ErogameScape -エロゲー批評空間-

比翼れんりさんのワガママハイスペックの長文感想

ユーザー
比翼れんり
ゲーム
ワガママハイスペック
ブランド
まどそふと
得点
78
参照数
1200

一言コメント

未来なんて未定で不確かなものよ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まどそふとの3作目は、明らかに前2作よりパワーアップしていました。いい意味での濃さは残しつつ、シナリオは段違いによくなっており、まどそふと=挫折ゲーの定義をひっくり返してくれました。

ストーリーに何か特別なものが有るわけではありませんが、ヒロインとの関係性が話を進める上で上手く活きているなと思います。

まずアーシェは、生徒会という枠組みの中でよくある対立軸。典型的な金髪ツインテールツンデレで、キャラが立ってるからこそ話は描きやすいのかもしれません。音楽の要素は他のルートではほとんど描写されませんが、これがメインのファクターで、舞台やら終盤の留学やらの伏線になっています。ただ強引さはどうしてもあるわけで、ほか3人と比較しても少し話が飛びすぎたといった印象です。キャラクターはルートが進むにつれ可愛さが滲み出て来た感じです。

かおるこルートは、主人公の設定からしてメインかと思いましたが、そうでもなさそうです。漫画がやっぱりストーリーのキーポイントに据えられており、若干シリアスが顔を覗かせましたが、そこはやはりキャラゲーと上手く引き際を見極めたと思います。かおるこは共通から狙ったような可愛さが出ていましたが、個別ルート通してそれが倍増したように感じました。

未尋はなんかこれはもう反則級。キャラクターやビジュアルや声やその他もろもろどれ取ってもクソかわいいです。ストーリーは未尋のアドバンテージである料理が上手く引き出されていましたね。わりとテンプレの展開なので先は読めてしまいますが、その辺も含めて未尋のキャラが立ったストーリーだったと思います。

そして最強の妹、兎亜ですが、キャラクター・ストーリーとっても4人の中でいちばん好きでした。妹の立場、恋人の立場、そしてキャラゲーで見せられるほど良い壁、それを上手く混ぜ合わせた快ルートだったと思います。かおるこ以外で主人公の設定が活かされたのはこのルートだけでしょうか。キャラゲーの真骨頂を魅せてくれたお話だったと思います。そしていちばん息子が反応したのも兎亜だったりします。

全体的にクオリティがこれでもかとアップしています。原画さんやライターさんを新たな顔にし、製作されたのは成功だったかもしれません。次回作はどう転ぶかドキドキではありますが、とりあえずはFDですかね。