【費C 鬼D 純C 変D 背C 寝D】 「どこをどう愉しんでもらうか」 その焦点が絞り切れていない感じがする
≪物語概要≫
植物状態になった幼馴染の女の子に、何者かが憑依してしまうというお話。
憑依した体を維持するためには男の精気が必要なので、
主人公は渋々ながら幼馴染を犯す事になる。
Hシーンの流れは、まず憑依者である桃歌とエッチをして、
そのあとに幼馴染の詩乃とエッチをするという二段構成。
生きるために精気が必要な桃歌は積極的に主人公を誘ってくるが、
自身の状況を理解していない詩乃は嫌がって抵抗するという感じになっている。
(しかし、後半は何故かラブラブ)
◆費用対分量【C】
回想数は全部で12。(桃歌・詩乃8/つぼみ3/詩乃1)
シーン数はこの価格帯では若干少なめだろうか。
桃歌→詩乃という連戦が多いので、トータルで見れば結構な尺があるが、
単体で見ると少し物足りなかった。
CG枚数は32枚(差分込みで107枚)で、HCGが9割近くを占めている。
◆鬼畜度【D】
桃歌と詩乃には輪姦、つぼみには援交があるが、
流れが唐突なので悲愴感はあまりない。
◆純愛度【C】
桃歌が男の精気を受け入れると、強制的に意識が詩乃に切り替わる。
つまり詩乃からすると、覚醒した途端に知らない男(※)に犯されている事になるため、
当然襲ってくる主人公を拒絶する。
※長い間意識が無かったので、成長した主人公を“主人公”として認識していない。
セックスが終わるとまた意識が桃歌に戻るため、
詩乃とのコミュニケーションはレイプ紛いのセックスに限られる事になる。
このような状況下に於いては、主人公と詩乃が心を通わせる事はまずあり得ない筈だが、
(上でも触れた通り)後半では何故かラブラブになってしまっている。
この点については、「詩乃は相手が主人公であることを薄々勘付いていた」という説明が為されるが、
一連の流れを考慮してもこの変貌振りには違和感があった。
違和感と言えば、主人公が詩乃に自分の正体を告げなかった点も不自然である。
多少の混乱は招くにしても、自分が幼馴染であることを告げれば詩乃を安心させられただろうし、
後半のラブラブっぷりにも違和感が生じなかったはず。
そのような展開にしなかったのは、「桃歌と詩乃の対比によるギャップエロ」を重視し過ぎた結果だろうか?
どうもこの辺は説明が足りていないと言うか、低価格ソフトにありがちな拙速さがあったと思う。
◆変態度【D】
Hシーンの傾向としては、着衣Hがかなり多い。
アナルプレイもそこそこあるが、(全体的に見て)Hシーンは純愛系の域を出ないレベル。
なお、絶頂時に上目遣いで舌を突き出すシーンがいくつかあるが、
“アヘ顔”と言うほど極端なものではない。
Hシーンのテキストは、桃歌の時代がかった言い回しが特徴的。
(一人称は「わし」、二人称は「ぬし」、語尾は「~じゃ」「~のぅ」「~くりゃれ」など。)
卑語は殆ど無い。
◆背徳感【C】
誘惑キャラである桃歌と、清純キャラである詩乃。
本作のコンセプトは、両者の対比によって“ギャップエロ”を引き出す事にあったと思うが、
本作のそれはやや変則的である。
例えば、清純気質と淫乱気質の対比を考えた場合、
私達は通常、普段おとなしいキャラが淫らに乱れる様(さま)に倒錯的な興奮を覚えるが、
その逆のパターン(淫乱キャラがしおらしくなる)で性的な興奮を得る事は難しい。
これは、前者のパターン(清純→淫乱)が専ら“性的情動”を喚起するのに対し、
後者のパターン(淫乱→清純)は専ら“ギャップ萌え”を喚起するという、感情作用の特質に基因する問題である。
本作は類型としては後者に該当するため、結果的にエロチシズムは弱くなってしまった。
実用性を重視するのであれば、「桃歌が顕現する前に詩乃のキャラ立てをする」等の工夫が必要だったと思う。
◆寝取られ感【D】
桃歌(詩乃)とつぼみに一つずつあるが、寝取られと言うより只のレイプに近い。
具体的な経緯は次の通りである。
・桃歌(詩乃)
主人公と喧嘩別れをしたのち、浮浪者が女性を襲っている場面に遭遇する。
女性は隙を見て逃げ出すが、桃歌は代わりに捕まって輪姦されてしまう。
浮浪者に犯されることで桃歌は詩乃と入れ替わり、何も分からない詩乃は徹底的に陵辱される事になる。
・つぼみ
過去の出来事で主人公と詩乃に負い目を感じていたつぼみは、
自身に罰を与えるために身体を売りに行く。
初めは援交相手に奉仕する彼女だったが、途中で後悔の念に駆られて逃げようとする。
しかし、あっさり援交相手に捕まってしまい、怒ったその男に乱暴に犯される事になる。
つぼみはともかく、桃歌の方は完全な事故なので流れもへったくれもない。
犯されて感じる描写も少なく、ただ叫んで嫌がるだけ(つぼみの前半は除く)なので、
快楽堕ちが好きな自分にとっては不満の残る内容だった。
≪システム備考≫
回想モードでシーンを選択すると、完走するまで選択画面に戻れない。
せめてタイトル画面に戻る機能くらいは付けて欲しかったところ。
また本作は、クリックで音声が停止しない機能とBGVの双方が備わっているが、
両方オンにすると声が重なってしまうので、どちらかは切っておいた方が良いだろう。
≪感想≫
微妙にシリアスなストーリーなのでイチャラブ成分は少ない。
かと言ってエロチシズムに長けている訳でもなく、陵辱やNTRも中途半端。
フルプライスであれば、このように色々な要素を詰め込むことも一つの手ではあるが、
低価格ソフトのボリュームでは流石に無理があったと思う。
私は主に陵辱やエロチシズムに期待してこの作品をプレイしたのだが、
純愛や伝奇シナリオなどに期待した方も、おそらく同様にモヤモヤとした感じを受けるのではないだろうか。
焦点をもっとはっきり絞っていれば、優秀な作品に成り得たかも知れない。
惜しい作品だった。