文化が違うなんてそんなの関係ないよ まっすぐこの想いを届けたい
初めてのPrincess Sugarです。ブランドとしてのイメージはやはり「姫」なのだろうなとは思っていましたが、実際にプレイしてみると、姫が物語の中心にはいるも、学園モノとして、先輩後輩幼なじみ等々、王道は押さえている印象でした。
ストーリーのメインは否応なしにアリーゼでしょう。品行方正、それでいて頭のなかは「おセックス」というヒロインです。エッチ色濃いめの作風ですので、まさにセンターにふさわしいキャラクターに見えました。個別ルートはあまり山場というものがないからか、マジョ子を含めた3人でのやり取りが中心です。1国の姫と1生徒会長の恋愛は確かにスキャンダラスかもしれませんが、それほど大事にならないからか、最後まで単調です。キャラクターは悪くはないけれど、徹頭徹尾これではさすがに飽きを感じました。
沙良は幼なじみならではのグイグイ来るキャラクターです。それでいて落ち込むのもマッハで、かなり緩急のあるヒロインですね。典型的なツンとデレを見せるのが共通ルートからあり、個別ルートではデレ分が5割増しくらいになります。ルート後半に廃校の危機という、どこかで目にしたような山がありますが、シリアスに突っ込みすぎず、それは逆に良かったですね。沙良の家のことと絡ませながらの描写でしたが、大して深掘りもなく、キャラクター主体というキャラゲーの本質を突いたルートに思いました。
お姉さんながらそれほど年上っぽくないな、というのが菜乃花の印象です。もちろんからかい上手なお姉さんというキャラクターですが、それでいて恋愛は等身大で描かれているように思いました。余裕がありそうで余裕がない絶妙なスタンスで、これは中の人のキャスティングが当たったように見えます。個別ルートは、学年違いのヒロインによくある、留学・進学問題。別のところでシリアスに分岐しそうでしたが、山はありきたりなものを持ってきました。後半からエンディング、エピローグまでは、そんなに軽くていいの?と思わせるほどスピード感があり、悪く言えば、最後に雑なイメージだけが残ってしまいました。
ベルに関しては、一番好きなヒロインであるも、一番残念な個別ルートに思いました。この手の話なら、想定できる王家の娘であった事実が後から明かされていくわけで、これをどう乗り越えるかに焦点が当たっていれば、話はまだわかります。が、それが表に出るのは、ほぼルート終盤で、以降の展開も流れ作業という具合です。最後まで、蛇足な設定に思いました。純粋に創作に熱心に取り組むベルを主人公が支える構図だけで、キャラクターとしては十分生きたのでは?と思います。あまり重い話題をキーにしないほうが、キャラゲーとしては正解なのだろうと、改めて実感しましたが。
姫も乙女もヤキモチ焼きながらLOVEをするお話であるので、作品としてはやることをやった、と言えるのでしょう。キャラクターやExtraでハーレムもある通りエッチに寄った部分は、売りといってもよく、それなりに良かったと思います。ただその良さを生かすストーリーが皆無に近く、ルートに余計な切り返しがあったり、謎の設定が急に出てきたり、描写を途中で投げているようなところもありました。シナリオ重視でないのは承知の上ですが、最低限カタチを整えたストーリーであってほしかったと思います。