ホントの私はどこ? わかんない わかんない だけど ここから助け出して
Frillの新作は、円交少女(とくに1作目の方)に近い、テーマ性を持った社会派の作品となっていました。
抜きゲーというジャンルに間違いはないのですが、神待ちをする少女を助け出すというのが作品そのものの中身になります。Frillのここ数作とは違い、主人公が男であり、あくまでも一人の男が、少女と向き合うことが構成の肝であります。
エンディングはバッド扱いのものもありますが、真のエンディングでは、母親との確執に終止符を打ち、和解したのちのハッピーエンドと言えるのでしょう。家族間のテーマは、ありきたりに思えますが、それを黒パケブランドのエッセンスで表現したのは、意外にも上手くハマったように感じます。
大きく予想を越える部分はありませんでしたが、対一ヒロインに面と向かった結末としては、おもしろくプレイできました。それには、サナというヒロインの存在感が大部分を占めているわけなのですが、等身大の女の子がストレートに出ているように思いました。これは月野きいろさんの抜群の演技力、表現力の賜物だと感じますが、あざとさが一切見えてこず、ありのままを自然と演じているような印象を受けました。
おそらくFrillらしくないといえばそうなのかもしれませんが、VAの抜きゲーブランドとしては、ひとつの「形」になったとも言えそうです。ただ、これが終着点にしてほしくはなく、いろんなパターンと組み合わせながら、これからも作ってもらいたいですね。