飛びたてるよ Perfect Sky
・シナリオ(18/20点)
まさに青春って感じの作品。このテーマはありふれているが故、濃すぎても薄すぎても面白くはない。しかしこの作品は、綿密に計算されたシナリオで爽やかな青春群像劇を体感させてくれます。とくに共通、小鳥、天音ルートはテンポのいいセリフまわしの中にも、話の核たるテーマがどっしりとあり、これだけなら満点をつけてもいいレベル。
小鳥ルート-籠の中から飛び立つ小鳥
翼を失った二人が空を目指していく、作品のテーマに一番沿ったストーリーです。シナリオはとくに丁寧に書かれ、かつそこに絶妙な起伏がつけられているので最後まで面白くプレイできました。だからこそ、ラストの手術のくだりが駆け足で残念。でもやっぱりこういうのって好きです。
天音ルート-約束の場所へ
共通ルートから語られていたイスカについて明らかになる話。ある種の葛藤が描かれ、今の自分がどうあるべきかを悩む。まさに青春の1ページのようなストーリーです。タイトルどおり「この大空に、翼をひろげて」っていう感じの。
亜紗&依瑠ルート-満点をつけられなかった原因その1
双子ならではの展開がみられ、ひとつの要素としては面白いんですが、話が進むにつれてグライダーの存在意義が薄れていくのが否めません。さらにラストは金と権力で万事解決。もう少し考えて欲しかったです。
あげはルート-同その2
あげは自体は、ボーイッシュな元気系幼馴染みでキャラ的には好きです。シナリオが少々問題で、共通から一貫して描かれていた理性的な主人公は、ここで崩れ去ります。モーニンググローリーを飛ぶラストも感情にまかせて事を運ぶなど、今まで作り上げた世界観を瓦解させかねない内容。個別の中身については、面白いけれど、この作品に組み込むにはライターさんの力量不足でしょうか。
・CG(18/20点)
原画は安定していて背景とのバランスもかなりとれています。
・キャラ(17/20点)
人物描写が非常に丁寧で、爽やかな作品の雰囲気を壊すことなく動きまわります。すべてのキャラに好感が持てました。とくに亜紗&依瑠が可愛いです。ほたるはファンディスクにとっておきましょう。
・音楽(18/20点)
全体的に作風にあった心地よいメロディーが印象的でした。ボーカル曲には霜月さんと茶太さんの魅力がそれぞれ出ています。
・システム他(18/20点)
とにかくこだわりのみられる演出。グライダーが飛ぶところは鳥肌が立つほどの素晴らしさでした。
あげは補正 +1点
亜紗補正 +1点
依瑠補正 +1点
以上、計92点です。
久しぶりに心から面白かったと言える作品です。一部に残念なところがあったのも事実ですが、特異な設定無しでここまでの作品を作り上げた制作者さんに賛辞を。
ファンディスクが発売決定ということで。早くほたるに会いたい!