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比翼れんりさんの僕の未来は、恋と課金と。 ~Charge To The Future~の長文感想

ユーザー
比翼れんり
ゲーム
僕の未来は、恋と課金と。 ~Charge To The Future~
ブランド
Sonora
得点
70
参照数
452

一言コメント

指の先1つで開く それは非日常のような日常

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

CUFFS系列の新ブランドからのリリースですが、今までのCUFFS系作品をやっている人には嬉しい「ファンディスク」のような作品になっているように思いますが、各ルートの展開は平々凡々かなと感じます。

架空のソシャゲ「カフスト」を通じて展開されるストーリーとなっており、CV白波遥さんの黒うさが登場するなど、過去登場しているヒロインたちが、カードになってガチャから召喚される仕様です。カフスト自体のゲーム性は全くなく、どうやらバトル要素や攻略性もあるようなソシャゲらしいのですが、集めたカードがどう生かされるのかは、ゲーム進行上は無意味といっていいかもしれません。しかしながら、カードの入手状況に応じてルート分岐が変わったり、セリフが変わったりと、少なからずの影響はあり、リセマラ(セーブ&ロード)推奨と言われているくらいには、何度か引き直しながら、カードを集める必要はあるのかなと思います。本作のキャラクターにはそれぞれにカフストを発端とした個性があるわけですが、それが各ルートにおいてのベースになっているように見えます。

汐里は、主人公のバイト先の先輩から教育実習生にジョブチェンジしながら、ストーリーに関わっていきます。主人公の影響でカフスト沼に入っていくのが、恋愛への一歩目でした。あまりオタク気質もないようなヒロインですが、穹に一目惚れした流れがコスプレエッチまで繋がっていくのは、賛否両論ありそうですけど、個人的には嫌いではないですね。ただ、カフストはあくまできっかけであって、ルートの主はどちらかというと教育実習での壁。そこから他ヒロインたちの助力で一皮むけた成長をしていくのですが、大きな山場ではないのは逆に好ポイントなものの、あまりにも平坦なシナリオすぎて、終わってみるとほとんど余韻がありません。汐里そのものがタイプではないこともあり、ルートとしては穹関連のネタ以外には何もなく感じました。

菜々も別の意味で好かないヒロイン。金銭感覚のないお嬢様キャラというのは、ある種の鉄板でありますが、ことソシャゲでそれをやると嫌悪感は出ます(本当にそんな人がいるのかわからないけれど)よね。ただルートでは、主人公が無課金を貫いた前提もあって、自分で稼ぐお金を使うという、目的がハッキリしたお話になります。これは"成長"の意味では大きな舵取りだなと思います。それに付随して、お約束のお父様&お母様も登場しますが、そこも理解ある描写にしているおかげでシリアスにはなりません。いい意味では上手く収めたルート、悪くいえば谷がなく山もない道中です。カフスト関連でコラボカフェのメニュー作りも、料理を習うとこから上手く派生させたと思いましたが、コスプレエッチのフラグしか立てず、もったいなく感じました。

梓は親に隠れながらオタクをやっているヒロインで、わりとテンプレかもしれません。優等生とはいいつつも、菜々のようなお嬢様キャラというわけでもなく、親しみやすさがあります。次第に主人公にも心を開いていき、デレる過程は結構好きですね。個別ルートでは、カフストというそもそもの設定を生かし、目当てのアイテムのため、試験を犠牲にするという優等生らしからぬ内容になります。オチとして「復活」し、すべてをこなすようになる万能ヒロインに「進化」するのは、上手く行きすぎな展開に思いました。彼女自身のスペックの高さというのとなのでしょうか。しかしながら、親との確執を場面を使って描写しなかったのは正解で、純粋にキャラクターを活かした格好になったのはよかったです。

この作品において、個別ルート分岐の選択肢は持っているカードによって決まり、それこそまさにガチャ次第です。5ヒロインの中でいちばんハードルがあるのがみつきルート。URミミが出るまで周回(orリセマラ)しないといけません…… というのもみつきルートはカフストの設定が最後まで使われるお話になるからで、そのキーカードになっているからですね。難題ミッションにみんなで挑む構図は好きですが、ちょっとソシャゲのイベント的には強引な気もしました。それはお約束なところもあるので、みつきが全面に出てラスボス攻略は端から見えてしまいますが、なんか今一つな盛り上がりに感じました。ただカフスト運営に対して不満が~というあたりで、胸くそ悪い展開に引っ張らなかったのは正解でしたね。あくまでもみつきといちゃラブする点においては、かろうじて及第点のルートという印象。

サブキャラは2人。莉央はサブヒロインとしてルートがありますね。CVが小鳥居夕花さんというのもありますが、いい意味で女の子っぽくない同級生というのが個人的には大好物。ノリが変わらず恋人になっても主人公とはいい関係性だなと思わせます。ルートが短いのが惜しい。

ちなみにサブのもう一人に男の友人は定番ですが、今回はキャラクター的に合わなかったのは全体的にマイナスポイントに。