星屑でも輝ける日をずっとずっとここで待ってた
戯画の新作は見るからにネタの香りのするタイトルも、ネタをネタだけで終わらせない、気持ちの良い青春モノになっていました。
タイトルにもある瞳がメイン…というわけでもないようですが、個別ルートは、彼女がお笑いを目指す理由がベースにあり、共通からの流れがよく、自然に入り込めますね。キャラクターは沢澤砂羽さんの演技がバチっとハマっており、終始楽しくできました。そもそものきっかけだった、おばあは結局落ちるの早すぎでは(笑) お笑いがメインだったというわりには、案外あっさりしたルートだったように思います。
詩菜はぽわぽわ系の筆頭。シナリオもぽわぽわしたもので、メインストーリーは昔の記憶の思い出を探してというのが後半にありますね。主人公の文芸部の才も活きはしますが、やっぱり全体的にぽわわーんとしたルート。キャラクターがあざといくらいにかわいいだけに、もう少しハッキリした着地点を見せてくれたら、楽しくできたのにな、と思います。
つばさは中二病全開の年下ヒロイン。中二病とはいってもアクセルべた踏みではなく、時々素に戻ることもあり、人間味ある話のわかる子ですね。キャラクターは洗練されており、いい意味でも否でも一途なままに真っ直ぐで、変化球のヒロインに見えて、実はバリバリの直球派。中二病が"設定"ではないことが要因なのかなとも思いますが、ラストで素の自分を隠し"演じる"ことに、悩み乗り越え、自分のやりたいようにやる!という、当初シェア部のそのものに戻っていくようで好感までも持てました。
みこは古くからの同級生も、ストーリー開始まではそれほど親交がなかった模様で、他のヒロインと同じくイチからのスタートです。彼女の目指すは、ストレートに青春。特に何のひねりもなく、キャラクターも普通という、王道の王道を行くルートですね。なんかもう普通が長所というくらい、まっすぐに青春。シェア部と距離が開いてしまうと思わせつつもきちんと収めるところに収めたのはよかったです。常識人だからか、生徒会長とは違うベクトルで、他のヒロインやキャラクターとも柔軟に対応でき、話の回し役のような印象。光る何かがあるわけではないけれど、ルートは報われたものになっていたかなと思います。
キャラクターを活かして、キャラクターを立たせて、キャラクターを中心に世界を回す、キャラゲーのテンプレではあるものの、それを忠実にやっているからこそ、テンポよくイキイキした姿を楽しめるような作品になっていました。実績ある原画さんやライターさんであったので、期待はもちろんありましたが、こういった作風を続けていってほしいな、と思います。音楽が歌モノ含めて彩りを添えていたのがさらにポイント。