(GiveUp) サキュバス(淫魔)との純愛ラブストーリー。だが、淫魔にエロエロなことをされるなんていうMシチュは期待してはいけません。・・・それって、ヒロインがサキュバスである意味ないんじゃね!?
サキュバス、というか広義的な意味での「淫魔」という種族はなぜ扇情的なエロスを持つのか?
それは、男を魅了するような衣装を着ているからではない。
羽と尻尾を生やした悪魔の格好をしているからでもない。
彼女たちは男を篭絡するだけの「魅力」を身に着けているからである。
官能的な言葉で、美しい肢体で、蠱惑な性格で男をたぶらかし、
自分しか見えなくさせて、男の精と一緒に身も心も奪ってしまう。
これが、私個人的における「サキュバス」引いては「淫魔」という種族の定義です。
さて、
本作はサキュバスとのラブラブ学園生活がメインで、
てっきり主人公がヒロインのサキュバスに性的な意味で襲われながらも、
次第に互いを思い合う恋人になっていくお話だと思っていました。
しかし、プレイしていくうちにどこか違和感を感じ始めていました。
確かにサキュバス衣装はエロいし、HCGもなかなかエロスを感じる構図や塗りです。
シナリオも、個別ルートに入ると少し山場はあるものの
互いを意識しあう恋人となってラブラブH三昧な和姦抜きゲーです。
(共通・個別ともに尺が長すぎですけど)
一人攻略し、おまけルートのハーレムEDも攻略してから違和感は疑惑になり、
そして確信へ変わりました。
コレは「ヒロインは『サキュバス』である」のではなく、
「ヒロインは『サキュバス』のコスプレをしているだけに過ぎない」と。
確かに、あるヒロインは人間である主人公とサキュバスである種族の違いに悩んだりするし、
サキュバスだけが使える魔術をテーマにトラウマを乗り越えたり、分身によるアブノーマルなHをしたりと
サキュバスとしての設定を生かそうとしていました。
しかし、それは別の設定にも置き換えるぐらいの変り種が効く安っぽい設定でもあり、
サキュバス(淫魔)だからこそできる設定ではありません。
例)種族の違い→身分の違い「日常系ラブコメの『平民と貴族(お嬢様)』」
サキュバスという種族を前面に押し出すなら、
淫魔特有の扇情的・官能的なエロスを持ち出して
主人公を完全にメロメロにするぐらいのシチュエーションがあってもいいかと思います。
(所謂Mシチュ的なノリ)
しかし、「主人公の精液はサキュバスですら骨抜きになるぐらいの精力をもつ」という
エロゲーではありがちな主人公(エロ)補正のおかげで、
サキュバスであるヒロインの方が逆に主人公にメロメロでゾッコンになってしまうという始末。
結果、ヒロインが受けメインのHになり、サキュバスらしい女性上位のHシーンはまずありません。
今回は、最終的に本作のサキュバスという設定には満足できないという不満な結果になりましたが、
自分にとっての「淫魔」の定義とはどんなものなのか明確な線引きをできるいい薬にもなりました。
Mシチュを望んでいて買った自分にとっては地雷ゲーでしたが、
純愛学園ラブコメとしてなら無難な内容ではありますよ。
(「サキュバス」というハリボテ看板には騙されましたが)
シナリオ:10/20(学園モノとしては無難な〆)
音楽 :15/20
キャラ、グラフィック:15/20
システム:15/20
その他 :0/20(サキュバスという設定が生かしきれていない!)