ErogameScape -エロゲー批評空間-

比翼れんりさんのアンラッキーリバース Unlucky Re:Birth/Reverseの長文感想

ユーザー
比翼れんり
ゲーム
アンラッキーリバース Unlucky Re:Birth/Reverse
ブランド
ういんどみる
得点
66
参照数
873

一言コメント

もし次に逢えたならその隣は絶対に私のプライオリティ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ういんどみるの新作はHHGの原画さんを起用し、内容はOasisの臭いも漂わせる異世界魔法もの(?)です。

ライトノベルぽいスタートで切られる序盤は、ボーイミーツガールの鉄板ともいえる流れで、安定した感じを受けました。中盤にかけては、エリスサイドとリズリーサイドで進み、それぞれの側面から展開するストーリーがどんな風にひとつになるのか、楽しみでもありました。しかし、とくに大きくふくらむこともなく、落ち着いた共通になってしまい、そのあとの個別によってはリズリーが異分子たる存在ではなく、当たり前のメンバーのように扱われ、ルートごとにばらつきが出る要因にさえなってしまったようです。

個別ルートは、まずアリア。非常に先輩ながら可愛さを感じるキャラクターで好感がもてますが、ストーリーの後半は魔法もののお約束の暴走を軽く展開させて終わりという、物語の山がよくわかりませんでした。

ミリーナは最近のキャラゲーの中でも群を抜くほどの超展開。いや別にストーリーの中に伏線張っておけば、わりと面白くはなったんでしょうけど、急に正体が明らかになって、なにか問題をいろいろ乗り越えていくのかと思えばそんなんでもなく、結局乱すだけ乱して何も残らないルートだったように思います。

リズリーは「少しは」中身のあるお話。女神とは何かは大きく掘り下げられませんでしたが、リズリーというヒロインの裏側はそれとなく描けていたように思います。それでも後半はいちゃラブがメインで、それがこの作品の持ち味なんでしょうが、もう少し展開はほしかったところです。

エリスがこの作品のメインルート。告白までの心情描写や立ち絵をうまく使った演出なども効果的で、他のヒロインより尺が長い分そのあたりは丁寧に表現されていたように思います。空への憧れは最後まで伏線のように残りましたが、主人公の消える話で正直うやむやになったのが残念。後半の流れは他のルートとの差別化はあり、個人的には好きです、というかこのルートレベルの話が全体的に出来ていればプラス10点つけてもよかったのに、と。ただ結局エンディングが描写不足でトントン拍子で終わってしまったのが、こけた印象を抱かせてもったいないですね。


ルートごとにばらつきはあるものの、細かいところはご愛敬、ヒロインのキャラクターが好きになれば、それなりにはできるかなぁと思います(とくにエリス)。サーシャがサブで生き生きしてたのもプレイした中では好感触でした。