“選ぶ”ことを怖れるな
かの名作、「EVER17」を彷彿とさせる作品。
しかし結論から言うと、自分の中では「EVER17」を超えた。
あれほどの見事な叙述トリックの仕掛けこそ無いが、本作の仕掛けも実に練りに練られている。次から次へと意外かつショッキングな展開が連続し、読み終え時を失わせてくれる。
加えて言うと、正直、私は「EVER17」はあのトリックには脱帽だが、シナリオは突拍子が無さすぎて嫌いだ。
そこくると本作は、実に理知的なシナリオである。
既存の文語や逸話を巧みにシナリオに取り入れ、重厚なSFドラマとして昇華させている。
そして本作を語る上で欠かせないのが、“3週目”の存在である。
1週目、2週目は単純な選択肢なので迷う人はいない。
ところが3週目の入り方が分からずに、つまずいてしまう人は多いと思う。でも是非ともこれは自力で見つけ出して欲しい。
かく言う私も暫く悩んだが、偶然のひらめきで見つけ出すことができた。あの時の高揚感はひとしおだった。
ヒントを言うと、最初のあたりだ。何かに気がつかないだろうか。何度も1週目、2週目をやればそのうち閃くかもしれない。
「正解のないノベルゲーム」とは実に言い得て妙だと思った。
どんな選択の未来でも、必ず困難と後悔が待ち受けている。しかしそれに挫けてはいけないのだ。
選んだからには責任を、誇りを持たなければならない。選んだのだから。
最後に私が目から鱗が落ちた台詞で失礼させていただこうと思います。
「生き延びるために戦って、勝ち抜いた君が、どうして悩む必要がある?」