光と影の紛れもない現実を生きて
・シナリオ(17/20点)
ブランエールの種
前作、グリザイアの迷宮の雄二過去編から繋がるストーリーです。グリザイアの楽園、天音ルートのバス転落事故のあと、一姫がどのようになったのかも描かれます。個人的に大きな問題だったこれらの点をしっかりとカバーされていたので、おおむね満足です。ただ三部作の完結編、そしてあれだけ大きな販促をしておいて、これくらいで締めちゃうの?って感じもあります。とくに雄二の最大の敵であるヒース・オスロとの決着ですが、あっさりしすぎだと思います… もう一波乱、二波乱あってもよかったと思いますが。あとはスカイツリーですか。グリザイアの果実のOPでスカイツリーを破壊してましたし、今作の爆弾のくだりでどれほど扱われるのかと思ったら、舞台にすらなってないじゃないですか… ほかにも突っ込みたいところはありますが、全体を通して盛り上がりが今一つでしょうか。ただこのグリザイアという物語が、雄二と一姫、そして五人のヒロインをフィーチャーしたものであることを考えれば、これくらいの配分でいいのかもしれません。結局キレイにまとめてきましたが、個人的にアリですし、面白かったと思います。
プロローグ
雄二が美浜学園にやってくる前のお話。基本的に大きな波乱なく、淡々と進みます。よかったところは天音と蒔菜、みちると幸が今の関係になる部分が描かれていたことですね。反対に気になったところは、グリザイアの果実とキャラの性格が少しズレ気味なとこでしょうか。まあ特に問題になりませんし、面白かったです。
・CG(17/20点)
最後の戦いということで意志の強さを感じます。ところどころのほんわかした絵もクオリティー高くまとまっていると思います。
・キャラ(17/20点)
救われた5人のヒロインがそれぞれの得意なことを活かして主人公を助けに向かいます。ベタベタな展開かもしれませんが、今までの歩みを見れば、以前よりもキャラの「強さ」というものを感じるようになりました。まあ一番存在感を出していたのはタナトスですが…
・音楽(18/20点)
グリザイアシリーズは今までElements Gardenが主に楽曲製作をしていましたが、今作ではケロQや枕で活躍されている松本文紀さんとピクセルビーさんが新たに参加されています。楽曲全体の幅が広がったようでよかったと思います。特にプロローグ編のOP「Eden's song」が今までとは雰囲気が変わっていていいですね。
・システム他(17/20点)
おおまかなシステムはいつも通りなので特筆するところはありません。ただ状況描写をはっきりとさせる演出が多彩で光っていたと思います。
以上、計86点です。
最終的には盛り上がりに欠ける気もしますが、ここぞという見せ場はしっかり作っていたと思いますし、キャラの魅力が今まで以上に出ていたので、シナリオゲーというよりキャラゲーとして完結したよう。
三部作という大風呂敷を広げたグリザイア。それがうまく閉じられたかは、人によりけりでしょうが、個人的には素晴らしい作品でした。
早くも気になるのは次回作。これ以上のものを作るのはなかなか難しいと思いますが、期待しています。