誰のために探す出口 手探りでも見つけてみせるわ
ミステリーな雰囲気漂うCabbitの3作目。原画、シナリオはいつものスタッフさんで作風としては1作目に近い感じでしょうか。
ストーリーの本筋は誘拐事件を解決するため、瑚子サイドと霧架サイドの両面から核に迫っていくスタイル。ロックがかかる場面が多く、他ヒロインルートやバッドエンドも時折通過しながらチャートを埋めていくものです。
肝心のストーリー、度々入る箱庭の物語からもヒントがある通り、メインは霧架。最終の霧架エンドまで、それぞれのヒロインが抱える秘密や問題と向き合いながら鍵を開けていきます。個別個別にみるとなかなか面白いストーリーもあったと思います。
ただトータルでみると、最初からストーリーの軸だった誘拐事件の結末があまりにもお粗末すぎる気がしてなりません。結局お偉いさんが箱庭の中でやった遊びという落とし所は、噛みごたえのあるシナリオを期待していた読み手からするとかなりの落胆ぶり。
テーマ性として、世界の裏側や街の闇を断片的にも描写していたのはよかったです。一見、日常にはまず関係のないような話に見えますが、どこかにこういった側面があるというのは事実だと思います。
シナリオ以外だと、キャラクターはおそらく過去作と比べてもメイン二人除けばインパクトにかけます。霧架が超絶かわいかったことが最後まで救いだったでしょうか。
あとは音楽について、安定していてとてもいいんですが、もう少し曲数やボリュームがあるといいですね。
チャートを行き来するシナリオはまとめかたが上手かったですが、個人的にはかなり消化不良で中途半端に感じます。正直もう少し練れたという印象。ミステリーと謳っていたわりには、ミステリーなのかなぁ…と。前作キミソラが好きな自分としては、ああいった雰囲気が好きだったなぁと改めて思う作品になりました。