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比翼れんりさんの月に寄りそう乙女の作法2の長文感想

ユーザー
比翼れんり
ゲーム
月に寄りそう乙女の作法2
ブランド
Navel
得点
77
参照数
776

一言コメント

花吹雪舞い散る中のこと 一粒の滴が流れてく

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

月に寄りそう乙女の作法、乙女理論とその周辺に続くシリーズ第3弾。前二作とは世界観さえ同じものの、時代設定は異なり、主人公やメインキャラクターは新しいものになりました。

相違点に注目すると、ストーリーは前作の主人公の子供世代がメインで、物語のベースが服飾以外の音楽、料理、演劇など幅広いものになったこと。確かにストーリーが横断的になって大きな展開を見せることになりますが、大きくなりすぎて、描写が少なく感じる場面もあります。トータルはきれいにまとめましたが、前二作にあったようなガツンとくるような出来事のひとつでもあれば、なおよかったと思います。

個別ルートは引き続き服飾を題材にしつつも、朔莉ルートでは演劇、ルミネルートでは音楽と変化を持たせたものになっています。朔莉ルートでは演劇どうこうよりも、後半のキャラの変わり方のインパクトが強すぎましたね。しっかりとしたキャラでもあるので、ストーリーがどっしりしたものだったと思います。ルミネルートは分かりやすいお話でありましたが、大瑛が悪役にならなかったので、キャラクターで最後まで見せたストーリーだったと思います。

あとの二人は服飾重視のストーリー。パル子はどっちかというと一般人目線からのお話で、マルキューとのコンビはテンポがよく面白かったですね。メインはエストルートで、展開的にはお約束の女装バレやみんなでひとつのゴールにというものです。展開がなんとなく読めてしまいますが、やっぱり本来のベースだけあって楽しめました。

全体的には山がなく、のっぺりとした印象も、キャラクターで魅せてくる作品。前作のような家の話が重くならなかったこともあり、ストーリーが深く踏み込まれることは少なかったように感じました。ある意味前作までの流れを踏襲しながらも、焼き直しと言われないように、しっかりと考えられた作品。ただ無難にまとまった感もあり、流れ的には乙りろのような続編がありそうですが、メリハリのあるストーリーであることを期待したいところです。