この傑作を絶対に埋もれさせてはならない。
貴方は洋画がお好きだろうか。
その中でも特にゾンビ映画がお好きなら、十中八九、本作は大当りになると思う。
タイトルから推察できるが、その通り、ゾンビアドベンチャーものである。映画作品なら星の数ほどあるが、不思議なものでノベルゲームとしては非常に珍しい。
その所謂“あるある”ネタを巧緻なテキストでふんだんに盛り込んでいるのだから、これがつまらないわけがない。
また同時にパンデミック(感染)ものでもある。そう聞くと、かの名作『死霊の◯らわた』を連想されるかもしれないが、本作の登場人物はアレの3倍以上にのぼる。
となると、どういう展開が起こるか? そう、“軋轢”である。
つまり、本作品の最大の特徴は、
単にゾンビ映画アクションの面白さもありつつ、それに加えて、極限状況下で急変する人間関係の不和も描いている。
つまり、二重のスリリングを味わうことが出来るのだ。これがもうたまらなく面白かった。事実、私は睡魔に負けるまでクリックが止まることはなかった。
当然ながら肝となるのはテキストだが、これがまた思わず感嘆してしまうほど巧い。そして読み易い。
数分に1回アクシデントが起こると言う、ハリウッド映画的なツボを見事に押さえている。
制作者が生粋の映画好きであることは十分に窺える。
そんな方が丹精込めて作られた、映画愛に満ち溢れている本作品は、まるで映画ファンへの素敵なプレゼントのようだ。
ただ惜しい点も3つほどある。
1つ目は、あまりの知名度の低さから大変な入手困難になっていること、
2つ目は、子供の落書きのような雑なCG。
そして問題の3つ目は、攻略難度の高さである。
CG鑑賞モードが無いため、コンプリートできたのかどうかがわからない。ちなみに私は守屋、雛野、梓の3人のルートを見たが(余談だが攻略順は守屋を最後がオススメ)、どうにも何か取り逃している気がしてならない。由乃ルートがありそうな匂いがぷんぷんなのだが、どうやってもそれらしきルートに入ることが出来ない。
何か攻略情報お持ちの方は、是非ともご教示お願いいたします。同じく知名度の低さから攻略サイト的なものもまるで見つからないので・・・
総評。
目立つ欠点も多いものの、それを差し引いても十二分に面白さを味わえる文句無しの傑作だ。
一言感想にも述べたが、絶対に埋もれてはいけない、もっと世に知れるべき作品だと私は強く強く思う。
私のこの拙いレビューが、本作品の知名度に少しでもプラスになれば、これほど嬉しい事は無い。