明日も晴れて弾む想いを 夏の空へ蹴っ飛ばして
ピュア×コネクトに続くSMEEの新作。発売前から原画などスタッフ陣について盛り上がりがありましたが、蓋を開けてみるといつものSMEEで安心しました。
今回の舞台は田舎。何もない!というお約束ながらも、相変わらず濃いキャラクターと純愛ストーリーの十八番ブランドらしく、恋愛に揺れ動く心の機微を丁寧に描いてあります。マップを使いながらイベントを重ねて好感度を稼ぐという、基本に忠実なスタイルも好きですね。
まずセンターヒロインには、年上の生徒会長、椎名。設定だけ見ると、センターにするにはなかなか珍しいタイプのヒロインですが、才色兼備の権化であるも、年下の主人公とも対等に接することができ、年上だからと見せる"お姉さん"的な要素もなく、最後まで気持ち良くプレイできました。ストーリーとして、目を見張るような場面はないですが、椎名そのもののキャラクターを活かせるようなイベントや想いの強さを感じさせる場面を持ってくることで、全体的に最後まで飽きさせることなくというスタンスが見られ、個人的には一番好きなルートでした。
明日香は姉に憧れ、新体操を続ける元気なヒロイン。設定やビジュアル等々、ルート前にはあまり好感が持てなかった子ですが、私服や浴衣で雰囲気が変わるとかわいさが出てきた感じですね。個別ルートもキャラクター同様、明るく楽しくですが、ラストでは「一区切りつける」ための演技を見せるわけで、少しポッと出の展開だったかな、と思う場面はありました。結局"嫌いではない"という無難なルートだったなとは、プレイ後の感想。
のえ先生は虫が好きな所以外は普通のヒロイン。ルートも普通ではあるんですが、料理を失敗するパターンよろしく、何かしらのエッセンスを入れたがる最近のエロゲにおいて、綺麗なまでに無添加。"自分"を引き出してくれた所に感謝したり、"自分"を好きでいてくれるのか悩んだり、"先生"なんて大袈裟だけど、等身大の女の子のシンプルな気持ちを表現できたルートだったなと思いました。
久遠は後輩枠の気ままな猫タイプヒロインでしょうか。久遠のキャラクターやわりと複雑な心模様が出ていたお話だったように思います。このルートは他のヒロインとの交流、とくにお泊まりイベントなんかもあり、全体的に楽しくプレイできました。欲を言えば他のルートでも久遠を絡ませて欲しかったなと思いますが… エンディング前の夕陽が映えたCGがとても好き。
HOOK系でたまにあるモブキャラヒロイン、今回のとみ子は他のルートでは名前も立ち絵も出ることがなくザ・モブヒロインって感じです。ただ尺はそれなりにあり、かわいくないというコンプレックスを持つ等身大の女の子の気持ちを描いたルートで、ヒロイン枠だったら書けなかったようなシナリオが印象的です。キャラクターはちとウザかったけどね。
戦前から言われていたほど絵は気にならなかったけど、かわいい、と思わせる部分もちらほらあっただけに、シナリオが上手くまとまっているだけに、もう少し改善できる点はあるのかなと思います。