春のざわめきにひかれ舞うとき 物語は開かれてく
「9」シリーズも3作目。前作で物語が動き始め、ようやく世界の輪郭が見えてきた印象です。パラレルワールドの概念もあるため、今作では前作までをベースに、明確になったら石化事件の犯人たちと闘い、そして向き合っていくのが前半。ここで、敵対する側と思われる3人目のヒロイン春風と行動を共にするようになるわけですね。
与一がラスボスのように映るのがポイントですが、イーリスとソフィのどちらが正しいのか、どうやって世界の眼を奪還するのか各ヒロインたちと作戦会議をしながら進んでいくところが、実はほっこりして楽しかったです。希亜がかわいすぎる……
最初は"失敗"し、ここで主人公(?)が別の枝で再チャレンジしながら、確定した敵に挑んでいくあたりから、話は加速度的におもしろくなっていきます。強くてニューゲームのように、チート能力を使い真のラスボスを追い込んでいくのが、とても気持ちいいですね。与一や司令官も根は完全なる悪役というわけではなく、いくらか人間味があるのもいいですね。もう一人の敵だったゴーストが主人公のパシりになっていくのも、また好き。
春風に関しては、本音をいうと4ヒロインの中ではいちばん好かないタイプですが、やはり次第に素が見えてくるとかわいい一面がありますね。ただ全体的に天がパワーキャラすぎるので、霞んでしまうところもあるのだけれど。
今作で、イーリスが立ち向かうべき敵というのがハッキリしましたが、一応の区切りがついています。バッドエンドもなく、選択肢も実質的になく、枝を匂わせるだけになっていますので、これから進む道は一本に集約していくとのことなのでしょう。エンディングで、いくつかのネタばらしがあり、次作で話は完結の匂いがします。おそらく希亜がメインでしょうが、1作目から好きなヒロインですので、そのラストバトルをどう描くのか楽しみにしたいと思います。