さりげなく地図を広げ 僕らは旅立つよ
月に寄りそう乙女の作法、衣遠ルート?から続くお話。いわゆるファンディスクではなく、別個のひとつの作品としてかなり高いレベルでまとまっています。
題材の服飾は変わらないものの、舞台はパリに。ヒロインは新たな三人。前作サブのりそながヒロイン昇格したのはかなりうれしいですね。
ストーリーは舞台が変わっても服飾と大蔵家の二本柱。個別にみるとエッテを基本にして、メリルルートが服飾の要素が強く、りそなルートが大蔵家要素が強いようです。
エッテルートは基本的にポップな雰囲気で、シリアスシーンも比較的少なく思います。ただ大蔵家の話や服飾の話の両方とも深く描かれなかったため、物足りない印象です。
メリルルートは服飾の話にウエイトがあり、最後までショーありきのストーリー展開がされていたのは好評価です。ただメリルと大蔵家という後付けのような設定が少し違和感に感じるところです。シナリオのバランスやキャラも含めて、終わってみると三人の中ではいちばん好きなお話でした。
そしてりそなルート。おそらくこれがTRUEのような扱いでしょう。大蔵家の核に迫るストーリーで、単体でみれば「月に寄りそう乙女の作法」から続くエンディングとしては上手くまとまった感じです。ただメインルートにしては服飾がターニングポイントになることはあっても、ストーリーの軸になっていたとはあまり言えず残念なところです。ただキャラがいちばん生き生きしていたのは、間違いなくこのルート。りそなを中心にそれぞれの想いが交差するお話は、前作ルナルートにも迫る完成度だったと思います。おそらくこのりそなルートだけ、前作のヒロインが出てくる点も、とてもうれしかったり。
舞台が世界に飛び出したわりには、遊星のまわり大蔵家に固執しすぎて、せっかくの服飾という設定が影に隠れてしまった気がします。しかし、相変わらずキャラ同士の会話は面白いですし、個性的な新キャラのおかげでシリアスに傾きすぎることなかった点はよかったです。