人と違うこと誇りにして
ネクストン系の新ブランド、とるてそふとのデビュー作です。わりと実績ある製作陣で固めた感じがあり、確かにニッチな方向性だとは思っていましたが、それなりの期待がありました。しかし、ふたを開けてみると…
ストーリーの導入は、ストレートにお店に3人のヒロインが住み込み、同棲生活を送る、というもの。特に新鮮味はなく、ヒロインたちが最初から主人公にアピール合戦するのも、抜き寄りのキャラゲーとしては珍しくもなく、この作品にとって売りにするところといえば、やっぱりアブノーマルな性癖となるのでしょう。
いちばんぶっ飛んでいるのは瀬莉でいいでしょう。最初からアクセルが全開で、ブレーキなんて踏むことは考えていません。匂いフェチだけならまだしも、全体的に愛が歪んでおり、最初に攻略するにはちょっと"引き"さえしました。確かにアブノーマルというタイトル性は存分に出ており、ベクトルしては正しいのかなと思いましたが、個人的にはあまり楽しめるものではなかったので、それは仕方ありません。
暁乃は姉キャラ。つまり僕の好かない設定のヒロインであります。が、それなりに接し方や関係性もよく、意外と嫌いにはならなかったのが驚きです。アブノーマルさでいえば、瀬莉に続きナンバー2なのかなと思いますが、SMがそれほど刺さらない体質なので、純粋にぶっ壊れキャラを楽しんだ感じでした。もう少し姉弟要素があると個別ルートの"質"が良くなったのに、ともったいなく思います。
姫兎。非常にモチベーションが下がるヒロインでした。そもそものフェチよりも料理にルートの方向性が位置付けられたのが、もはやズレに感じます。ひどく妄想癖があるということもあり、執拗に迫ってくる描写が多々ありますが、かなり好かないトーンでの「ひーくん」はボイスオフにしてやろうか、というくらいの合わなさでした。
結奏はバイオリン少女で、キャラクターとしてもストーリーとしても無難。ただ、この無難さが個人的にはいちばん好きなのは、他がインパクトあるからか。大きく冒険することもない、キャラゲーらしい個別ルートでいいですね。おとなしめの印象もデレると強いというのは、結構ありますが、彼女も例に漏れず。
正直コンセプトたる「アブノーマル」がどこまで活きていたのかが微妙なところです。ルートごとに温度差があり、好き嫌いはどうしてもあるにしても、もう少しキャラゲーに寄せてほしかったなと思います。