って話が展開されているのが印象的でした。今作は、魔法を知らない側のお話ですが、前作同様「当たり」だったかなと思います。Campusといえば工藤さんのイメージですが、恒石さんは次作も単独シナリオのようで、今後も期待したいなと思わせてくれました。