歪んだこの世界から すべての答え奪い去り 虜にしたい
愛生ゲーです。
設定はなかなか面白いところをついていて、そこまで突飛な設定もなく、むしろ日常社会の闇の部分を取り上げた作品かと思います。導入として愛生が主人公の家に転がり込むところからストーリーが動き始め、愛生(赤)サイドと映瑠(青)サイドで展開されていきます。ただ対立の構図をとっていても、個別ルートがとても短いのが残念なところ。起承転結が時折かなり省略されているため、物語にひねりが少ない印象です。とくに章の始まりが唐突な点やある事件が個別ルートごとに扱いに大小がある点も気になります。
ストーリーのメインルートは言わずもがな愛生ルート。愛生ルートを先にやったからか、他のルートの物足りなさが目立ってしまいましたね…
あと気になるのはシステム面。パッチを当てていてもフリーズがありましたし、スキップやシーンジャンプが遅く不安定な印象があります。
全体的にダークな雰囲気が先行し、「木洩れ陽のノスタルジーカ」のような暖かさあるものとは真逆なお話です。何が善で何が悪か、天秤というキーを持ち出したわりには、愛生の手のひらの上ですべてが踊らされていたようで、愛生がひとりで全て持っていった感じです。メインビジュアルにいたはずの映瑠にシーンがひとつしかなかったことからも明らかですし… 設定はなかなか面白いものの、全て活かしきれたとは言い難く、全体的にもう少し練っていれば、と思わせる惜しい作品でした。