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比翼れんりさんのまほ×ろば -Witches spiritual home-の長文感想

ユーザー
比翼れんり
ゲーム
まほ×ろば -Witches spiritual home-
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
69
参照数
1210

一言コメント

初めて知った魔法みたいに光る恋 もっと溢れ出す「大好き」を いつか、君に届けるから

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

あかべぇそふとすりぃとしては最近は黒めのイメージが続いていたので、明らかに異質に感じる魔法ファンタジー学園もの。設定やストーリーは典型的も典型的で、ひねりに感じる部分は皆無に等しいものの、キャラクターのかわいさだけで勝負してるのは、誰が見ても明らかなので、案外潔さも感じますね。

細かいなんやかんやはあるものの、単刀直入に言うと、主人公が学園寮の管理人になってハーレムを謳歌するのがあらすじ。共通ルートは、各ヒロインの設定をおさらいするイベント回収と、ドッペルゲンガー事件を通じてのヒロインの確定。サブキャラもエニスと御影しかいないので、ひたすらヒロインたちと会って~の繰り返しで、平坦な印象はあります。

こなつは、表情がコロコロ変わり、ストーリーの序盤から主人公好き好きオーラがにじみ出た初々しさあふれるヒロインですね。きみしま青先生が原画ということもあり、安定したキャラという印象です。終始キャラゲーの王道を行くような山の少ない個別ルートでありますが、やっぱりエッチシーンが主体の構成なのかなと感じます。ルートの中心になるのは、誰かのために魔法を使う、という後半。ちょっと無理やりな繋ぎ方というのが印象としてありますが、全体的には無難にまとめたように見えました。

ザ・ロリ枠といったヒロイン久遠は、ぬいぐるみを腹話術で操る、ちょっと痛い子かなと思いましたが、魔法のチカラでストーリーの方向性を修正して、久遠のそれが"日常"としてしまうのは、あまり突っ込まない方がいいのでしょう。個別ルートを見てみると、4人のヒロインの中では芯のあるお話で、こういう人付き合いが苦手なタイプが成長していく様は、シンプルながらも過程やこなつを中心に回りのアシストもあり、うまく噛み合った感じを受けました。欲を言えばもう少しバイトを早く始めて、そのあたりのシーン(エッチに限らず)を増やしてほしかったなとは思いました。

優秀な姉と平凡な妹という構図は、もはや定番という感じがあります。この劣等感をどう跳ね返すのかが、ストーリーとしは見所になります、、、、見所になるはずなんですが、確かに練習の成果がラストに報われ、事件を見事解決!なので、展開としては悪くないんだと思います。現に僕も嫌いではありません。ただ、姉妹の絡みが少ないことは気になりますけど。どちらかいうと個別ルートとしてのメインは静流のぶっ壊れ具合だったりします。元々、スイッチが入った時の爆発力はこなつ以上でしたが、ルートに入ってリミッターが解除されましたね。エッチシーンもバリエーションあり楽しく、魔法の世界観を生かしていたり、総じて満足した唯一のルートでした。

照は正直かなり好きではないヒロインです。魔法使いらしく、ホウキでのレースはストレートながら嫌いではない題材でしたが、バトルやライバルの描写がイマイチ。練習と試合がバリエーションがなく単調ですし。それを置いておくにしても、レースのように暴走する照自身にイラっとさせられたり、エッチシーンがひとつの売りなのでしょうが、ちょっと無知すぎるのもギャップには感じず、うーんといった感じです。もう性格うんぬんより本質に欠点があるように見えます。わりと静流といいコンビだったのは、見てて楽しかったですけど。

エニスと御影はサブのような扱いだけれど、それなりに個別ルートがあり、準ヒロインのような待遇でしょうか。

エニスは、僕の好みをよく知ってる方ならおおよそ予想通り、オトナの先生キャラは原則NGとなっています。確かに1サブとしてなら、指南役としてアリなのは構成上もちろんなのですが、ヒロインとして見ると、プラスにはなりません。ただ構えていた以上に、橘まおさんの配役はすんなりと受け入れられたので、大きくマイナスというわけでもありませんでしたが。ストーリーはそれなりに筋が通っていて、舞台背景と主人公の上の世代としての繋がり、魔法と処女性、そして未来に向けたエンディングと、もう少し物語を掘り下げてみると面白くなりそう。だけれどここがやっぱり限界なのかな。

御影は、静流との姉妹うんぬんの話よりも、出来る姉としての彼女そのものが中心になるルートでしたね。怪しげなクスリは、まあ他のルートとは差別化が図られていたのかなとは感じますが、どちらかというと、ミステリアスだけれど、実はゾッコンという隠れた一面が御影の強みなのかもしれません。ストーリーは、後半の"出来る"からこそのスランプ、というか壁を乗り越えてエンディングという特に変化に乏しいもの。大きく崩れることは無いものの、終始彼女にいろんな意味で「惑わされる」のが主体なのかなと感じました。

大きく取り上げる話題はないものの、派生していく小イベントの繋がりで、キャラクターを上手く立たせられているかが、この作品のポイント。設定や世界はあくまでの雰囲気づくりと割りきる必要はありますね。嫌いではありませんでしたが、想像を超えるものではなかったのが、正直なところです。