そこにはいつだって君の存在がこの胸をそわそわさせるのだからね
ensembleの乙女シリーズじゃない方の新作。
最近の傾向としてはキャラクターの多さだけが目を引くも、それが大して活きないストーリー構成に定評がありましたが、今作もそれに漏れず、というよりもそれが至上最大級ともいえるほどの作品になっていたと思います。わりと期待していたんですがね…
共通は短め(いや個別もそうだけれど)で、二つの学園の統廃合を起点に話が進みます。個別ルートもそれから派生するような分かれ方ですね。
朱子ルート
部活動としてのビーチバレーを取り上げたエロゲは稀有な気がしますが、スポーツがなんであろうと話が引き込まれればおもしろいとは思います。が、これはそんな次元の話ではなく、確かに廃部の危機からの大逆転は話が作りやすく、実際多くのエロゲで見受けられますが、今回は、本番前に怪我をして勝てるかわからない(ここまではわりと王道)、でも負けても大丈夫!(?)、実際負けるも上の人が感動したからok(ポカーン)という怒濤のコンボを見せます。青春ものとかそういう以前の話が気がしました。
由希江ルート
統廃合にて消えてしまう側の生徒会。その葛藤なりは多少は描かれていましたが、ルートのほとんどがヒロインとのやり取りで終わるので大して話に掘り下げはありませんね。主人公も1人でがんばって(がんばってる描写が少ないのでそうは見えないけど)、勝手にぶっ倒れているし、結局なにがやりたいのかよくわからない。大人しめ秋野花さんは不発だったように思います。
沙織ルート
お嬢様の王道ともいえるお見合い騒動から展開されていくお話。偽装の恋人から本当の恋人に気持ちが移り変わっていく様がもう少し丁寧に描かれていれば、と思わせる惜しいところはありましたが、キャラクターの良さは随一で、なかなかよかったですね。ただ終わってみると設定はあまり活きなかった気がする…
美桜ルート
ルートの中ではいちばん好きかもしれないですね。統廃合が根底にあるストーリーですが、そのマイナスの部分を上手く表現できていたお話だと思います。この場所を守りたい、という気持ちをしっかりとキャラクターに乗せて描かれていたと感じます。藤森ゆき奈さんもはまり役だったかと。
ひよりルート
バリスタを目指したい!という家族間での過去がもうひとつ描かれているとさらによかった気がします。父親の心変わりが簡単で、もっと山を作ってもよかったとは思いますが、キャラゲーにそこまでシリアス色入れるわけにもいかないんでしょうね。ヒロインのなかでは一番好きな子なので終始ニヤニヤしながらできたのは収穫でした。
トータルでみると、攻略キャラクターが多過ぎて、各ヒロインに割かれるボリュームが少なく、またヒロインの絡みも淡白な感じがあります。これは今作に限った話ではなく、このブランドのある種お約束みたいなところはありますが、ひとりひとりのキャラクターの良さ(絵と声は完璧に近いので)を活かすストーリーを期待したいところです。