そっと鳥籠から助け出して 真実の先へ
今作はお嬢様と執事という典型的な構図。ロープライスというのもあり、ヒロインはお嬢様、雛乃1人というのもCampusの定番なのですが、それが活きたようで実は活きていなかったり。
ストーリーの導入は、主人公が天涯孤独となり、なんやかんやで路頭に迷ったところをお嬢様に拾われ、なんやかんやで執事にさせられ、主人公は主人公で、数々のバイトで培ったスキルを存分に発揮し、執事を無難にこなしていく……というものです。どこかで見たような気もする、ありふれた展開は逆におもしろいですね笑。
メイン軸になるのは雛乃との過去と懐中時計。OPやあらすじから、懐中時計とその鍵がストーリーに意味合いを持つところは大きいと思いましたが、確かに都合のいい記憶喪失から過去を思いだし、恋仲になるのは王道ながら嫌いではないです。ただそれ以上に話に深みが生まれることはなく、ちょっしたときっかけくらいの感じで、これはロープライスならではの尺の限界かなと思いました。
もうひとつの軸が、よくある手の婚約問題。こちらは雛乃のキャラクターの良さが光り、きちんと自分の強さを出した場面もあり、悪役が悪役らしく退場していくのは、反対にロープライスならではのコンパクトさが出ていて好印象でした。最後に遺言が懐中時計に出てくるのは、都合よく後付けのように感じてしまいましたが……
メインストーリーはいい意味でも否でもテンポよくコンパクトに。アフターストーリーでは雛乃とのイチャイチャとシーン回収が主に。雛乃は、るび様の多彩なキャラ造形が存分に見られる良キャラで、作品の構造上仕方ないにせよ、もう少しメインストーリーの中で見たかったなあと。