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仁乃さんの君の名残は静かに揺れての長文感想

ユーザー
仁乃
ゲーム
君の名残は静かに揺れて
ブランド
UNiSONSHIFT:Blossom
得点
91
参照数
1215

一言コメント

FDではなく4thプロジェクトとして出された意味に納得

長文感想

本音を言いますと、最後までプレイしてびっくりしました。
ぶっちゃけた話、私は黒鷺化した白鷺茉百合はあんまり好きじゃなくて、FlyableHeart内だと、桜子とか、結衣とかが好きだったんですよ。ですが、ファンディスクとしてでなく、4thプロジェクトとして出す、との事だったので少し興味をひかれ、設定を見る限りでは、本当に単純に白鷺茉百合のストーリーを深く掘って、昇華させるつもりではないか、と思えたので購入を決定しました。
…とはいうものの、プレイ前は、白鷺家はドロドロしているだろうけど、今までのユニゾンシフトブロッサムみたいに、そこそこの壁にぶつかって、それを乗り越えて終わり…かと思ってたんですよ。
ですが、やってみればもうびっくりです。内容は完璧にガチです。基本今まであったファンタジー要素はほぼ根絶されており、その上、ストーリーに関する設定の複雑さは、ななついろ、Flyable Heatsとは比べ物になりませんでした。ヒロインは一人でしたが、だからこそできたんじゃないかと思います。
娘として扱われながらも末席にたたずむ、その真実に気がついたのは、私なんかは察しが悪くて、長女と次女が本格的に口論した時点で初めて、でした。あぁ、すべての真実は真逆だったのだ、と。それに気がついたとき、私の中で、いろいろなものが氷解しましたよ。OPにさえ、真実のかけらはちりばめられていたのだな、と考えてもう一度OPを見てみると、もしかしたら何か発見があるかもしれませんね。
真実を知れば、使用人のようにさえも扱うかと思えば、白鷺家の正当な娘として相応しいようにと取り計らおうとする。この矛盾する2つが、白鷺家の恥部であり、だからこそ白鷺家の娘として扱わなければならなかったのだな、と納得させてくれます。
最後も、あえて完全なHappyEndにせず、goodendにとどめたところも、ブロッサムらしくないながらも、素直に評価できたように思います。