ねぇ 胸に不思議がおどる夜は そっと灯り消して耳をすませて
PULLTOP最新作は「この大空に、翼をひろげて」のスタッフで作られる、同じく「空」を題材にした青春ストーリーです。
わりと共通が長めでOPが流れるまでがかなりあります。だいたい共通がしっかりと描かれる作品は、全体的な構成がしっかりしているので大崩れすることないのが多いですが、この作品も例に漏れなかったようです。
共通ルートでよくあるのは「ボーイミーツガール」的な出会いの場面と簡単なイベントですが、4ヒロイン中3人が前々からのベースがあり、過去の描写を上手く取り入れながら、また、新しい人たちとの繋がりやひとつの目標を通じて、かなり濃い共通ルートになっていたと思います。
織姫ルートは、プラネタリウムを中心にストーリーが展開します。織姫のキャラクターの良さと設定が活き、ストーリーとの融合具合はうまかったように思いますが、ただ、これもまた織姫のキャラクターによりますが、ご都合主義でトントン話が進む場面もあり、そのあたりは残念。しかし最後まで「星」を意識させたストーリーは顕在で、楽しくプレイできました。
ころなルート、前半は沙夜との確執を明らかにさせ、わだかまりを解いていくのがメイン。後半にかけては天文部として少しコアな電波観測がメインストーリー。「星がはっきり見える」話ではないので、少しモヤモヤするところもありますが、何かを作り上げるために、という青春ものの核はちゃんとあるので、ころなのキャラクターが合えば楽しくできそうです。
沙夜とひかりルートでの目標は、同じ「プロジェクトスターライト」ですが、沙夜ルートではその描写は薄め。というか沙夜ルートでは過去の話や星のスケッチなど、天文についての描写はありますが、基本は沙夜について考えるお話。必要な描写であることは確かですが、せめて「プロジェクトスターライト」とは別の話で展開させてほしかったですね。また、結局ひかりが動くことで話が進むので沙夜がヒロインとして輝く、というのは違うように感じました。
そしてやっぱりメインはひかり。タイトルの「見上げてごらん、夜空の星を」に一番ふさわしい話でしたね。序盤の素直になれないひかりは少しウザかったですが、デレてからは本領発揮といった感じ。スターライト計画の話も山が適度にあり、とてもおもしろかったです。これがこの作品の本筋なんだな、とひしひしと伝わりました。少し気になったのは主人公のテンションが共通や他のルートと違って変わるような気がするところですかね。
細かい点に気になるところはありますが、ストーリーの軸がしっかり出来ているので、メインのひかりを筆頭に安定していたと思います。あるルートでは、ころげてともリンクするような描写もあり、そのあたりの遊び心もよかったです。BGM含め音楽もとても世界観にあっており、クオリティは高くまとまっていたように思います。まもなくFDも出ますし楽しみですね。