君に届け 始まりの季節
今回の季節は「春」ということで、季節的にもマッチした作品になったように思います。
前作では不思議展開が逆にマイナス要素となり、各々のストーリーの薄さが所々露呈してしましましたが、今作はしっかりと季節を絞り、あまり大風呂敷を広げなかったことも上手くいったと感じます。「春」という季節は、終わりの季節であり、始まりの季節でもあります。どのヒロインの個別ルート、また主人公そのものにも当てはまりますが、ある種の「終わり」を乗り越えて「始まりの」を迎えるというのが、色濃く出ていたように思います。それこそ未練ある者たちの次のステージに進むためのお話、といった印象です。各個別ルートやTRUEルートなど、ひとつひとつ見れば、短めでもっと出来た感が漂いますが、大きく作品全体で見れば、やはりシンプルな設定が活きたお話です。SAGA PLANETSの代表作ともなった「はつゆきさくらに」に通ずるものもありますが、シンプルな構成な分、すーっと入ってくるのは案外こちらかもしれません。
突飛な設定やとんでも展開も少なく、前作より楽しくプレイできたと感じます。重くなりすぎず軽くなりすぎず、このあたりの際どいラインを今後も攻めていってほしいところですね。